神の盤上〜異世界漫遊〜

バン

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第10章 異世界人と隠された秘密

霧ノ場所

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「はぁはぁはぁ…やっと…着いた…」
「よく頑張ったな。それに頂上に着いた途端体が軽くなった。どうやら重力は無くなった様だ」

一同は何とか頂上に辿り着く事が出来た。
しかし咲良とクロ以外は既に体力の限界を越えており、ドサッと冷たい地面に倒れ込んだ。

「お前らはしばらくそこで休んでろ。俺とクロで辺りを探索する」
「キュイ!」
「まじかよ…どこにそんな…元気があるってんだ」

ハロルドにはもう動く気力すら残されていなかった。それなのに目の前の咲良は少し肩で息をしている程度に済んでいる。それがハロルドには信じられなかった。

「体力には自信があってな。行くぞクロ」
「キュイ!」

咲良はクロを連れて頂上の祭壇に歩いて行った。

「全く…情けないな…俺達は…」
「ハロルドさん…分かっていても…言わないで下さい…虚しくなります」
「そ…そうか…済まん」

ハロルドの言葉にサイモンが息も絶え絶えの状態で抗議する。皆足手纏いになっている現状が悔しいのだ。

一同は倒れながら、遠ざかっていく咲良達の背中をずっと眺めていた。






他の仲間が落ち込んでいるとは思いもしない咲良は祭壇の内側にいた。

「どうだクロ…何か見つけたか?」
「キュイ…」
「…俺もだ。にしてもここは何なんだ…祭壇だという事は見て分かるが…手掛かり1つ見つからないとは」

祭壇には何もなかった。
ピラミッドの下では謎の文字が至る所にあったにも拘らず、ここにはそれすらなかった。

「キュイキュイ」
「そうだな、これ以上ここにいても仕方ない。奥に進もう」

咲良とクロは祭壇を抜け壁際まで進む。そこに何もなければ八方塞がりになってしまう。

「やっぱりあったか。あれが何なのかは知らないが…」

壁際には奥へと続くと思われる小さな通路が1つだけあった。
なぜ壁の向こうに続いていると断定出来ないかと言うと、その通路の中は霧の様な白い煙で満たされているので奥がどうなっているのか分からないからだ。

「霧…か…まさかな」

咲良には何か思い当たる節でもあるのだろうか。神妙な顔つきになった咲良はクロを連れて来た道を戻って行った。



「咲良さん。何か見つけましたか?」

皆の元に戻った時、マリアが率先して聞いて来た。
どうやら咲良が探索している間に少なからず体力が戻った様で皆顔色が良くなった。。

「あぁ…通路を見つけた。だが…中は霧が深くてどうなっているのか確認出来ない」
「霧…ですか…」
「マリア。お前なら知っているんじゃないか?」
「という事は…咲良さんも知っているという事ですね?」
「見たのは初めてだがな」
「おいおい…2人だけで話を進めるなよ。霧が何なんだ?」

置いてけぼりにされた者を代表するかの様にハロルドが間に割って入る。

「その話をするにはまず俺とソフィの話をしなければならない」
「坊主と嬢ちゃんの話?何だそりゃ」
「あぁ…俺とソフィは…異世界人だ」
「なに!?」
「本当ですか咲良くん!?」

突然の告白に2人は目を見開いて、腰を抜かすほど驚いた。
しかし咲良の予想通り、マリアは至って冷静だったので既に知っていたのだろう。

「悪いなソフィ…許可も取らずに言いふらして。だが必要な事なんだ」
「大丈夫だよ。私は咲良を信じてるから」
「そうか。お前らも驚いていないでさっさと正気に戻れ。話の続きが出来ん」
「そ、そうは言ってもよ!」
「直ぐに受け入れるのは…何というか」
「異世界人なんてそう珍しい事でもないだろう。世界中を探せばかなりの数がいるんじゃないのか?」
「確かに異世界人がいる事は知っているけどよ…こんな身近にいるとは思わねぇだろ普通」

ここまで驚かれるとは咲良も予想していなかった。
カゼルと初めて会った時、王都アムルに着くまでに咲良が異世界人であるとバレてしまったが特に驚いていなかった。
だからこそあっさりと暴露した訳だが、見知った者がこの世界の住人ではないという事実をそう簡単に受け入れる事は出来ないのかもしれない。

「まぁ……受け入れたという事で話を進める」

咲良は強制的に話を先に進ませる。

「霧というのは世界各地にある異世界人にしか入る事が出来ないとされている謎の場所の事だ」
「そんな場所があるの?」

ソフィも初耳なのでかなり驚いているようで、何故教えてくれなかったのかと睨まれた。

「私はギルドマスターとしてその情報は認知していますし、一度だけ霧の中に入った事もあります」
「それは本当か?」

マリアの告白に今度は咲良が驚く番となった。

「えぇ…何度入っても奥に進むどころか元の道に戻ってしまいましたが」
「やはり…なら奥の通路もその霧と同じなら俺とソフィしか入れないという事か」
「だったら俺が先に入ってやるよ。その霧とやらに」
「私も行きます。少しぐらいは役に立ちたいですから」
「では私も。一度入った事のある私なら何か気付けるかもしれません」

アスガルド組が一斉に名乗りを上げた。
確かにあの通路の霧が世界中の謎の場所と同じかどうか調べるには最適な面子だ。

「なら頼む」
「お、お願いします」

咲良とソフィは少し申し訳なさげに頼んだが3人はやる気に満ちていた。小さなことかも知れないがこれまでずっと掛けてきた咲良の負担を少しでも軽く出来るなら何でもするつもりなのだろう。


「では行ってきます」
「あぁ。但し…この通路は普通の霧が濃いだけで奥に行ける可能性も考えられる。警戒だけは怠るなよ」
「もちろんです」

3人は慎重に、だがどこか高揚している様な足取りで霧に満たされた通路へと消えて行った。
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