神の盤上〜異世界漫遊〜

バン

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第1章 終わりと始まり

苦手人種

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亮太が入っている委員会(通ってはいないが)は学部専属の委員会である。

亮太が大学に入学した日、元々どこにも属するつもりはなかったが、陸がせっかく大学に入ったんだから何かやれとしつこかったので嫌々入ったのだ。

活動内容は様々だ。
大学の授業を手伝ったりオープンキャンパスや学祭の運営をしたり…
美久たちも入っており真面目に活動に取り組んでいる。

嫌々入った委員会ではあるが、今まであまり経験してこなかったことをメインに活動する内容だったので刺激はあるかも知れないと思っていたが、結果はご覧の通り。


陸たちが授業に行き1人になった亮太は大学の喫煙所のベンチでタバコをふかしながら時間を潰していた。

「あれ?……亮兄?」

そこに1人の女性が声をかけてきた。

「ん?紗月じゃねぇか」

声を掛けてきたのは高野紗月。
歳は一つ下で家が近くて小さい頃から妹の沙耶が紗月と共によく遊んでいた記憶がある。

「やっぱり亮兄だぁー!せっかく同じ大学になったのに会えなかったらどうしようかと思ってたよ」

「まさか紗月が同じ大学にいるとはな…まぁ俺は殆ど通ってねぇけどな」

フゥーっとタバコの煙を吐きながら亮太は言った。

「けほっけほっ!…もう!亮兄煙たい!」

副流煙を吸ってしまったらしく咳き込みながら紗月は亮太に抗議した。

しばらく亮太たちが話をしていると部活の会議がある時間に迫った…

「…もうこんな時間か…悪いけど俺これから用事あるんだ」

「…用事って授業かなんか?」

「いや、委員会の会議だ…面倒いけどいかねぇと余計面倒くなりそうだからな」

「…会議?……あっ!」

紗月が何かを思い出したように叫んだ。

「…なんだ?」

「私もその会議出るんだった!すっかり忘れてた」

「なんだ?紗月も入ってたのか…」

「そうなの!入学式の時に勧誘されて、名簿の中に亮兄の名前もあったし面白そうだなと思って入った」

「…そうなのか、なら行くか」

「うん!」

紗月は笑顔で答えた。

2人は教室に向かって歩いているが、亮太は紗月が話している内容に相槌を打ってはいるが別のことを考えていた。

(…会議だから委員長は必ずいるだろうな、あいつ苦手なんだよな。なんか完璧主義というか……確か名前は…)

「………だったんだよー……って亮兄聞いてる?」

亮太は委員長の名前を思い出そうと紗月の話を聞いていない。

「…亮兄ったら!…もう!…ってい!」

「ん?…あぁ…悪い…」

話を無視する亮太に痺れを切らした紗月は亮太の頭にチョップした。

「亮兄が無視するからだよー!」

「……ちょっと考え事しててな」

「もういいよ!…教室着くし」

教室に着くと紗月はさっさと中に入ってしまった。

亮太は紗月が入っていった扉の前で躊躇していた。
委員長に苦手意識がある亮太は久々に参加する会議で何を言われるか大体想像が付いていたからだ。

(恐らく…無断欠席はいけません…周りに迷惑がかかるとは思わないんですか…と上から目線でいわれるのは目に見えてるからな……あぁ…名前は確か…最上香織…だったか)

何度も言うように亮太は委員長の最上香織に苦手意識を持っている。所属したその日から…

完璧主義でどんな事も完璧にしないと気が済まず、また人の上に立ちたいタイプ。少なからずカリスマ性があるので付いてくる人は多いが亮太はそこが気に入らない。なぜなら上に立つためなら付いてこない人を切り捨てたりするからだ。

実際亮太は香織が付いてこない人を切り捨てた所を見たことがあるのだ。
自分に従う人には優しいが、それ以外には冷徹で、ある意味我儘とも言える性格が受け付けないのである

(考えても仕方ねぇか)

そう割り切った亮太は教室に入った。

教室の中には先に入った紗月の他に先輩や新入生と思わしき学生が数十人いた。
その内数名がこちらを見ている……陸たちだ。先に来ていたのだろう。
陸たち以外に特に仲の良い人はいないので挨拶を交わす事なく陸たちの元へと歩く。

途中で何人かとすれ違ったが、厳しい目線を送られた。
おそらく先輩だろうが、それもスルーだ。

「…おっ!きたな亮太…待ってたぜー」

「ほんとだ!結局来ないかと思ってたよ」

「ちゃんと来たわね佐伯…来なかったらぶっ飛ばしてたわよ」

美久は中々物騒な事を考えていた。

「まぁな……後々お前が騒ぎそうだからな…」

亮太は皮肉を込めて美久を見る。

「なによ、来ないから行けないんじゃない!」

「まぁ確かに…行かないと美久が吠えるからな」

陸が亮太の意見に同意する。
その隣では秀樹も首を縦に振っている。

「あんた達まで!…私は吠えたりしない!」

「ほら…今吠えてる」

「…なんですってー!」

美久と秀樹がじゃれ合っているが決してその輪の中に亮太は入らない…それはいつもの事だ。

美久達がじゃれているのを傍観していると先輩の1人がこちらに向かって来た。

(やっぱ来たか…めんどくせぇな)

その人物が話し掛けてくると予想していた亮太は心の中で悪態をつく。

「久しぶりね佐伯くん…この半年間何をしていたのかは知りませんし興味もありません…ですが…無断欠席とはどういうつもりですか?」

高圧的に話しかけて来たのは委員長の最上香織。

「…どうも、お久しぶりです」

亮太は表情を消してから答えた。

「あいさつだけですか?…謝罪の言葉などを言うべきでは……いや…まぁいいでしょう。今回だけは特別に不問にします。今は新入生も入ったばかりですし」

香織は呆れた視線を亮太に向けながら話す。

「…しかし…」

香織はまだ言うことがあるようだ。

「…次からは無断欠席はおやめ下さい。佐伯さんは先輩としての自覚が足りないように感じます。それに…貴方のご友人でさえ、あまり来ないとはいえ無断欠席はしていないんですから」

(これだ……これが苦手な原因だ…さらっと人を見下して他人と比べる……苦手というより気にいらないって感じか……まぁ行かなかった俺にも原因はあるんだろうが…)

心の中ではそう思いながら亮太は言葉や表情ではださなかった。面倒なことにしかならないと分かっているからだ。

「…わかりました…これからは気をつけますよ」

(…やめるか)

そう亮太は適当に返事をして陸たちが座っている方へと歩き出した。
部長からの不快だと言わんばかりの視線を背に浴びながら…



そのまま会議は終わった。
新入生と同期、先輩を合わせると50人以上いたのは驚いた。


次の日から亮太は大学に行くようになった。
なぜかと言うと、陸たちと話していると時間が過ぎるのが早く感じ、話したいと思っている自分に気が付き、少し気恥ずかしくなったが、こんな暇つぶしも悪くないと思い直したからだ。

委員会はあれ以来顔は出していない。
次行く時はやめる時だと決めていたからだ。
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