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第2章 異界と異形
油断大敵
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素材集めを始めてからしばらくたったある日、亮太は死にかけた。
素材集めの最中、まだ行ったことのない場所に踏み込んでしまったのだ。
超記憶によって木々は全て覚えていたため、場所を間違えたりすることはまずなかったが、今回は仕方がない。
なぜなら…
「ハァハァ……くそっ…まだ追って来やがるあのクソクマ」
そう…いま亮太は追われているのだ。
巨大な熊に。
「あれには勝てねぇ…」
あの熊には絶対に勝てないと亮太の生存本能が告げている。
なので熊から必死に逃げた。
そのためにまだ未知の場所に踏み込んでしまったのだ。
しばらく走り続け、偶に木に登ったりとどうにかして撒こうと躍起になっていると熊の気配がなくなった。
「ふぅ…撒いたか…」
安心したその瞬間…
生存本能が猛スピードでこちらに近づく何かを感じ取った。
すぐさま移動しようとしたが時すでに遅し。
目の前にさっきのとは別の個体の熊が視界に入った。
「クソッタレが……さっきの方がまだマシだっての」
生存本能が先ほどよりも危険な個体だと告げている。
この熊からはどうあがいても逃げきれそうにない。
「やるしかねぇのか…」
戦うしかないと覚悟を決めた瞬間…
亮太の意識はなくなった。
とてつもない衝撃とともに。
グァーグァーグァーグァー
鳥か何かだろうか、鳴き声によって亮太は目を覚ました。
「グッ!!」
腹部から強烈な痛みが襲って来る。
その痛みによってまた気絶しそうになるが、なんとか持ちこたえる。
痛みのせいか身体はピクリとも動かない。
なんとか首を動かして腹部を見ると血でビッショリだった。
おそらくあの熊に切り裂かれたのだろう。
空を見ると鳥のような生き物が飛び回っている。
「…お…れは…生き…て…る……のか…」
今にも消えてしまいそうなか細い声で亮太は呟く。
それからしばらくすると痛みに多少慣れてきた。
とは言っても傷が治っているわけではない。
だが先ほどよりは身体が動くようになってきた。
亮太は腰につけた簡易的な袋に手を伸ばすと、葉っぱで包んだ何かを取り出す。
取り出したのは自家製の薬草をすり潰したものだ。
なぜこんなものを持っているかというと、怪我をした時に消毒しなければそこから壊死してしまうと思い、薬草を集めていたのだ。
この世界は地球とは異なるため薬草の知識は無いに等しい。
だが、試しに生存本能を頼りに摘み取った草をすり潰して傷口に塗ってみると、痛みが引いたのだ。
生存本能様々である。
このことから亮太は常に薬草を持ち歩くようにしていた。
手に持った薬草を腹部の傷口に塗りたくる。
「イッ…ぐぅ…がぁ……」
薬草を塗ったせいで声にならないほどの痛みが再び亮太を襲う。
亮太は痛みに耐えながら薬草を塗った。
もし……薬草を持っていなかったら…亮太は十中八九死んでいただろう。
薬草を塗った痛みが引いていくのと同時に怪我の痛みも引いてきた。
少し冷静になれた亮太は自分の置かれている現状を把握する。
今亮太は木の上方の枝に横たわるように倒れている。
恐らく熊に切り裂かれた時の衝撃で木の上まで吹っ飛んだのだろう。
あの熊は木の上まで追撃はしなかったようだ。
もし追撃されていれば今頃腹の中だろう。
もしかすると縄張りに入られたことが気に入らなかっただけで餌を欲していた訳ではなかったのかもしれない。
生存本能であたりの気配を探るが生物の反応はない。
だが亮太はまだ動けずにいた。
血を流しすぎたのだ。
なんとか一命は取り留めたものの内心焦っていた。
理由は簡単。
血の匂いで獣が寄って来るからだ。
もう一度薬草を傷口に塗り、無理矢理身体を動かす。
全身に力が入らず、視界もボヤけてしまっている。
ズルッ
ドスッ
「うっ…」
うまく力が入らず枝から落ちてしまい、その衝撃でまた痛みが蘇って来る。
それでも亮太は立ち上がり、ヨロヨロと洞窟の方角へと歩き出す。
本来なら場所を移して休憩し、動ける様になってから洞窟へと戻るべきだが、生憎亮太はそこまで頭が回らない。
腹部に重傷を負い、疲労もピークを超えている。また自分の血でできた血溜まりから少しでも遠ざからなければならないと言う事で頭がいっぱいなのだ。
こんな極限状態の中で冷静に判断など出来るわけがない。
どれだけ歩いただろうか…
意識は朦朧とし、視界もボヤけたままだ。
体力は端からない。
流石の亮太も気が滅入ってきた時、視界にあの洞窟が入ってきた。
「や……やっと……か…」
洞窟にたどり着くとこの森に来た初日の出来事を再生するかの様に亮太は死んだ様に眠った。
素材集めの最中、まだ行ったことのない場所に踏み込んでしまったのだ。
超記憶によって木々は全て覚えていたため、場所を間違えたりすることはまずなかったが、今回は仕方がない。
なぜなら…
「ハァハァ……くそっ…まだ追って来やがるあのクソクマ」
そう…いま亮太は追われているのだ。
巨大な熊に。
「あれには勝てねぇ…」
あの熊には絶対に勝てないと亮太の生存本能が告げている。
なので熊から必死に逃げた。
そのためにまだ未知の場所に踏み込んでしまったのだ。
しばらく走り続け、偶に木に登ったりとどうにかして撒こうと躍起になっていると熊の気配がなくなった。
「ふぅ…撒いたか…」
安心したその瞬間…
生存本能が猛スピードでこちらに近づく何かを感じ取った。
すぐさま移動しようとしたが時すでに遅し。
目の前にさっきのとは別の個体の熊が視界に入った。
「クソッタレが……さっきの方がまだマシだっての」
生存本能が先ほどよりも危険な個体だと告げている。
この熊からはどうあがいても逃げきれそうにない。
「やるしかねぇのか…」
戦うしかないと覚悟を決めた瞬間…
亮太の意識はなくなった。
とてつもない衝撃とともに。
グァーグァーグァーグァー
鳥か何かだろうか、鳴き声によって亮太は目を覚ました。
「グッ!!」
腹部から強烈な痛みが襲って来る。
その痛みによってまた気絶しそうになるが、なんとか持ちこたえる。
痛みのせいか身体はピクリとも動かない。
なんとか首を動かして腹部を見ると血でビッショリだった。
おそらくあの熊に切り裂かれたのだろう。
空を見ると鳥のような生き物が飛び回っている。
「…お…れは…生き…て…る……のか…」
今にも消えてしまいそうなか細い声で亮太は呟く。
それからしばらくすると痛みに多少慣れてきた。
とは言っても傷が治っているわけではない。
だが先ほどよりは身体が動くようになってきた。
亮太は腰につけた簡易的な袋に手を伸ばすと、葉っぱで包んだ何かを取り出す。
取り出したのは自家製の薬草をすり潰したものだ。
なぜこんなものを持っているかというと、怪我をした時に消毒しなければそこから壊死してしまうと思い、薬草を集めていたのだ。
この世界は地球とは異なるため薬草の知識は無いに等しい。
だが、試しに生存本能を頼りに摘み取った草をすり潰して傷口に塗ってみると、痛みが引いたのだ。
生存本能様々である。
このことから亮太は常に薬草を持ち歩くようにしていた。
手に持った薬草を腹部の傷口に塗りたくる。
「イッ…ぐぅ…がぁ……」
薬草を塗ったせいで声にならないほどの痛みが再び亮太を襲う。
亮太は痛みに耐えながら薬草を塗った。
もし……薬草を持っていなかったら…亮太は十中八九死んでいただろう。
薬草を塗った痛みが引いていくのと同時に怪我の痛みも引いてきた。
少し冷静になれた亮太は自分の置かれている現状を把握する。
今亮太は木の上方の枝に横たわるように倒れている。
恐らく熊に切り裂かれた時の衝撃で木の上まで吹っ飛んだのだろう。
あの熊は木の上まで追撃はしなかったようだ。
もし追撃されていれば今頃腹の中だろう。
もしかすると縄張りに入られたことが気に入らなかっただけで餌を欲していた訳ではなかったのかもしれない。
生存本能であたりの気配を探るが生物の反応はない。
だが亮太はまだ動けずにいた。
血を流しすぎたのだ。
なんとか一命は取り留めたものの内心焦っていた。
理由は簡単。
血の匂いで獣が寄って来るからだ。
もう一度薬草を傷口に塗り、無理矢理身体を動かす。
全身に力が入らず、視界もボヤけてしまっている。
ズルッ
ドスッ
「うっ…」
うまく力が入らず枝から落ちてしまい、その衝撃でまた痛みが蘇って来る。
それでも亮太は立ち上がり、ヨロヨロと洞窟の方角へと歩き出す。
本来なら場所を移して休憩し、動ける様になってから洞窟へと戻るべきだが、生憎亮太はそこまで頭が回らない。
腹部に重傷を負い、疲労もピークを超えている。また自分の血でできた血溜まりから少しでも遠ざからなければならないと言う事で頭がいっぱいなのだ。
こんな極限状態の中で冷静に判断など出来るわけがない。
どれだけ歩いただろうか…
意識は朦朧とし、視界もボヤけたままだ。
体力は端からない。
流石の亮太も気が滅入ってきた時、視界にあの洞窟が入ってきた。
「や……やっと……か…」
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