神の盤上〜異世界漫遊〜

バン

文字の大きさ
12 / 163
第2章 異界と異形

鉱石採掘

しおりを挟む
ザァァァァァー

洞窟に雨の音が響き渡る。

「……う……」

亮太は静かに目を覚ました。
眠ってから実に3日が経っていた。

「……雨……か。……あの日と…同じだな………もう3ヶ月は…経ってるんだよな……」

少し感傷に浸る。


それからは傷を治すことに専念したが傷はかなり深いらしく中々治らなかった。
薬草も有限なため、まだ回復しきっていない身体を無理矢理動かして薬草を集めてすり潰し、傷口に塗ると言う作業が2週間ほど続いた。

そしてようやく生活に支障が出ない程度に回復することが出来た。
とは言ってもまだまだ完治には程遠い。
傷口も塞がってはいるが、激しい運動をすれば直ぐにでも開いてしまうだろう。
なので完治するまでは今まで集めた素材を使った武器の精製に専念することにした。

すると新たな発見があった。
集めた素材をステータスプレートにかざすと、その素材や魔物の詳細が浮かび上がったのだ。
どうやらこの世界では化け物のことを魔物と呼称しているようだ。
さらにはずっと武器を作っていたからか、職業が旅人から初級鍛治師に変わっていた。

新たな職業をステータスプレートで確認する。


初級鍛治師
少し粗末な武器や防具を作ることができる。筋力と器用に補正がかかり、武具の扱いも多少上手くなる。



恐らくこの世界では何かの分野をし続ければ職業としてステータスプレートに記載されるのだろう。

初級鍛治師になってからはゴブリン程度ならなんとか壊れずに形を保ってくれそうな武器が作れる様になった。
また、偶然見つけた洞窟裏側の岩場に火炎石と呼ばれる鉱石を大量に見つけ、洞窟の側に見よう見まねで溶鉱炉を作ってからはナイフなどの刃物も作れる様になった。


火炎石
常に熱を帯びた鉱石。火炎石同士を重ね合わせることで温度が火を生み出す。溶かして冷ますと耐火性のある鉱石になるため溶鉱炉にも使用される。


ナイフなどを作れる様になったとはいえあのドラゴンを倒すには程遠いため、亮太は武具の精製を一度やめて、鉱石採取を重点的に行った。

幸い、この森は様々な鉱石が至る所に存在し、素材には困らなかった。

この数日で集めた鉱石は以下の通りだ。


砥石
刃物の切れ味をよくすることができる鉱石。純度が上がるほどより硬い刃物を研ぐことができる。

鉄鉱石
一般的な鉄になる鉱石。不純物がないほど硬くなる。

氷結晶
常にマイナス5℃を保った冷たい結晶。

光石
ほんのりと光っている鉱石。太陽の光を吸収して光る。

翡翠晶
魔力伝導率を高める透き通った鉱石。透き通ったものほど効果は高い。

発燃石
暖かく、非常に脆い鉱石。一度熱した後衝撃を与えると爆発する。火薬としても用いられる。

粘着石
溶かすととても粘着性の高い液体に変わる。主に違う鉱石同士を接合するときに用いられる。3つの段階があり、ランクが低いと不純物が多いのでうまく接合しない。

ウーツ鋼
非常に加工しやすく、弾力性が高い鉱石。ウーツ鋼で作られた武器は折れにくい。

玉鋼
非常に硬く加工しにくい鉱石。純度の高いものは大変希少。主に東の国の刀の素材に使われる。

もう何日もずっと生活しているこの洞窟の奥の壁全てがが高純度の玉鋼であるとわかった時はとても驚いた。
この玉鋼を使えばかなりの業物ができるだろうが、今の亮太には加工する技術がないため、鉄鉱石を使って武器を作り続けた。

作れば作るほど、どんどん鍛治師としての腕が上がっていくのを感じていた。


何度も失敗を繰り返し、すぐに素材がなくなってしまうがこの森は鉱石の宝庫のようだ。

至る所に鉱石がある。
それもどれも純度の高い鉱石だ。

もし一流の鍛治師がこの場所にいれば卒倒するかもしれない。



この洞窟を出る時は玉鋼で刀を作れた時だと亮太は決めていた。

なぜ刀かというと、日本人ゆえの憧れもあるだろうが、一番しっくりきたからだ。さらに言えば、なぜか、他の斧や槍などを作るより適性があったからだ。

また玉鋼で作れるということはそれなりの技術が身についたという証だ。仮に外に出たとしても上手くやっていけるだろうと踏んでいた。
しおりを挟む
感想 94

あなたにおすすめの小説

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2巻決定しました! 【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】 皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました! 本当に、本当にありがとうございます! 皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。 市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です! 【作品紹介】 欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。 だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。 彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。 【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc. その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。 欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。 気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる! 【書誌情報】 タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』 著者: よっしぃ イラスト: 市丸きすけ 先生 出版社: アルファポリス ご購入はこちらから: Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/ 楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/ 【作者より、感謝を込めて】 この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。 そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。 本当に、ありがとうございます。 【これまでの主な実績】 アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得 小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得 アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞 第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過 復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞 ファミ通文庫大賞 一次選考通過

酒好きおじさんの異世界酒造スローライフ

天野 恵
ファンタジー
酒井健一(51歳)は大の酒好きで、酒類マスターの称号を持ち世界各国を飛び回っていたほどの実力だった。 ある日、深酒して帰宅途中に事故に遭い、気がついたら異世界に転生していた。転移した際に一つの“スキル”を授かった。 そのスキルというのは【酒聖(しゅせい)】という名のスキル。 よくわからないスキルのせいで見捨てられてしまう。 そんな時、修道院シスターのアリアと出会う。 こうして、2人は異世界で仲間と出会い、お酒作りや飲み歩きスローライフが始まる。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

異世界転移からふざけた事情により転生へ。日本の常識は意外と非常識。

久遠 れんり
ファンタジー
普段の、何気ない日常。 事故は、予想外に起こる。 そして、異世界転移? 転生も。 気がつけば、見たことのない森。 「おーい」 と呼べば、「グギャ」とゴブリンが答える。 その時どう行動するのか。 また、その先は……。 初期は、サバイバル。 その後人里発見と、自身の立ち位置。生活基盤を確保。 有名になって、王都へ。 日本人の常識で突き進む。 そんな感じで、進みます。 ただ主人公は、ちょっと凝り性で、行きすぎる感じの日本人。そんな傾向が少しある。 異世界側では、少し非常識かもしれない。 面白がってつけた能力、超振動が意外と無敵だったりする。

異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた

りゅう
ファンタジー
 異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。  いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。  その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。

異世界だろうがソロキャンだろう!? one more camp!

ちゃりネコ
ファンタジー
ソロキャン命。そして異世界で手に入れた能力は…Awazonで買い物!? 夢の大学でキャンパスライフを送るはずだった主人公、四万十 葦拿。 しかし、運悪く世界的感染症によって殆ど大学に通えず、彼女にまでフラれて鬱屈とした日々を過ごす毎日。 うまくいかないプライベートによって押し潰されそうになっていた彼を救ったのはキャンプだった。 次第にキャンプ沼へのめり込んでいった彼は、全国のキャンプ場を制覇する程のヘビーユーザーとなり、着実に経験を積み重ねていく。 そして、知らん内に異世界にすっ飛ばされたが、どっぷりハマっていたアウトドア経験を駆使して、なんだかんだ未知のフィールドを楽しむようになっていく。 遭難をソロキャンと言い張る男、四万十 葦拿の異世界キャンプ物語。 別に要らんけど異世界なんでスマホからネットショッピングする能力をゲット。 Awazonの商品は3億5371万品目以上もあるんだって! すごいよね。 ――――――――― 以前公開していた小説のセルフリメイクです。 アルファポリス様で掲載していたのは同名のリメイク前の作品となります。 基本的には同じですが、リメイクするにあたって展開をかなり変えているので御注意を。 1話2000~3000文字で毎日更新してます。

処理中です...