神の盤上〜異世界漫遊〜

バン

文字の大きさ
19 / 163
第3章 黒竜と歴史

稀ノ休日

しおりを挟む
『着いたぞ』

飛んだ時間はほんの数秒だが、亮太には何時間にも感じた。

「やっとか…腕がパンパンだ……て、すげぇ景色だな」

今亮太は天を貫くほど高い世界樹の上にいる。
下を見れば大地が小さすぎて距離感が掴めないほど小さく見える。
だが亮太にそこまで景色で感動するという精神はない。

「で、家ってどれだ?」

すぐに景色から目をそらして尋ねる。

『目の前にあるじゃろ…ほれ…あれじゃよ』

黒竜が大きな爪で指した方には人1人が通れそうな木の裂け目らしき穴がある。

「…いやいや…あんた入れねぇだろ」

『この姿のままではな…』

そういうと黒竜はどんどん黒い光を放つと、小さくなりどこにでもいそうな、しかしどこかに神々しい気配を感じる老人の姿に変わった。

『これで大丈夫じゃろ…儂はいつもこの姿で生活しておるんじゃよ』

「…ひ…人に…なった…」

『おや?…人化を知らんのか?……そうか…異世界人なら知らなくて当然じゃったか』

「…もう…勝手にしてくれ…」

ここは異世界だ…何が起きても不思議ではない。

(いちいち衝撃受けてたら身体が持たん…気にするのやめよう…)

そう思う亮太だった。

「で?…あんたは何を話したいんだ?」

『いやなに…話し相手になってもらいたくての…この前は見かけた途端に森の奥に走って行ってしまったから声を掛けれなくての……」

「当たり前だ…威圧感まるだしだっての…逃げるに決まってんだろ」

『そうなのか…何しろ人と接する機会など殆どないからのう……ところで……そのあんたというのはやめてくれんか?』

「…じゃあなんて呼べばいいんだ?」

『儂の名はクロノスじゃ』

「クロノスか…俺は亮太だ。ところでその…人化?をしても声は相変わらず頭の中で聞こえるんだな…てっきり喋れるもんだとおもったんだが」

『儂は人間の姿には成れるが、声帯が違うんじゃよ』

「なるほど…でも、どうやって頭の中から聞こえるんだ?」

『念話という魔法を使っておるのじゃ』

「やっぱ魔法だったか…念じて話すってことね」

『その通りじゃ…おっと…茶を出すのを忘れておった。そこに座って待っておれ』

クロノスはそのまま奥に行ってしまった。

改めて周りを見渡すと、裂け目の中は木でできた洞窟のようで、世界樹だからなのか神秘的な雰囲気を醸し出している。
洞窟の所々から太陽の光が差し込み、世界樹の木が少し白っぽく発光している。また、かなりの高度にも関わらず空気も濃く、程よい暖かさだ。

亮太は近くにあった木の幹をステータスプレートにかざす。


世界樹
神木が何千、何万年と成長した神聖な木。その葉は様々な薬に使われ、その木はどんな木よりも硬く魔法伝達率も高い。魔法の元となる魔素を生み出しているとも言われている。

「…貰っとくか…」

さすがに千切るのは良くないと思い落ちている葉や枝を回収した。

『できたぞ…世界樹の葉で作った茶じゃ』

クロノスが茶を運んで来た。

「あぁ…」

一口飲むと身体中の毒素が出たのではと思うほど疲れが消え、その味はほどよく苦く、風味はとても心が落ち着くものであった。

「…美味い…こんな美味い茶は初めてだ」

亮太は心の底からそう思った。

『そうじゃろ!…そうじゃろそうじゃろ!その茶はな、儂がイチから作った自慢の茶なんじゃ』

自分で作った茶が褒められたことにクロノスは興奮したのかその後、永遠世界樹の茶について聞かされた。

『……そうしてじゃな…ようやく世界樹の茶が出来るというわけじゃ』

「…そ…そうか…大変なんだな」

『おっと…話が長かったのう…すまんな。してお主…その外套は…』

「あぁ…廃墟で見つけたんだ。漆黒の外套つってな、なんでも黒竜の鱗で作られているらしい…ん?」

そこで亮太はある事に気付いた。この外套は黒竜の鱗で出来ている…そして目の前には黒竜がいる…

『そりゃ儂の鱗でできておる。昔ここに来た人間に作ってやったんだがの…まさかお主が持っておるとは思わなんだ』

「やっぱあんなのだったか……返そうか?」

『いや…よい…貰ってくれ。儂が持っていても仕方ないからな』

「そうか…なら遠慮なく。てかこれクロノスが作ったのか」

『そうじゃ…数百年ほど前じゃったかの…儂は人化して人里にしばらく住んでいたことがあっての……』

それからクロノスは昔の話をし出した。
しおりを挟む
感想 94

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

酒好きおじさんの異世界酒造スローライフ

天野 恵
ファンタジー
酒井健一(51歳)は大の酒好きで、酒類マスターの称号を持ち世界各国を飛び回っていたほどの実力だった。 ある日、深酒して帰宅途中に事故に遭い、気がついたら異世界に転生していた。転移した際に一つの“スキル”を授かった。 そのスキルというのは【酒聖(しゅせい)】という名のスキル。 よくわからないスキルのせいで見捨てられてしまう。 そんな時、修道院シスターのアリアと出会う。 こうして、2人は異世界で仲間と出会い、お酒作りや飲み歩きスローライフが始まる。

異世界転生日録〜生活魔法は無限大!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
☆感想の受付開始しました。 【あらすじ】   異世界に転生したルイは、5歳の高熱を境に、記憶を取り戻す。一度は言ってみたい「ステータス・オープン」で、ステータスを見れることに気付いた。スキル「生活魔法∞(無限大)」を発見。その意味を知るルイは、仄かに期待を抱いた。  それと同時に、今世の出自である農家の四男は、長男大事な両親の態度に、未来はないと確信。  家族に隠れて、ステータスにあったスキルの一つ「鑑定」を使い、村のお婆(薬師)相手に、金策を開始。  十歳の時に行われたスキル鑑定の結果を父に伝えたが、農家向きのスキルではなかったルイは「家の役には立たない」と判断され、早々に家を追い出される。   だが、追放ありがとう!とばかりに、生活魔法を知るべく、図書館がある街を目指すことにしたルイ。  最初に訪れた街・ゼントで、冒険者登録を済ませる。だがそのギルドの資料室で、前世の文字である漢字が、この世界の魔法文字だという事実を知ることになる。  この世界の魔法文字を試したルイは、魔法文字の奥深さに気づいてしまった。バレないように慎重に……と行動しているつもりのルイだが、そんな彼に奇妙な称号が増えて行く。  そして、冒険者ギルドのギルドマスターや、魔法具師のバレンと共に過ごすうちに、バレンのお師匠様の危機を知る。  そして彼に会いにいくことになったが、その目的地が、図書館がある魔法都市アルティメットだった。  旅の道中もさることながら、魔法都市についても、色々な人に巻き込まれる運命にあるルイだったが……それを知るのは、まだ先である。 ☆見切り発車のため、後日変更・追記する場合があります。体調が不安定のため、かける時に書くスタイルです。不定期更新。 ☆カクヨム様(吉野 ひな)でも先行投稿しております。

さようなら竜生、こんにちは人生

永島ひろあき
ファンタジー
 最強最古の竜が、あまりにも長く生き過ぎた為に生きる事に飽き、自分を討伐しに来た勇者たちに討たれて死んだ。  竜はそのまま冥府で永劫の眠りにつくはずであったが、気づいた時、人間の赤子へと生まれ変わっていた。  竜から人間に生まれ変わり、生きる事への活力を取り戻した竜は、人間として生きてゆくことを選ぶ。  辺境の農民の子供として生を受けた竜は、魂の有する莫大な力を隠して生きてきたが、のちにラミアの少女、黒薔薇の妖精との出会いを経て魔法の力を見いだされて魔法学院へと入学する。  かつて竜であったその人間は、魔法学院で過ごす日々の中、美しく強い学友達やかつての友である大地母神や吸血鬼の女王、龍の女皇達との出会いを経て生きる事の喜びと幸福を知ってゆく。 ※お陰様をもちまして2015年3月に書籍化いたしました。書籍化該当箇所はダイジェストと差し替えております。  このダイジェスト化は書籍の出版をしてくださっているアルファポリスさんとの契約に基づくものです。ご容赦のほど、よろしくお願い申し上げます。 ※2016年9月より、ハーメルン様でも合わせて投稿させていただいております。 ※2019年10月28日、完結いたしました。ありがとうございました!

クラスまるごと異世界転移

八神
ファンタジー
二年生に進級してもうすぐ5月になろうとしていたある日。 ソレは突然訪れた。 『君たちに力を授けよう。その力で世界を救うのだ』 そんな自分勝手な事を言うと自称『神』は俺を含めたクラス全員を異世界へと放り込んだ。 …そして俺たちが神に与えられた力とやらは『固有スキル』なるものだった。 どうやらその能力については本人以外には分からないようになっているらしい。 …大した情報を与えられてもいないのに世界を救えと言われても… そんな突然異世界へと送られた高校生達の物語。

クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる

アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。 でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。 でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。 その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。 そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。

いきなり異世界って理不尽だ!

みーか
ファンタジー
 三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。   自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!

50代無職、エルフに転生で異世界ざわつく

かわさきはっく
ファンタジー
就職氷河期を生き抜き、数々の職を転々とした末に無職となった50代の俺。 ある日、病で倒れ、気づけば異世界のエルフの賢者に転生していた!? 俺が転生したのは、高位エルフの秘術の失敗によって魂が取り込まれた賢者の肉体。 第二の人生をやり直そうと思ったのも束の間、俺の周囲は大騒ぎだ。 「導き手の復活か!?」「賢者を語る偽物か!?」 信仰派と保守派が入り乱れ、エルフの社会はざわつき始める。 賢者の力を示すため、次々と課される困難な試練。 様々な事件に巻き込まれながらも、俺は異世界で無双する! 異世界ざわつき転生譚、ここに開幕! ※話数は多いですが、一話ごとのボリュームは少なめです。 ※「小説家になろう」「カクヨム」「Caita」にも掲載しています。

処理中です...