神の盤上〜異世界漫遊〜

第4章 鍛錬と鍛冶

血盟契約

『そういえば、お主にはまだ血盟契約を教えておらなんだな』

「血盟契約？」

『うむ。昔わしが生み出した契約方法での。お主にとってもとても便利なものじゃ』

「どうやるんだ？」

『己の血を武具に垂らし……〈我は主なり、死する時まで共にあらん事を〉……と言うのじゃ。そうすることによってその武具はお主が触る事を認めた者以外触れることができんようになる』

「ほぉ、それはいい契約だな。神器ともなると奪われればシャレにならんからな」

亮太は村正で指先を少し切り、ポタッと刀身に垂らす…

「我は主なり、死する時まで共にあらん事を…」

すると村正は赤い光を放った。
村正に垂れた血はすうっと吸収されたかのように消えた。

「これで終わりか？」

クロノスは不意に村正に触れる。

バチッ

クロノスの手がその音と同時に弾かれた。
弾かれる瞬間、赤い閃光が走ったように見えた。

『血盟契約した武具に勝手に触れるとこうなる…契約できたと言う事じゃな』

「なるほどな…この血盟契約があれば相応しい者のみが神器を持つことができるからな。だがどういう原理なんだ？」

『血とはその者の情報だと考えれば良い。魔力も混ざっておるから契約の媒体としてはもっとも最適なんじゃ』

「血は情報か、確かにそうかもしれないな」

『…あぁ…それと…』

クロノスが奥に何かを取りに行った。

『儂からプレゼントじゃ…』

クロノスは奥から亮太が脱いでいた漆黒の外套を持ってきた。

「…ん？…」

漆黒の外套を受け取った亮太は違和感を覚えた。

『気付いたか…そうじゃ…改良しておいたぞぃ』

「……これは……」

『…劣化しておったからの…改良というより本来の姿に戻したという方が正確じゃな』


漆黒の外套
黒竜の鱗から作られた外套。その性能はとても高く刃も通さない。温度調整、自動修復、治癒、気配遮断の魔法陣が組み込まれており、魔力発現体である。色を任意で変えることが出来る。

「えらく性能が上がったな。俺をどれだけ強くする気だよ」

『お主にはそれが必要かと思うての…それにのう……』

クロノスは言いにくそうにしている。

『いや…この話はまた今度じゃ』

「？…まぁいいけど」

『よし…それじゃ訓練にいくぞぃ』

クロノスは外に飛び出していったが…その背中から寂しさを感じた亮太だった。