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第6章 新天地と冒険者
王都到着
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「咲良…王都が見えてきたぜ」
「あれか…でかいな…想像以上だ」
咲良の目にはまだ数キロは離れているにも関わらず、視界では収まりきらないほどの壁が広がっており、推定50mはあるだろう高さの壁からは内側が全く見えない。
「あれが王都アムルだ…初めて見る人は皆揃って驚くのさ」
目を魔力で強化して見ると壁に大きな門があり、その前方にはたくさんの人が身元審査待ちなのか列を作って並んでいる。
「俺たちも並ぶぞ…」
気付けば防壁まで間近に迫っていた。
「身分証はもってるよな?」
「これでいけるのか?」
咲良はステータスプレートを見せる。
「もちろんだ。確か異世界人のプレートは性能がいいんだったよな?いろんな機能がついてると聞いたことがあるが」
「あぁ、偽装も出来る」
「そりゃいいな。なら隠したいものは隠しておけよ」
「あぁ…そうするよ」
咲良のステータスプレートはステータスの数値を変化する事は出来るが、技能と称号は消すことしか出来ない。また職業に関しては、無職にするか、今まで成った職業にしか偽装する事は出来ない。
今回はレベルを20、ステータスを平均Eにして、技能と称号は無し。職業は旅人とした。
しばらくしてようやく順番が回ってきた。
「身分証をだせ」
門番が咲良に身分証の掲示を求めてきたので偽装したステータスプレートを差し出す。
「旅人か、その割にステータスが高いな…要件はなんだ?」
「観光と冒険者登録ですね」
「なるほど。名前からして東の国出身か。こんな遠方までご苦労なこった」
「彼は途中から私の護衛として雇ったんですよ。旅は道連れって言いますからね」
カゼルがこれ以上ボロが出ないようにフォローに入ってくれる。
「そうか。護衛ができるなら冒険者登録するべきだな。よし、通っていいぞ!登録ならこのまま真っ直ぐ行けばギルドが見えてくる。そこでするといい」
「どうも」
「いいってことよ…次!」
一見無愛想だが、根は優しいんだろうなと門番に良い印象を抱きながら、門を通る。
ちなみに入国料はカゼルが払ってくれた。
「なぁギルドってなんだ?」
「知らないのか?ギルドは冒険者組合の支部みたいなもんだ。いろんなギルドがあってな、許可さえ出れば個人がギルドを立てる事だって出来る。んでギルドで登録したり依頼を受けたりするんだよ。後はそうだな、基本的に冒険者はどっかのギルドに所属する事になるんだ。色々特典とかあるしな。ま、流浪の奴もいるけどな」
「なるほど。そのギルドがあれか」
「そうだ。王都アムルで一番巨大なギルド〈明けの明星〉だ」
咲良の前には木製3階建の建物があり、中から酒の匂いが漂ってくる。まさしく冒険者が出入りしていそうな雰囲気だ。
「まずは咲良の登録だな。その後は俺の店に来てくれないか?」
「わかった。ちょっと待っててくれ」
「俺は入り口で待ってるからよ」
ギルドの中の印象は大きな酒場のようだ。
昼間から酒を飲む男どもで溢れているが、ちらほらと筋肉質な女性もいる。
視界の端にはコルクボードの様なものに沢山の紙が貼られている。おそらくあれが依頼書なのだろう。
「受付はどこですか?」
近くにいた坊主の中年男に声をかけるとあっちだと教えてくれる。見た目によらず親切だと咲良は思った。
教えられたところに行くと受付嬢だろうか、女性が対応してくれた。
「御用はなんでしょう?」
「登録をしに来ました」
「わかりました。プレートをお渡しください。……はい。では一時的に預からせて頂きます。その間にこちらの書類に目を通しておいてください」
渡された洋紙には冒険者のルールが書いていた。
・定期的に依頼を受けなければ登録を抹消する。
・自身の階級以上の依頼を受ける場合、その階級以上の者と受けなければならない。
・街の防衛などの依頼は原則参加しなければならない。
・依頼不達成の場合は罰金があり、不達成が多ければ階級を1つ落とす。
・指名依頼は断ることもできるが罰金がある。
・冒険者同士のいざこざは原則ギルドは介入しない。
・D級までは一定数の依頼をこなせば自動的に上がって行くが、C級からは審査が入る。
・自身の階級より下の依頼を受けることは可能だが、頻度によって階級が落とされる場合がある。
・パーティメンバーは原則6名までとする。
・ギルドに所属しなくても依頼は受けることができるがギルドメンバー特典はない。
・一定以上の功績と人数が揃えばギルド設立が可能。その場合、冒険者組合に毎月上納金を支払わなければならない。
etc
「目を通していただけましたか?」
「はい」
「これらのルールは絶対ですので、破らないようにお願いします」
「わかりました」
「他にご不明な点は?」
「あればまた聞きます」
「分かりました。では登録が完了しましたのでステータスプレートをお返しします」
ステータスプレートをみると職業に冒険者(G)が増えていた。原理は知らないがステータスプレートに書き足す技術はあるようだ。
受付嬢の反応からして偽装はバレていないように思える。
「あと…咲良さんはこのギルド〈明けの明星〉に所属されますか?もちろん審査はありますが」
「いえ、今の所その気はありません」
「よろしいんですか?そのステータスなら可能性は充分あると思いますが…」
「その気になればまた声を掛けます」
「そうですか…ではまた御用の際は声をお掛けください」
これで咲良は念願?の冒険者になった。
「あれか…でかいな…想像以上だ」
咲良の目にはまだ数キロは離れているにも関わらず、視界では収まりきらないほどの壁が広がっており、推定50mはあるだろう高さの壁からは内側が全く見えない。
「あれが王都アムルだ…初めて見る人は皆揃って驚くのさ」
目を魔力で強化して見ると壁に大きな門があり、その前方にはたくさんの人が身元審査待ちなのか列を作って並んでいる。
「俺たちも並ぶぞ…」
気付けば防壁まで間近に迫っていた。
「身分証はもってるよな?」
「これでいけるのか?」
咲良はステータスプレートを見せる。
「もちろんだ。確か異世界人のプレートは性能がいいんだったよな?いろんな機能がついてると聞いたことがあるが」
「あぁ、偽装も出来る」
「そりゃいいな。なら隠したいものは隠しておけよ」
「あぁ…そうするよ」
咲良のステータスプレートはステータスの数値を変化する事は出来るが、技能と称号は消すことしか出来ない。また職業に関しては、無職にするか、今まで成った職業にしか偽装する事は出来ない。
今回はレベルを20、ステータスを平均Eにして、技能と称号は無し。職業は旅人とした。
しばらくしてようやく順番が回ってきた。
「身分証をだせ」
門番が咲良に身分証の掲示を求めてきたので偽装したステータスプレートを差し出す。
「旅人か、その割にステータスが高いな…要件はなんだ?」
「観光と冒険者登録ですね」
「なるほど。名前からして東の国出身か。こんな遠方までご苦労なこった」
「彼は途中から私の護衛として雇ったんですよ。旅は道連れって言いますからね」
カゼルがこれ以上ボロが出ないようにフォローに入ってくれる。
「そうか。護衛ができるなら冒険者登録するべきだな。よし、通っていいぞ!登録ならこのまま真っ直ぐ行けばギルドが見えてくる。そこでするといい」
「どうも」
「いいってことよ…次!」
一見無愛想だが、根は優しいんだろうなと門番に良い印象を抱きながら、門を通る。
ちなみに入国料はカゼルが払ってくれた。
「なぁギルドってなんだ?」
「知らないのか?ギルドは冒険者組合の支部みたいなもんだ。いろんなギルドがあってな、許可さえ出れば個人がギルドを立てる事だって出来る。んでギルドで登録したり依頼を受けたりするんだよ。後はそうだな、基本的に冒険者はどっかのギルドに所属する事になるんだ。色々特典とかあるしな。ま、流浪の奴もいるけどな」
「なるほど。そのギルドがあれか」
「そうだ。王都アムルで一番巨大なギルド〈明けの明星〉だ」
咲良の前には木製3階建の建物があり、中から酒の匂いが漂ってくる。まさしく冒険者が出入りしていそうな雰囲気だ。
「まずは咲良の登録だな。その後は俺の店に来てくれないか?」
「わかった。ちょっと待っててくれ」
「俺は入り口で待ってるからよ」
ギルドの中の印象は大きな酒場のようだ。
昼間から酒を飲む男どもで溢れているが、ちらほらと筋肉質な女性もいる。
視界の端にはコルクボードの様なものに沢山の紙が貼られている。おそらくあれが依頼書なのだろう。
「受付はどこですか?」
近くにいた坊主の中年男に声をかけるとあっちだと教えてくれる。見た目によらず親切だと咲良は思った。
教えられたところに行くと受付嬢だろうか、女性が対応してくれた。
「御用はなんでしょう?」
「登録をしに来ました」
「わかりました。プレートをお渡しください。……はい。では一時的に預からせて頂きます。その間にこちらの書類に目を通しておいてください」
渡された洋紙には冒険者のルールが書いていた。
・定期的に依頼を受けなければ登録を抹消する。
・自身の階級以上の依頼を受ける場合、その階級以上の者と受けなければならない。
・街の防衛などの依頼は原則参加しなければならない。
・依頼不達成の場合は罰金があり、不達成が多ければ階級を1つ落とす。
・指名依頼は断ることもできるが罰金がある。
・冒険者同士のいざこざは原則ギルドは介入しない。
・D級までは一定数の依頼をこなせば自動的に上がって行くが、C級からは審査が入る。
・自身の階級より下の依頼を受けることは可能だが、頻度によって階級が落とされる場合がある。
・パーティメンバーは原則6名までとする。
・ギルドに所属しなくても依頼は受けることができるがギルドメンバー特典はない。
・一定以上の功績と人数が揃えばギルド設立が可能。その場合、冒険者組合に毎月上納金を支払わなければならない。
etc
「目を通していただけましたか?」
「はい」
「これらのルールは絶対ですので、破らないようにお願いします」
「わかりました」
「他にご不明な点は?」
「あればまた聞きます」
「分かりました。では登録が完了しましたのでステータスプレートをお返しします」
ステータスプレートをみると職業に冒険者(G)が増えていた。原理は知らないがステータスプレートに書き足す技術はあるようだ。
受付嬢の反応からして偽装はバレていないように思える。
「あと…咲良さんはこのギルド〈明けの明星〉に所属されますか?もちろん審査はありますが」
「いえ、今の所その気はありません」
「よろしいんですか?そのステータスなら可能性は充分あると思いますが…」
「その気になればまた声を掛けます」
「そうですか…ではまた御用の際は声をお掛けください」
これで咲良は念願?の冒険者になった。
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