魔王の馬鹿息子(五歳)が魔法学校に入るそうです

何てかこうか?

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プロローグ

第一話 最悪の朝は向こうからやってくる

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 朝、黒髪の少女が窓を開けて部屋に風を入れている。初夏だがまだ朝の風は心地よい。一つ深呼吸して、振り返る。部屋は小さいがベッドに机、タンスに本棚、寝泊まりするには十分な設備が備えられている。
 ここはオリギナ魔法学校の女子寮の一室である。
 彼女は振り返って部屋を一瞥し、ため息をつく。
 部屋の隅で聖なる光をダダ漏れさせている剣が有るのだ。どこにどう隠しても光がダダ漏れする。日の光を浴びてさらに光が増したようにも見える。
 彼女はその剣を若干引きつった顔で見ている。少し思い返しただけでもすさまじいインターンの経験だったのだ。学校の優秀生徒を集めて行われたそれは、名誉あるオリギナ皇帝居城での衛兵勤務である。
 選抜されたときには積み重ねた努力が評価されたと内心ガッツポーズしていた。初日は支給された衛士の服に興奮して、荘厳な城で勤務することに誇らしさを感じていたものだ。
 それが三日目、インターンのど真ん中でとんでもない目にあった。
 次期魔界王の襲撃があったのだ。己の欲望のみに行動する次期魔界王によりさんざんな目にあった。人の皮を被った化け物女に喧嘩を売られるわ、ドラゴンにつかまれるわ、狼に狙われるわで大変だったのだ。極めつけは勇者のセクハラと次期魔界王の横暴である。
 思い出したくないのに剣を見るたびに次期魔界王・カテイナのことを思い出す。あのガキは最後のどさくさに紛れて私にセクハラ親父の聖剣を押しつけてきやがったのだ。
 曰く「これなら無くさないよな」と、聖剣と私を結びつけてくれたのである。
 自分の手首を見る。聖剣と同じ白い色のリストバンドががっちり手首に固定されている。
 スキマが無いわけではない。リストバンドと手首の間に指を入れて洗うことも出来る。むしろ見た目は金属なのに柔らかくすらある。
 しかし、外れない。指を引っかけて顔が真っ赤になるほどに引っ張っても外れない。手首からある程度ずらすとそれ以上動かなくなるのだ。
 オリギナの誇る魔法研究所でも調べてもらったが結論は”呪い”とのことだった。しかも次期魔界王の呪いである。人間には外せないとの最終結論は私には受け入れ難いものだった。
 ため息をついて着替えを始める。始業時間までに着替えと食事と授業の準備をしないといけない。いつまでもへこんでいられないのだ。
 寮の共同炊事場を利用して軽い朝食を作って食べる。
 部屋に戻り一通りの準備を終えて、聖剣を身につけて部屋を出る。
 自分の意識は一連の日常のルーティンで普通に戻した。だがしかし、最悪は向こうの方からやってきたのである。開けたドアの正面にクソガキが、次期魔界王が、カテイナが待っていたのである。
 
「おはようだな! クラウディア!」

 この一言で、クラウディアの胃は聞いたことのない音を立てて痛み出したのである。
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