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オリギナ魔法学校
第二十四話 クラウディアVSシヲウル
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「みましたか?」
「見た。見たぞ! あれが我々のオーバーアクセルの完成系!」
近くで声がしている。多分、校長と副師団長だ。この後に及んでまだ魔法の話をしているのか……私もいつかこうなるのだろうか?
破裂音がする。今までで一度しか聞いたことのない音、完治したはずのお尻がむず痒い。馬鹿の断末魔が聞こえた気がする。
ため息をつく。魔王の戦闘の巻き添え、これだけで戦意霧散だ。ひとまず無事に生き残ったことに安どする以外のことはできない。シヲウルがカテイナを仕留めた以上、この騒ぎが拡大することは無い。
しかし、ゾクリとする声が聞こえた。
「お・ま・え・ら、何を見たんだ?」
校長の悲鳴が聞こえた。
割れた地面から顔を出す。
シヲウルが校長の首をつかんで持ち上げている。
「貴様ら、カテイナをたぶらかして、何をやっていた?」
指先のめり込みが容赦のなさを示している。
「げ、ゲート、魔法の 限、界……」
「そんなもののために命をかけるとはな。ならば、私がお前を空の彼方に送ってやろう。ゲート魔法の限界、空の果てにな」
「お、お待ちを! カテイナ様には同意を得たうえで」
二回目の衝撃が走った。ただのシヲウルの素振りだったが、空気が裂けて地面の亀裂が増えている。
余りの迫力に副師団長も二の句が継げない。
「悪戯をしたから、カテイナは罰した! 今度はお前らの番だ。子供を利用しておのれの利益を図る、搾取……いや、幼児をだまして魔界の国防に穴をあけようとしたんだ。外患誘致罪が適当だな。死罪確定、即執行だっ!」
シヲウルの手に魔力が集中している。魔王の迫力にその場の全員が威圧されていて身動き取れない。私だけが全速力で飛び出せた。きっと聖剣のおかげだろう。
腰に差していた聖剣をふるってシヲウルの目の前に剣を突きつける。
「待ってください!」
シヲウルの顔がこちらを向く。体に震えがくる。
「“待って”とは?」
「し、死刑執行は、 違います」
シヲウルの視線が細く、鋭く、酷薄に変わる。口だけがきつい弧を描いて笑っている。
こ、怖い。なんで私はこの魔王の前に立ったのか? 聖剣のせいだとしたら聖剣を呪う。言っちゃ悪いがいろいろと漏れそうだ。
「違うとは?」
「こ、ここは、お、オリギナ帝国です。彼女はオリギナ帝国の法で裁きます」
大魔王のこめかみで青筋がおどっている。そして、歯が見える。
「私がお前らの性格を知らないとでも思ったのかっ!!!」
魔力の衝撃が吹き抜ける。カテイナとはけた違いだ。皇都が、国が揺れたかと思うほど。膝が笑い始める。
魔法技量が高いはずの近衛兵が吹き飛んでいる。私は聖剣が魔力を切ってくれた。
「そ、それでも、校長の手を放して下さい。自分の母が殺人をしたなんてカテイナ君が――」
その先は言えない。魔王の瞳孔がすぅっと細く引き絞られた。激怒から冷酷へ。ムカついたからぶんなぐるから的確に急所を打ち抜くへ思考が変わっている。
指先が、校長をつかんでいない方の腕がのびてくる。
人差し指で剣先を抑える。
「なぁ、クラウディア、カテイナがなんだって? 言ってくれないかな?」
すさまじい力で剣先を押されている。支えきれずに腕ががたがた震える。
「お、お母さんが殺人犯だなんて」
剣先に加わる力が一気に増す。あっという間に腰が砕けてしりもちをついた。
無理やり座らされたような格好……だが、視線が外せない。目をそらしたら、魔王の言葉に負けたら殺されてしまう。
「魔王の両手が血に汚れていないと思っているのか? カテイナは知っている、私がどれほどのものかをな」
私のマヌケ様をあざ笑うかのように笑っている。剣の柄が地面にめり込み始める。
息をするのすらきつい。視線を受けているだけで寿命が縮む。
引き絞られた瞳孔が限界を迎えている。時間切れだ。
不意にシヲウルが視界から消える。あ……私は死んだのかもしれない。
「シヲウル様~」
すっごい能天気な声が聞こえる。どさりと隣で音がして校長が解放されていた。
声のする方向を見れば翼の生えた女性が舞い降りてきていた。そして近くからすさまじい音量で舌打ちが聞こえる。
シヲウルは白い翼の天使を正面に迎えて私たちを背中に隠した格好だ。
「なんだ? ジブリル?」
「はい、この度は突然の御来訪で、準備はままならぬとはいえ、まずはご来訪の挨拶をと思いまして、はせ参じた次第です。
シヲウル様、この度はどのようなご用事でしょうか?
是非、ジブリルめにご用を申し付け下さい」
魔王に対して天使が深々とお辞儀をしている。
そして魔王は首を横に振った。
「おまえを呼んだ覚えはない」
「それは失礼をいたしました。ですが、何かと不自由なこともおありでしょう。不肖、このジブリル、これからシヲウル様のお供をさせていただきます」
「いらん! もう、帰るところだ」
「あ、それではお見送りをさせていただきます」
最敬礼でお辞儀をする天使を背にして、シヲウルがゲート魔法を展開する。
一瞬、目が合ったが、“今に見ていろ”を表情で表したらこんな顔だろう。心臓が軽く悲鳴を上げて、めまいがした。
体を持ち直した時にはすでに魔王の姿は無い。天使もようやく頭を上げたところだ。
天使が大きく息を吐く。
「皆様、この度は我が国の主がご迷惑をおかけしました。主に代わりお詫び申し上げます。怪我をされた方は大使館へいらしてください。怪我の治療を行います。破壊された施設は我が国が費用を負担して修復します。費用請求は大使館へお願いします」
そう言って、我々にも深々とお辞儀をした。
この人は知っている。このオリギナで知らぬ人はいないだろう。魔界の駐オリギナ大使だ。この国の歴史に残るであろう人物でもある。
シヲウルじきじきの指名によりこの国に来た。オリギナにおけるシヲウルの代行者なのだ。魔界の最高幹部の一人なのだろう。
そんな人ががれきの中からカテイナを抱き上げる。優しく、そっとだ。
「そこの聖剣を持った方、隣のけが人をつれて大使館まで来てください」
そう言って、私を指名するとジブリルはふわりと空に舞った。
「見た。見たぞ! あれが我々のオーバーアクセルの完成系!」
近くで声がしている。多分、校長と副師団長だ。この後に及んでまだ魔法の話をしているのか……私もいつかこうなるのだろうか?
破裂音がする。今までで一度しか聞いたことのない音、完治したはずのお尻がむず痒い。馬鹿の断末魔が聞こえた気がする。
ため息をつく。魔王の戦闘の巻き添え、これだけで戦意霧散だ。ひとまず無事に生き残ったことに安どする以外のことはできない。シヲウルがカテイナを仕留めた以上、この騒ぎが拡大することは無い。
しかし、ゾクリとする声が聞こえた。
「お・ま・え・ら、何を見たんだ?」
校長の悲鳴が聞こえた。
割れた地面から顔を出す。
シヲウルが校長の首をつかんで持ち上げている。
「貴様ら、カテイナをたぶらかして、何をやっていた?」
指先のめり込みが容赦のなさを示している。
「げ、ゲート、魔法の 限、界……」
「そんなもののために命をかけるとはな。ならば、私がお前を空の彼方に送ってやろう。ゲート魔法の限界、空の果てにな」
「お、お待ちを! カテイナ様には同意を得たうえで」
二回目の衝撃が走った。ただのシヲウルの素振りだったが、空気が裂けて地面の亀裂が増えている。
余りの迫力に副師団長も二の句が継げない。
「悪戯をしたから、カテイナは罰した! 今度はお前らの番だ。子供を利用しておのれの利益を図る、搾取……いや、幼児をだまして魔界の国防に穴をあけようとしたんだ。外患誘致罪が適当だな。死罪確定、即執行だっ!」
シヲウルの手に魔力が集中している。魔王の迫力にその場の全員が威圧されていて身動き取れない。私だけが全速力で飛び出せた。きっと聖剣のおかげだろう。
腰に差していた聖剣をふるってシヲウルの目の前に剣を突きつける。
「待ってください!」
シヲウルの顔がこちらを向く。体に震えがくる。
「“待って”とは?」
「し、死刑執行は、 違います」
シヲウルの視線が細く、鋭く、酷薄に変わる。口だけがきつい弧を描いて笑っている。
こ、怖い。なんで私はこの魔王の前に立ったのか? 聖剣のせいだとしたら聖剣を呪う。言っちゃ悪いがいろいろと漏れそうだ。
「違うとは?」
「こ、ここは、お、オリギナ帝国です。彼女はオリギナ帝国の法で裁きます」
大魔王のこめかみで青筋がおどっている。そして、歯が見える。
「私がお前らの性格を知らないとでも思ったのかっ!!!」
魔力の衝撃が吹き抜ける。カテイナとはけた違いだ。皇都が、国が揺れたかと思うほど。膝が笑い始める。
魔法技量が高いはずの近衛兵が吹き飛んでいる。私は聖剣が魔力を切ってくれた。
「そ、それでも、校長の手を放して下さい。自分の母が殺人をしたなんてカテイナ君が――」
その先は言えない。魔王の瞳孔がすぅっと細く引き絞られた。激怒から冷酷へ。ムカついたからぶんなぐるから的確に急所を打ち抜くへ思考が変わっている。
指先が、校長をつかんでいない方の腕がのびてくる。
人差し指で剣先を抑える。
「なぁ、クラウディア、カテイナがなんだって? 言ってくれないかな?」
すさまじい力で剣先を押されている。支えきれずに腕ががたがた震える。
「お、お母さんが殺人犯だなんて」
剣先に加わる力が一気に増す。あっという間に腰が砕けてしりもちをついた。
無理やり座らされたような格好……だが、視線が外せない。目をそらしたら、魔王の言葉に負けたら殺されてしまう。
「魔王の両手が血に汚れていないと思っているのか? カテイナは知っている、私がどれほどのものかをな」
私のマヌケ様をあざ笑うかのように笑っている。剣の柄が地面にめり込み始める。
息をするのすらきつい。視線を受けているだけで寿命が縮む。
引き絞られた瞳孔が限界を迎えている。時間切れだ。
不意にシヲウルが視界から消える。あ……私は死んだのかもしれない。
「シヲウル様~」
すっごい能天気な声が聞こえる。どさりと隣で音がして校長が解放されていた。
声のする方向を見れば翼の生えた女性が舞い降りてきていた。そして近くからすさまじい音量で舌打ちが聞こえる。
シヲウルは白い翼の天使を正面に迎えて私たちを背中に隠した格好だ。
「なんだ? ジブリル?」
「はい、この度は突然の御来訪で、準備はままならぬとはいえ、まずはご来訪の挨拶をと思いまして、はせ参じた次第です。
シヲウル様、この度はどのようなご用事でしょうか?
是非、ジブリルめにご用を申し付け下さい」
魔王に対して天使が深々とお辞儀をしている。
そして魔王は首を横に振った。
「おまえを呼んだ覚えはない」
「それは失礼をいたしました。ですが、何かと不自由なこともおありでしょう。不肖、このジブリル、これからシヲウル様のお供をさせていただきます」
「いらん! もう、帰るところだ」
「あ、それではお見送りをさせていただきます」
最敬礼でお辞儀をする天使を背にして、シヲウルがゲート魔法を展開する。
一瞬、目が合ったが、“今に見ていろ”を表情で表したらこんな顔だろう。心臓が軽く悲鳴を上げて、めまいがした。
体を持ち直した時にはすでに魔王の姿は無い。天使もようやく頭を上げたところだ。
天使が大きく息を吐く。
「皆様、この度は我が国の主がご迷惑をおかけしました。主に代わりお詫び申し上げます。怪我をされた方は大使館へいらしてください。怪我の治療を行います。破壊された施設は我が国が費用を負担して修復します。費用請求は大使館へお願いします」
そう言って、我々にも深々とお辞儀をした。
この人は知っている。このオリギナで知らぬ人はいないだろう。魔界の駐オリギナ大使だ。この国の歴史に残るであろう人物でもある。
シヲウルじきじきの指名によりこの国に来た。オリギナにおけるシヲウルの代行者なのだ。魔界の最高幹部の一人なのだろう。
そんな人ががれきの中からカテイナを抱き上げる。優しく、そっとだ。
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