毒親と私の歩んで来た道

華夜

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優しかった頃の両親

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私の1番古い2歳の記憶。
その中でも特に忘れられず、今もフラッシュバックしたり夢に出てくる記憶がある。
それは、両親が家の中で罵声、奇声をあげながら殴り合いの喧嘩をしている光景。
私は泣きじゃくりながらぬいぐるみを抱きしめ、ただただ両親の姿を見つめているしかなかった。
その日を境に両親も私の生活も大きく変わってしまった。


 私の家庭は元からこの様な状況にあった訳では無い。
 幼い頃は朝8時から夜8時まで保育園に預けられ、保育園が休園で預けられない時には両家の実家に預けられていた。両親の仕事が休みの日には家族3人で出掛けたりもしていた。
預けられている時には両親に会えず寂しい気持ちもあったが、お迎えに来てもらい両親に会えた嬉しさと家族で出掛けられる日を楽しみに、毎日を楽しく過ごせていた。
そんな日々が突然終わるとも知らずに。

 前述に書いた喧嘩を境に、父親が家に居る日は母親が帰って来ず、母親が家に居る日は父親が帰って来ない日々が続いた。楽しみにしていた両親とのお出掛けもパッタリ無くなった。
幼かった私は「パパとママ忙しいのかな?」程度にしか考えていなかった。
最初は両親のどちらかが私と家に居る状態が続いていたが、次第に母親だけが私と家に居る様になっていた。「パパは?」と母親に尋ねると、「お仕事が忙しいんだよ。」と浮かない顔で言われた。
母親の言葉を私は素直に信じていた。
当時、父親はトラックドライバーの仕事をしていたので就労時間がとても変則的だった。朝方に帰って来る事もあれば、夜中に帰ってくる事もあった。出勤時間も同様だ。
朝早くに帰って来る時には必ずお菓子のお土産があった。私はとても嬉しかった。
大きな丸缶に入ったお菓子の詰め合わせを貰った記憶を最後に父親の記憶は無い。
正確に言えば父親を最後に見た記憶。

 それから暫くして、私と母親は3人で住んでいた家を出て行く事になり、車上生活や、親戚の家を転々として生活をしていた。おそらくこの時には既に両親は「離婚」していたんだろう。
幼かった私には知る由もない話だ。
そんな生活を続けていたある日、母親から驚く様な話をされる。
「今日から華夜の新しいパパになってくれる人と、一緒のお家に住むからね」と言われたのだ。
詳しく経緯を説明されたところ、実父の不倫が理由で離婚をした。実父の不倫が発覚した時に同じ職場で働く男性(後の養父)に相談をしていた。それがきっかけとなり、養父と母親の交際が始まっていた。(母親は幼い私に伝わる様、噛み砕いて説明をしてくれた。)
ただ、幼かった私には到底理解など出来なかった。
私の中で「パパ」と言う存在は実父であり、「新しいパパ」なんている訳が無いと思っていたからだ。そして顔も名前も知らない養父に対して、「新しいパパ」=「知らない人」と言う認識でいた。
「不倫」についても母親から説明はあったが幼かった私に理解する事など出来なかった。

 母親の話をすんなり飲み込めなかった私は、暫くの間新しいパパが居ないタイミングで「華夜のパパとママと3人で前のお家に住まないの?」・「華夜のパパはどこにいるの?」などと度々、母親に尋ねていた。
繰り返し聞かれる私の疑問に母親も嫌気がさしたのだろう。ある日、保育園帰りの車の中で母親に「パパどこにいるのかな?」と聞くと「てめぇ、いい加減しつけぇんだよ。何回も何回も、パパは?パパは?って聞いてくるんじゃねぇよ。」と、ハンドルを激しく叩きながら半狂乱で言われたのを覚えている。
当時の私は3歳程度。母親の対応を見てとてつもなくショックを受けた。それまで優しかった母親がまるで別人の様に見えた。
それ以降。私は母親に実父について尋ねる事を辞めた。

 新しい生活を新しいパパ(以降は養父と記す)と共にしていく毎に、母親も養父も変わってしまった。ここから2人は「親」から「毒親」に変わったのだろう。
そして、私の楽しく過ごせていた日々も大きく変わってしまう事になる。
 今思い返すと、母親・養父共に一緒に生活を始めた当初から既に変わっていた部分もあったのだろう。



次回は、養父との新しい生活から豹変していく2人の様子を綴ていきます。



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