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第25話「四国山中編⑧ メガトン爆弾投下」
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(前回のあらすじ)
僕「みお」と愛する「琴子」は四国山中の敵本拠地に突入した。
基地の中は少年に擬態した怪異が一匹いるほかは、死体ばかり。一体何があったのだろうか?
僕と琴子は地下へ延々と続く道を降りていった。地下への道はすぐに自然の洞窟に変わり、スロープ状の下り坂が続いていた。
その下り坂にあるのは、比喩ではなく地獄だった。
通路の左右には「血の池地獄」「叫喚地獄」の立札と共におどろおどろしい、地獄の鬼や苦しむ罪人の像が並んでいた。ここは恐らく昔の宗教施設のテーマパークだったのだろう。
地獄めぐりを延々とさせた後で、お釈迦様の慈悲でエレベーターで現世に戻り、最後はケーブルカーで温泉に行き極楽を味わって帰る。
最も今残っているのは地獄だけである。
「みお、だいぶ降りてきたけど、今どのくらい?」
「野村隊長の見取り図だと三分の二は来ているはずだ。しかしここまで誰もいないとなると・・」
「最後の最後で戦力を集中しているわけね。その方が早いわ。爆弾投げつけてまとめて処理できる。」
「洞窟が崩れないようにしてくれよ。こんな所で落盤になったらお終いだ。」
僕がそう言った時だった。前方に気配を感じる。
見ると、この先の賽の河原を再現した広間で、白い制服を着た男たちが横一列に並んでいた。
10人はいるだろう。一見普通の男たち。
しかしその口元は……全員が異様な変異を遂げていた。
「みお、私が一気に突っ込んで全員の首を刎ねる。援護して。」
「待て、琴子。様子がおかしい。」
全員武器を持っていない。
しかし僕は相手が身に付けている物に注目した。
みんな腰に何かベルトを巻きつけている。あれは・・。
その瞬間、室内にどこからかアナウンスが流れた。
「行け、神の戦士たち、今こそ殉教を行うのだ!侵入者に裁きを!」
琴子が舌打ちをする。
「ちいっ!見られている!?」
「琴子、後ろに向かって走れ!あれは・・・」
僕は大声で怒鳴った。
「自爆ベルトだああーーーーっ!!」
琴子が事の重大性に気付き、血相を変えて後ろにダッシュする。
僕も手榴弾のピンを抜くと、怪異たちに投げつけてそのまま逃走した。
次の瞬間、凄まじい爆発と共に僕たちの体が吹っ飛ぶ。
しかし琴子は何とか踏みとどまると、僕の体を受け止めてくれた。
「琴子!僕の体を抱えて走れ!」
琴子は一瞬で僕の体を抱きしめたまま担ぎ上げると、信じられない速度で走り始めた。
僕は琴子に担ぎ上げられたまま、ベレッタを構えると、後方に向かって点射する。
パンパンと発砲音がするたびに、怪異が転げ落ち、その場で爆発する。
しかし驚くことに怪異はその爆発の中を何体も炎に包まれながら飛び越えて突進してくる。
畜生!コイツら何体いるんだ!?
あっという間にベレッタの弾倉が空になる。
しかし琴子に担ぎ上げられている状態で弾倉の交換なんかできない。
僕はやむを得ず懐の手榴弾のピンを抜いて、後ろから突進してくる怪異の群れに投げつけた。
大きな爆発音と共に、こっちの顔が焼けつくような強烈な光と熱が飛んでくる。
でも僕の持っている手榴弾はこれでカンバンだ!
こっから先どうする!?
その時だった。
手榴弾の爆発の衝撃を受けてよろめいた僕たちは、何者かに激しく引っ張られ横にある池の水面の中に引きずり込まれた。
同時刻、第十一師団戦車中隊に向かって数百の怪異が迫っていた。
井田は目の前の光景が信じられなかった。
井田の欺瞞情報でピエン砲が山の斜面をめちゃくちゃに砲撃して破壊する中、残った怪異が腕がもげようが、足がもげようが這ってでもこっちに向かってくる。
敵との接敵距離はもう200mを切っていた。時折、ボンボンッと60式自走無反動砲の砲弾が周囲で爆発するが、いかんせんこの無反動砲は一旦発射すると装填に時間がかかる。
しかも4台しかないのだ。
頼みの綱は4台の装甲車の機銃と……。
「目標正面!近距離水平射撃!撃てえええっつ!!」
ズドドドドッ!!
野村隊長の号令で凄まじい音を立ててツングースカの30mm対空機関砲が水平に射撃される。
あっという間にミンチにされる怪異たち。
しかし砲撃の音と共に井田は思った。
あの30mm機関砲の弾は後何発あるんだろう?
井田はその恐怖に怯えながら、みおと琴子の事を考えた。
あのお嬢ちゃんたちはこんな連中を生身で相手してるのか!?
彼は顔を冷や汗が流れるのを感じながら焦る心で双眼鏡を覗き続けた。
僕は自爆ベルトを身に付けた何十体もの怪異が、出口の方に走り去っているのを後ろから呆然と見つめていた。
いや、正確には後ろではなく、池の奥のほうの水面からこっそりだ。
僕と琴子は池の中に引きずり込まれたせいで首まで水に漬かっていた。
そして僕と琴子の間から白いずぶ濡れのカチューシャと赤い角がひょいっと顔を出した。
「行ったようでございますわね。」
ずぶぬれの銀髪から申し訳なさそうな顔が覗く。
アルファだった。
「いきなり人を池の中に引きずり込むのはいかがなものかな~。鼻の中に水が入りました。」
琴子がぷうっとむくれる。
「申し訳ございません。琴子中尉。ど~考えたって絶体絶命の大ピンチだったと思いますけど。」
「助けてくれてありがとう。と言いたいところだがとりあえず先にここから出よう。水が冷たい。」
洞窟の水は想像していたよりもずっと冷たく、夏だというにも拘わらず僅かな間でも凍えそうになる。
僕たちは周囲に誰もいないことを確認して、地面に上がった。
「市ヶ谷で会った時以来だね。元気してた?」
琴子がまるで友人に話すようにアルファに語りかけることに僕は驚く。
琴子はもっと他人を警戒する人間だった筈であるが…。
ましてや僕と異なり、琴子は前回このアルファと戦闘をしたばかりなのだ。
アルファも心底驚いたらしく、目を大きく見開いている。
「え、あの、琴子中尉。私のこと警戒なさらないのですか?」
「みおを飛行機から助けてくれたの見てるから。ダイジョブだよ。」
そう言って琴子はニッと笑った。
アルファは信じられない、という様子で琴子を見ている。
僕も信じられなかった。
ただこれで琴子がアルファの妖気に反応し、自動的に斬りかかり戦闘になるという最悪の事態は避けられそうだ。
これだけで不確定要素の殆どが無くなる。
作戦を次に進めるべきだ。
「アルファ、ひとまず礼を言う。ただ状況は少しも良くなってない。この地下施設はおそらく怪異だらけだ。一番奥まで進むのは骨が折れるぞ。」
「お二人には失礼ですが、この地下施設は監視カメラこそないですが、あちこち赤外線センサーだらけです。いきなり一本道を奥に進むのは軽率でしたわ。」
「げっ、赤外線センサー!?そんなのあるの?」
琴子がうんざりしたように言う。
そう琴子は監視カメラであれスコープ越しであれ、他人からの視線は必ず気付く。
理由は不明だが「わかる」らしい。
ただそれでいて落とし穴とか単純なトラップには意外と引っかかりやすい。
(一方こっちは僕にとっては得意分野だ。ただ流石にこの時代に赤外線センサーがあるとは思わなかったが。)
「ではアルファ、我々の目的が同じだと仮定した上で聞いてみたい。ここの最奥部まで安全に辿り着くプランがあれば提案してほしい。」
「ぬふふ。私は既に気付いております。最奥部に安全、かつ速やかに行けるルートを・・。
それは、入口近くのエレベーターシャフトです!あそこを一気に降りればいいのですわ。」
アルファは何だか鼻高々の様子だった。
琴子が何だか申し訳なさそうな顔をする。
「アルファちゃん。ごめん。そのプラン無し」
「え!?どうして!?」
「ハハッ。実はさっき怪異を突き落とした後で、琴子が手榴弾を放り投げてるんだ。
エレベーターシャフトはきっと滅茶苦茶さ!残念だったねアルファ~」
「ええええ~~~っ?そんなことしたのおお?どうしてえ~っ?」
「アルファちゃん。とどめは確実に刺すのが作法なのよ!」
琴子が笑顔で恐ろしいことを言う。
「しかしそうなると、結局正面から最奥部に向かうしか方法が無くなるな。どうしたものか・・。」
「大丈夫!アルファちゃんの提案で、素敵なアイデアが生まれたわ!」
「素敵なアイデア?」
僕は嫌な予感がした。
琴子は鼻歌を歌いながら傍に鎮座している仏像を、力任せにガリガリッと引っこ抜く。
僕は罰当たりな、と言いそうになったが元々この施設自体が胡散臭いことを思い出し黙ることにする。
ところで琴子、なぜ仏像に岩をくくりつけてロープで縛るんだい?
琴子はその罰当たりな塊を「ヨイショ」と持ち上げると、さっきのエレベーターを落とした空間まで戻った。
琴子が仏像に何かをペタペタ張り付けていく。
「アルファちゃん!『ダイ○ード』って大厄災前の映画見たことがある?」
「もちろんございますわ。映画が一番面白かった頃の映画ですわ。」
「映画の中でね、マ○レーン刑事がナカトミビルで下にいるテロリストを吹っ飛ばすシーン覚えてる?」
僕とアルファの顔色は青くなった。まさか、琴子まさか・・。
琴子が張り付けているのは・・C4爆弾だった。
そして琴子は何メートルもあるその仏像及び岩及びC4爆弾をエイヤっと持ち上げると・・。
「メガトン爆弾、投~下~!」
琴子はその禍々しい重量物をエレベーターシャフトの中に放り込んだ。
「うわあああ~~~っ!」
僕とアルファは全速力でさっきの池の所に戻ると、頭から水面に飛び込んだ。
次の瞬間・・・。
ズドドドドドーーーッ!!
という凄まじい衝撃と共に水面が赤く光るのを感じた。
ひえええ~っ!助けてくれええっ!
僕は水中で泣きそうになりながら洞窟が崩れ落ちないことを祈った。
幸いその後は洞窟に静寂が戻る。
僕とアルファは「ぷわあっ」と水面から飛び出した。
「うっわ~。びしょびしょだあ~。アハハ…。」
「ハアハア…。生きてますの?私たち…。」
涙目で水面から地面に上がる僕たちの前に琴子が満面の笑みでやってきた。
「どうどう?今の!中々いいアイデアでしょう?」
「今、普通にこのあたり炎に包まれたと思うんだけど、琴子平気なの?何で?」
「大丈夫。あんなのへっちゃらよ。さあ、今の内に最奥部へ進むわよ!」
「ハハ…。もうこれで任務完了じゃない?どう見ても地下も吹っ飛んでるでしょ。
温泉つかって帰ろうよ。」
「残念ながら、みお中尉。まだ妖気は弱ってはいますが完全に消えてません。止めは確実に刺さないと。」アルファがきっぱりと言う。
「そうそう!止めは確実に刺さないと!まだ私、ちゃんと刀振るっていないし!」
マジですか・・。
僕は今日何度目かの嘆息をすると、地下へ降りていく琴子とアルファの後を追った。
(続く)
僕「みお」と愛する「琴子」は四国山中の敵本拠地に突入した。
基地の中は少年に擬態した怪異が一匹いるほかは、死体ばかり。一体何があったのだろうか?
僕と琴子は地下へ延々と続く道を降りていった。地下への道はすぐに自然の洞窟に変わり、スロープ状の下り坂が続いていた。
その下り坂にあるのは、比喩ではなく地獄だった。
通路の左右には「血の池地獄」「叫喚地獄」の立札と共におどろおどろしい、地獄の鬼や苦しむ罪人の像が並んでいた。ここは恐らく昔の宗教施設のテーマパークだったのだろう。
地獄めぐりを延々とさせた後で、お釈迦様の慈悲でエレベーターで現世に戻り、最後はケーブルカーで温泉に行き極楽を味わって帰る。
最も今残っているのは地獄だけである。
「みお、だいぶ降りてきたけど、今どのくらい?」
「野村隊長の見取り図だと三分の二は来ているはずだ。しかしここまで誰もいないとなると・・」
「最後の最後で戦力を集中しているわけね。その方が早いわ。爆弾投げつけてまとめて処理できる。」
「洞窟が崩れないようにしてくれよ。こんな所で落盤になったらお終いだ。」
僕がそう言った時だった。前方に気配を感じる。
見ると、この先の賽の河原を再現した広間で、白い制服を着た男たちが横一列に並んでいた。
10人はいるだろう。一見普通の男たち。
しかしその口元は……全員が異様な変異を遂げていた。
「みお、私が一気に突っ込んで全員の首を刎ねる。援護して。」
「待て、琴子。様子がおかしい。」
全員武器を持っていない。
しかし僕は相手が身に付けている物に注目した。
みんな腰に何かベルトを巻きつけている。あれは・・。
その瞬間、室内にどこからかアナウンスが流れた。
「行け、神の戦士たち、今こそ殉教を行うのだ!侵入者に裁きを!」
琴子が舌打ちをする。
「ちいっ!見られている!?」
「琴子、後ろに向かって走れ!あれは・・・」
僕は大声で怒鳴った。
「自爆ベルトだああーーーーっ!!」
琴子が事の重大性に気付き、血相を変えて後ろにダッシュする。
僕も手榴弾のピンを抜くと、怪異たちに投げつけてそのまま逃走した。
次の瞬間、凄まじい爆発と共に僕たちの体が吹っ飛ぶ。
しかし琴子は何とか踏みとどまると、僕の体を受け止めてくれた。
「琴子!僕の体を抱えて走れ!」
琴子は一瞬で僕の体を抱きしめたまま担ぎ上げると、信じられない速度で走り始めた。
僕は琴子に担ぎ上げられたまま、ベレッタを構えると、後方に向かって点射する。
パンパンと発砲音がするたびに、怪異が転げ落ち、その場で爆発する。
しかし驚くことに怪異はその爆発の中を何体も炎に包まれながら飛び越えて突進してくる。
畜生!コイツら何体いるんだ!?
あっという間にベレッタの弾倉が空になる。
しかし琴子に担ぎ上げられている状態で弾倉の交換なんかできない。
僕はやむを得ず懐の手榴弾のピンを抜いて、後ろから突進してくる怪異の群れに投げつけた。
大きな爆発音と共に、こっちの顔が焼けつくような強烈な光と熱が飛んでくる。
でも僕の持っている手榴弾はこれでカンバンだ!
こっから先どうする!?
その時だった。
手榴弾の爆発の衝撃を受けてよろめいた僕たちは、何者かに激しく引っ張られ横にある池の水面の中に引きずり込まれた。
同時刻、第十一師団戦車中隊に向かって数百の怪異が迫っていた。
井田は目の前の光景が信じられなかった。
井田の欺瞞情報でピエン砲が山の斜面をめちゃくちゃに砲撃して破壊する中、残った怪異が腕がもげようが、足がもげようが這ってでもこっちに向かってくる。
敵との接敵距離はもう200mを切っていた。時折、ボンボンッと60式自走無反動砲の砲弾が周囲で爆発するが、いかんせんこの無反動砲は一旦発射すると装填に時間がかかる。
しかも4台しかないのだ。
頼みの綱は4台の装甲車の機銃と……。
「目標正面!近距離水平射撃!撃てえええっつ!!」
ズドドドドッ!!
野村隊長の号令で凄まじい音を立ててツングースカの30mm対空機関砲が水平に射撃される。
あっという間にミンチにされる怪異たち。
しかし砲撃の音と共に井田は思った。
あの30mm機関砲の弾は後何発あるんだろう?
井田はその恐怖に怯えながら、みおと琴子の事を考えた。
あのお嬢ちゃんたちはこんな連中を生身で相手してるのか!?
彼は顔を冷や汗が流れるのを感じながら焦る心で双眼鏡を覗き続けた。
僕は自爆ベルトを身に付けた何十体もの怪異が、出口の方に走り去っているのを後ろから呆然と見つめていた。
いや、正確には後ろではなく、池の奥のほうの水面からこっそりだ。
僕と琴子は池の中に引きずり込まれたせいで首まで水に漬かっていた。
そして僕と琴子の間から白いずぶ濡れのカチューシャと赤い角がひょいっと顔を出した。
「行ったようでございますわね。」
ずぶぬれの銀髪から申し訳なさそうな顔が覗く。
アルファだった。
「いきなり人を池の中に引きずり込むのはいかがなものかな~。鼻の中に水が入りました。」
琴子がぷうっとむくれる。
「申し訳ございません。琴子中尉。ど~考えたって絶体絶命の大ピンチだったと思いますけど。」
「助けてくれてありがとう。と言いたいところだがとりあえず先にここから出よう。水が冷たい。」
洞窟の水は想像していたよりもずっと冷たく、夏だというにも拘わらず僅かな間でも凍えそうになる。
僕たちは周囲に誰もいないことを確認して、地面に上がった。
「市ヶ谷で会った時以来だね。元気してた?」
琴子がまるで友人に話すようにアルファに語りかけることに僕は驚く。
琴子はもっと他人を警戒する人間だった筈であるが…。
ましてや僕と異なり、琴子は前回このアルファと戦闘をしたばかりなのだ。
アルファも心底驚いたらしく、目を大きく見開いている。
「え、あの、琴子中尉。私のこと警戒なさらないのですか?」
「みおを飛行機から助けてくれたの見てるから。ダイジョブだよ。」
そう言って琴子はニッと笑った。
アルファは信じられない、という様子で琴子を見ている。
僕も信じられなかった。
ただこれで琴子がアルファの妖気に反応し、自動的に斬りかかり戦闘になるという最悪の事態は避けられそうだ。
これだけで不確定要素の殆どが無くなる。
作戦を次に進めるべきだ。
「アルファ、ひとまず礼を言う。ただ状況は少しも良くなってない。この地下施設はおそらく怪異だらけだ。一番奥まで進むのは骨が折れるぞ。」
「お二人には失礼ですが、この地下施設は監視カメラこそないですが、あちこち赤外線センサーだらけです。いきなり一本道を奥に進むのは軽率でしたわ。」
「げっ、赤外線センサー!?そんなのあるの?」
琴子がうんざりしたように言う。
そう琴子は監視カメラであれスコープ越しであれ、他人からの視線は必ず気付く。
理由は不明だが「わかる」らしい。
ただそれでいて落とし穴とか単純なトラップには意外と引っかかりやすい。
(一方こっちは僕にとっては得意分野だ。ただ流石にこの時代に赤外線センサーがあるとは思わなかったが。)
「ではアルファ、我々の目的が同じだと仮定した上で聞いてみたい。ここの最奥部まで安全に辿り着くプランがあれば提案してほしい。」
「ぬふふ。私は既に気付いております。最奥部に安全、かつ速やかに行けるルートを・・。
それは、入口近くのエレベーターシャフトです!あそこを一気に降りればいいのですわ。」
アルファは何だか鼻高々の様子だった。
琴子が何だか申し訳なさそうな顔をする。
「アルファちゃん。ごめん。そのプラン無し」
「え!?どうして!?」
「ハハッ。実はさっき怪異を突き落とした後で、琴子が手榴弾を放り投げてるんだ。
エレベーターシャフトはきっと滅茶苦茶さ!残念だったねアルファ~」
「ええええ~~~っ?そんなことしたのおお?どうしてえ~っ?」
「アルファちゃん。とどめは確実に刺すのが作法なのよ!」
琴子が笑顔で恐ろしいことを言う。
「しかしそうなると、結局正面から最奥部に向かうしか方法が無くなるな。どうしたものか・・。」
「大丈夫!アルファちゃんの提案で、素敵なアイデアが生まれたわ!」
「素敵なアイデア?」
僕は嫌な予感がした。
琴子は鼻歌を歌いながら傍に鎮座している仏像を、力任せにガリガリッと引っこ抜く。
僕は罰当たりな、と言いそうになったが元々この施設自体が胡散臭いことを思い出し黙ることにする。
ところで琴子、なぜ仏像に岩をくくりつけてロープで縛るんだい?
琴子はその罰当たりな塊を「ヨイショ」と持ち上げると、さっきのエレベーターを落とした空間まで戻った。
琴子が仏像に何かをペタペタ張り付けていく。
「アルファちゃん!『ダイ○ード』って大厄災前の映画見たことがある?」
「もちろんございますわ。映画が一番面白かった頃の映画ですわ。」
「映画の中でね、マ○レーン刑事がナカトミビルで下にいるテロリストを吹っ飛ばすシーン覚えてる?」
僕とアルファの顔色は青くなった。まさか、琴子まさか・・。
琴子が張り付けているのは・・C4爆弾だった。
そして琴子は何メートルもあるその仏像及び岩及びC4爆弾をエイヤっと持ち上げると・・。
「メガトン爆弾、投~下~!」
琴子はその禍々しい重量物をエレベーターシャフトの中に放り込んだ。
「うわあああ~~~っ!」
僕とアルファは全速力でさっきの池の所に戻ると、頭から水面に飛び込んだ。
次の瞬間・・・。
ズドドドドドーーーッ!!
という凄まじい衝撃と共に水面が赤く光るのを感じた。
ひえええ~っ!助けてくれええっ!
僕は水中で泣きそうになりながら洞窟が崩れ落ちないことを祈った。
幸いその後は洞窟に静寂が戻る。
僕とアルファは「ぷわあっ」と水面から飛び出した。
「うっわ~。びしょびしょだあ~。アハハ…。」
「ハアハア…。生きてますの?私たち…。」
涙目で水面から地面に上がる僕たちの前に琴子が満面の笑みでやってきた。
「どうどう?今の!中々いいアイデアでしょう?」
「今、普通にこのあたり炎に包まれたと思うんだけど、琴子平気なの?何で?」
「大丈夫。あんなのへっちゃらよ。さあ、今の内に最奥部へ進むわよ!」
「ハハ…。もうこれで任務完了じゃない?どう見ても地下も吹っ飛んでるでしょ。
温泉つかって帰ろうよ。」
「残念ながら、みお中尉。まだ妖気は弱ってはいますが完全に消えてません。止めは確実に刺さないと。」アルファがきっぱりと言う。
「そうそう!止めは確実に刺さないと!まだ私、ちゃんと刀振るっていないし!」
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