異世界転生してひっそり薬草売りをしていたのに、チート能力のせいでみんなから溺愛されてます

ひと息

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植木鉢

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「結局、原因はただのガラクタ…。心配して損しましたよ」
アッシュは苦笑いすると廉の淹れたコーヒーを一口すすった。
以前会った時と比べ、アッシュの表情は明るい。あの時あった隈も消えており、どうやら本当に不眠事件は解決したようである。
廉はアッシュの話を聞き、ほっとする。
そして自分が想像以上にアッシュを心配していたのだと気づき、少し笑ってしまった。


「そうだ、忘れるところでした…。実はもう一つ廉さんに伝えたいことがありまして」
そう言うとアッシュはガサゴソとカバンを漁り、そこから取り出したのは、小さな植木鉢だった。
手のひらに収まってしまうほどの小さな植木鉢は、コロンとした丸みを帯びた形をしており、かわいらしさが全面に押し出されたような見た目をしている。
「かわいいですね。これ、どうしたんですか?」
廉が尋ねると、アッシュは再びカバンを漁り、小さな植木鉢と似たような植木鉢をもう一つ出した。
「その騒動があった時、ついでにノアと物置部屋も片付けることにしまして。ノアも謹慎中で暇そうにしていたので。そうしたら、物置部屋から大量の植木鉢が出てきたんです」
「へぇ~!そうだったんですね。植木鉢、いいなぁ…」
廉はそう言いながら、植木鉢をじっと見つめる。

「廉さん、お家や店先にたくさん植物を飾ってるじゃないですか。家の裏では薬草も育ててるとも伺いました。なので、もし植木鉢をお探しであればいくつか貰っていただけないかな、と…」
「いいんですか?」
アッシュの問いに、廉は食い気味に答える。アッシュは一瞬驚いたが、こくこくと頷いた。
「もちろんです。あと、他にもこのような小さな植木鉢だけでなくて、大きめの植木鉢も…」
「いただけるんですか!?」
身を乗り出して答える廉に、アッシュは圧倒されてしまう。
いつもと打って変わって楽し気な表情をする廉の様子がおかしく、アッシュはくすっと笑って、「もちろんです」と答えた。

「廉さんの好みが分からなかったので今日はこの二つしか持ってきませんでしたが、騎士団に来ていただければ全てお見せできますよ」
「本当ですか!?」
「えぇ。ですが今日はまだこれからお仕事もありますよね?」
思いがけない誘いに、廉の気持ちは上がり、「今すぐに店を閉めます」と言うや否や店先の看板を仕舞った。
「今すぐ行きましょう!」
「…はい!」
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