Lara

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Lost Memories Ⅵ

What I once threw away.

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それは壊れた玩具みたいにくるくると回る。

―――つまらない。

何もかもつまらないし気にくわない。私を囲うこの壁も、見上げると見える四角い空も、平伏するやつらも、諦念に身を包んだ愚図たちも………見えない鎖に囚われているこの身も。

だから、私は私をやめる。全てが気にくわない私の癇癪だ。これによって名前も知らない誰かが死ぬだろう。その生を捧げるという名目で。ざまあみろ。

みんな死ねばいい。苦しんで苦しんでくるしんでもがき続けながら絶望に堕ちればいいんだ。私のように。

私は誰だった?何年生きた?出身地は?家族構成は?好物は?苦手なものは?

ああ、全部、全部消え去った。泡沫の夢みたいに消えていく。

いや、捨てたんだ。いらなかったから、じゃまになったから。そうでもしないとこわれちゃうから。

わたしは、じぶんのことをなにとよんでいた?

わたしは、どんなせいかくだった?

わたしは、なにをわすれたすてた

この手に残っているのは自分の力のこれとなってしまった時からわが身を縛り付ける鎖のみ。

気持ち悪いきもちわるいきもちわるい。全部が歪んで見えてしまう。私には味方がいない。皆自分の思想を押し付けてくるだけの狂人ばかり。

この胸にぽっかりと穴が開いている気分だ。それを見ないふりして張りぼてのように取り繕うとしても穴は開いたまま。埋まることは一切ない。

ひとりこの空虚な世界で蹲って頭を抱えて肩を震わせて、それでも涙は出なくて泣いた。

私はだれ?私はだれ?一体だれだったの?霞んで消えた本来のわたしは見えなくて怖くてそれでも知りたかった。

皮肉って、言うんだったか要らないと捨てたはずのものを今求めている。捨てたことすらも覚えていないのに後悔の念に苛まれてしまう。

「たすけて……■▼■■✖●」

思い出せない名前を言おうとして言えなくて言葉にならないくもぐったものになった。

唯一の小さな窓から覗く朧月を見て、外なら、外になら私の求めるものが手に入るのだろうかと思った。出よう。羽をもがれ、歩く足を折られ、この身を鎖で雁字搦めにされているが。血が出ようとも、四肢が欠けようとも、また全てを失くそうとも出てみよう。

きっと、外の世界になら、一つだけのたったひとつだけの私の願いも叶えてくれる存在がいるだろう。


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