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ティアと二人で星が見たい1
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「すごいな、この神殿」
私の隣に立っているライが見上げているのは、サズナ教の古代神殿だ。
ロープの張られている入口には、黄色や赤などの色彩を持つ鉢植えの花が飾られている。
セス様と約束した通り、私がレイから許可を貰って飾ったものだ。
商会に来てくれたライからメディがお世話になっている神官様にご挨拶をしたいという申し出があったので案内している。
「すごいよねー。サズナ教の神殿なんだって。中は迷路のようになっているから、立ち入り禁止のロープが張られているの。ゴアさん達はこの辺りでハーブを採取しているんだよ」
「そうみたいだな。ちらほらハーブがある」
ライが神殿の周りに広がっている木々の根元を見ながら言った。
「あっ、そうだ。せっかくだから夜に来ない? 星が綺麗なんだって。メディとお兄様も誘って今夜見に来ようよ。夜の神殿と月って絶対に綺麗だと思う」
ライはうちにお泊り予定。
明日の早朝にエルドさん達が迎えに来てくれるらしいので、それまではゆっくりと過ごせる。
「四人でも良いけど、今日は二人で来ないか? もうすぐ俺の誕生日だからプレゼントとしてティアとの時間が欲しい。俺だけティアと離れて暮らしているから遠くて焦るんだ」
「プレゼントはちゃんと準備しているよ?」
「ティアと二人で星がみたい」
「一緒に星を見るくらいお安い御用だからいつでも良いよ。でも、私だけじゃなくて、お兄様とメディとも離れているけど……」
「リストとメディとは、手紙のやりとりをしているから大丈夫」
私もライと手紙のやり取りをしているんだけれども、頻度の問題なのかもしれない。
仕事で忙しくなるってライが言っていたから、手紙を出すのは控えていたし。
「じゃあ、夜に二人で来ようね」
「楽しみだな。ちなみに、レイガルド様に誘われたことはあるか?」
「ないなぁ。私もメディも日中不在だから、いつも来てくれるのは夕方か夜だし。ご飯一緒に作って食べているくらいかな」
「え、一緒に作ってごはんを食べているのか?」
ライの声音が低くなり、彼が纏っている空気がひんやりとし始めてしまう。
「レイガルド様はティアの生活に随分馴染んでいるようだな」
「レイもだけどコルタもたまに来るよ。あっ、それから……」
メディがレイのことが気になっているかもって言った方が良いのだろうか。
私の気のせいかもしれないし、こういうのは部外者が言うべきことでもないよね? と頭によぎり、私は「なんでもない」と首を左右に振った。
すると、ライが纏っている空気が更に温度が下がってしまう。
「それからに続く言葉は? レイガルド様と何かあったの?」
今日のライは、随分レイの事に関して聞くなぁと思った。
もしかして国王としてライバルだと感じたのだろうか。
エタセルの建国パーティー以来、諸外国がレイを高く評価してくれているとお兄様に聞いたし。
「えっと……ライもレイも民思いで、人々のためにちゃんと執務をしていると思うよ」
「恐らくというか、絶対にティアはすごい勘違いをしている」
「そうなの? てっきり国王としてライバルだと感じているとばかり……」
「ライバルだよ」
やっぱりライバルなのか。
ライもレイも国王として比べられないくらいに凄いと思うのだが。
なんとなく空気を変えるためにも話を逸らした方が良いかなぁと思った私は、共通の話題でもあるお兄様の話に切り替える。
私の隣に立っているライが見上げているのは、サズナ教の古代神殿だ。
ロープの張られている入口には、黄色や赤などの色彩を持つ鉢植えの花が飾られている。
セス様と約束した通り、私がレイから許可を貰って飾ったものだ。
商会に来てくれたライからメディがお世話になっている神官様にご挨拶をしたいという申し出があったので案内している。
「すごいよねー。サズナ教の神殿なんだって。中は迷路のようになっているから、立ち入り禁止のロープが張られているの。ゴアさん達はこの辺りでハーブを採取しているんだよ」
「そうみたいだな。ちらほらハーブがある」
ライが神殿の周りに広がっている木々の根元を見ながら言った。
「あっ、そうだ。せっかくだから夜に来ない? 星が綺麗なんだって。メディとお兄様も誘って今夜見に来ようよ。夜の神殿と月って絶対に綺麗だと思う」
ライはうちにお泊り予定。
明日の早朝にエルドさん達が迎えに来てくれるらしいので、それまではゆっくりと過ごせる。
「四人でも良いけど、今日は二人で来ないか? もうすぐ俺の誕生日だからプレゼントとしてティアとの時間が欲しい。俺だけティアと離れて暮らしているから遠くて焦るんだ」
「プレゼントはちゃんと準備しているよ?」
「ティアと二人で星がみたい」
「一緒に星を見るくらいお安い御用だからいつでも良いよ。でも、私だけじゃなくて、お兄様とメディとも離れているけど……」
「リストとメディとは、手紙のやりとりをしているから大丈夫」
私もライと手紙のやり取りをしているんだけれども、頻度の問題なのかもしれない。
仕事で忙しくなるってライが言っていたから、手紙を出すのは控えていたし。
「じゃあ、夜に二人で来ようね」
「楽しみだな。ちなみに、レイガルド様に誘われたことはあるか?」
「ないなぁ。私もメディも日中不在だから、いつも来てくれるのは夕方か夜だし。ご飯一緒に作って食べているくらいかな」
「え、一緒に作ってごはんを食べているのか?」
ライの声音が低くなり、彼が纏っている空気がひんやりとし始めてしまう。
「レイガルド様はティアの生活に随分馴染んでいるようだな」
「レイもだけどコルタもたまに来るよ。あっ、それから……」
メディがレイのことが気になっているかもって言った方が良いのだろうか。
私の気のせいかもしれないし、こういうのは部外者が言うべきことでもないよね? と頭によぎり、私は「なんでもない」と首を左右に振った。
すると、ライが纏っている空気が更に温度が下がってしまう。
「それからに続く言葉は? レイガルド様と何かあったの?」
今日のライは、随分レイの事に関して聞くなぁと思った。
もしかして国王としてライバルだと感じたのだろうか。
エタセルの建国パーティー以来、諸外国がレイを高く評価してくれているとお兄様に聞いたし。
「えっと……ライもレイも民思いで、人々のためにちゃんと執務をしていると思うよ」
「恐らくというか、絶対にティアはすごい勘違いをしている」
「そうなの? てっきり国王としてライバルだと感じているとばかり……」
「ライバルだよ」
やっぱりライバルなのか。
ライもレイも国王として比べられないくらいに凄いと思うのだが。
なんとなく空気を変えるためにも話を逸らした方が良いかなぁと思った私は、共通の話題でもあるお兄様の話に切り替える。
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