社会人２●年 アラフォーの対処法

⑧『落ちている片方の靴』への対処法

　出歩いていると、(本日は出歩くべき日ではないですけど。あっつい！！)色々なことがありますが、この度は『落ちている片方の靴』のお話しです。

　その１『赤ちゃんもしくは子供の靴』
　赤ちゃん、もしくは小さい子供の靴の場合は、
（あぁ、抱っことかした時に脱げちゃったのかなぁ）と、数分前か数時間前にここを通ったであろう子供に想いを寄せます。
　親子連れか、かもしれません。ぐずる子供を親御さんか誰かが抱え上げた時に落ちてしまったのかもしれません。
　何となくほのぼのします。
　以上です。

　その２長靴（黒）
　いわゆるゴム長です。
　これはたいがい道路の真ん中に落ちているのです
。しかも道の中央に。
　車も避けきれないので、せめてタイヤではひくまい、と前の車も思ったのでしょう。微動だにせずそこにおわしますのです。
　まぁこれも、おそらく工事に関わっている方の、おそらくトラックから落ちたんじゃないかなぁ、と想像します。
　そして、現場についた（もしくは事務所に戻った）時に、
『あれ？　オレのゴム長ねぇじゃねぇかよっ』と騒ぎ立てるオジサマを想像しつつ、私も長靴が車の真ん中に来るように通り過ぎます。
　これぞ社会人の作法です。

　その３スニーカー（白）
　……白いスニーカーなんですよ。よく学生さんがはいているような。
　それが道端に落ちているのですよ、片方。
　眼の前に学校があるシチュエーションでもありません。
　彼、もしくは彼女はいかなる理由で白いスニーカーを片方ここに置いていったのか。
　そしてなぜ取りに来ないのか。
　赤ちゃんと違って、自分が歩いてきた道はわかっていはずです。家について（もしくは学校について）スニーカーが片方ないとわかれば、道を逆走（いや、走らなくてもよいですが）すれば見つかるはずです。
　それなのに、ここにある。
　いや、彼もしくは彼女はまだ自分の靴が片方なくなっていることに気づいていないのかもしれません。
　のんきに友達と遊んでいたり、荷物を放り出してスマホをいじっているのかもしれません。
　しかし、いつかは気づくのでしょう。
　自分のスニーカーが片方ないことに。
　その時の驚愕と絶望を想像すると、アラフォーの胸は痛み、心は『おマヌケさんだねぇ』とつぶやくのです。

　人様のお話だけして自分をさらさないわけには参りませんので、私の体験をひとつご披露いたします。
　その４線路に落ちている片方の靴（パンプス）
　……実話です。
　その日私は電車からホームに降りようとしていました。後続の方が私の靴をお踏みになり（感情を抑えるための過剰な丁寧語）、緩かった私の靴は落ちました。
　ホームと電車の間に。

　まさかそんな目にあうとは、私の業とはいかがなものなのでしょう。
　私の靴を脱がせたお方（感情を抑えるための～以下略）はお気づきにならなかったか、ドアの前に立ち尽くすのは私一人です。
　電車のドアは無情に締まり、発車していきます。
　取り残された私。
　電車が過ぎ去った後線路を除くと、轢かれずにすんだようで、線路に私のパンプスが片方、転がっています。
　片方の靴のない身では両足で立つこともできず、アラフォーにして公共の場でケンケン状態。
　ここで引き続きケンケンで移動した場合、アラフォーのケンケンをより多くの方々にさらす羽目になります。社会の迷惑です。
　ここで社会人２●年のアラフォーの底力がためされました。
　『できないことは他力本願』
　『頼む時は大きな声でしっかりと』
　と、いうことで
　『すみませーんっ！』
　私はたまたま歩いていた線路の工事の方々にお声がけをし、その方々から駅員さんに連携して頂き、ホームに備え付けの長いマジックハンドにて無事にパンプスを回収いただいたのでした。
　よって、線路に靴が落ちている場合は、
『後ろから出るヤツが靴踏みやがったので落ちてしまった』です。
　あの時の駅員さん、ありがとうございました。
（靴を取ろうとした時、ちょうど次の電車が来て、二人でホームに立ち尽くしていたとき、どうしようもなく気まずかったですね……）