失ったモノ

ハーマ

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未練と伝承

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デロイド視点

ガルガード「………まぁ説明はこの程度か?後は実際に試合をしてみないと分からない」


取り敢えずデロイドはラグアに屋内に案内されて、椅子に座ってガルガードにGAMEの説明を受けていた


デロイド「ふむ………取り敢えず今の「GAME」内は「試合」があって 今日は後1回ある 普段は5回 1試合1時間 日曜日だけ2時間を2回だけなんだな?で週休2日 試合は逃げる側の全滅又は狩る側の敗北で終了すると………敗北認定は狩る側が死ぬか敗北を認める、両膝をつけ負けを認めた時………なかなか難しいな」

ガルガード「デロイドの場合は分からないが基本使える能力は制限される しかも個人差があって強さもバラバラで時折暴走する」

うわっやっかいだな………

レオン「狩る側は2人だけ高い知能を持っていてかなり強い 呼び名はGとL 名前はギルーヴァとライト 狩る側で最も強いのがA+知能はGとLよりは低いが高いし強い 全員でやってもBまでが限界だった」

デロイド「そこで俺が加わってどうなるかだな………」

ラグア「因みに2時間の試合の時は狩る側も逃げる側も2倍になる」

デロイド「…………」

つまりその時に最も知能の高いGとLが狩る側になったら厄介だってことか…………

デロイド「試合中は武器を持っていけるのか?」

龍「持って行けるよ ただ今外に出して持ってるものしか持っていけない」

デロイド「壊れた場合はどうするんだ?」

ジンド「その場合は特定の場所に何個か武器が落ちてる 壊れた分だけ出てくるよ」

………このサバイバルナイフだけは使いたくないな………

デロイド「つまり俺の場合はこの刀とサバイバルナイフ、VP-9を使えるってことだな?」


デロイドは右腰にVP-9、左腰に日本刀、腰部にサバイバルナイフを装備していた


レイド「そうなる マガジンは?」

デロイド「足見ればわかるよ」


デロイドはそう言って足を見せる………するとブーツと同化しているマガジンが数本あった


キリヤ「うわっ 凄い………足全部マガジン?」

デロイド「ああ 近距離戦になるとよく使うんだ」


デロイドの持つ日本刀、サバイバルナイフは手入れが行き届き、まるで新品かと間違えるくらいに綺麗なのだ


リク「滅茶苦茶綺麗………これ何年使ってるの?」

デロイド「俺が軍人になった時からだから………45年かな………俺15で軍に入ったから今60」

8人「はっ?!」


デロイドは見た目20代前半の若々しさだが 実は60歳を迎えており見た目詐欺である


ガルガード「見た目詐欺だな 人の事一切言えないが」

デロイド「能力者ってそう言うもんじゃないか?」

レオン「まぁ………」

ザイド「デロイド」


ふと無言を貫いていたザイドがデロイドを呼んだ


デロイド「?」

ザイド「………その拳銃を見せて欲しい」

デロイド「良いよ はい」


ザイドは見覚えのある拳銃を見て、「見せて欲しい」と言ってきてデロイドが拳銃を渡す


ザイド「…………」

優しい手つきだ………傷だらけで手入れは施されていても………残ったそれは消えなかった………削ったとしても消えないからそのままにしてしまったが………

ザイド「………これ 持ってみて」


そう言ってザイドが渡してきたのはM92Fベレッタ………元々はデロイドが持っていた拳銃だが………ザイドが持っているのには理由があった


ザイド「………この銃元々は俺の拳銃だったのか………?」

デロイド「………………俺は昔「弟」と呼んだ青年を自分のせいで目の前で亡くした 俺は青年に「親愛」の証として俺が13の時から28まで使っていたベレッタを渡した そして青年は俺にVP-9を渡してきた 言うならば物々交換だな 長いこと使ってきたから傷だらけになってしまった」


デロイドはそう言って立ち上がりまた外に行ってしまった


デロイド「…………」

忘れてなどいない………お前が死んだあの日のことを………


自分を呼びながら死んで逝ったザイド………自分の非力さで失ったからこそ………デロイドは強くなろうと鍛え続けてきた………だが味方な部下に対しては根が優しい性格であるために裏切り行為も見られ、何度も心を痛めながら処罰を下してきたのだ


デロイド「…………」

???「あまり根を詰めすぎないほうがいい」

デロイド「?!」

???「すまんすまん 声をかければよかったな」


不意に聞こえた声にデロイドは刀を向けそうになったが、必死に堪えて声の主の方を見る


デロイド「…………」

???「ギルーヴァ・アッシーマだ 狩る側だがGAME中はこうしてここに来たりするんだ」

つまり試合でなければ友好関係も作れるということなんだな………

デロイド「どうして声を?」

ギルーヴァ「本当はレオンとガルガードに会いに来たんだ だが 見かけない顔がいたから声をかけさせてもらった」

デロイド「あんた軍人だな 掌のその豆の位置は拳銃を持つ人間の手だ」


自然と警戒をしているデロイドだが、職業病か自然と相手の掌を見てしまう


ギルーヴァ「軍人だった だな このGAMEに参加するまでは組織の人間だった ガルガードから聞いたか?このGAME参加者は何かしらを「背負って」参加する 逃げる側は「罪」を 狩る側は「絶望」を 狩る側はみな逃げる側の「大切な人」だ 俺ともう1人ライトは運良く知能も自由も持った状態でここに参加できたが………他の奴らはそうじゃない 知能も自由も奪われただ「狩る」ことだけを追求された 狩る側は6人 対して逃げる側は今現在10人 不利とも言えるが勝率は五分五分 君が入ったことで新しく狩る側が増える予想ができた 恐らく生前君が「残して」逝った者だ 覚えないか?」

デロイド「…………」


ギルーヴァの説明はガルガードから聞いた説明のさらに詳しい物だった それに自分が元軍人であることも教えてくれた そして最後の質問は覚えがありすぎる


デロイド「……親父を残した 俺はα部隊副隊長で親父は隊長………」

ギルーヴァ「流石にα部隊隊長の知能と自由はここを作った創作主には奪えない 奪えるとしたら君だろう と言っても確定ではないしまだ来るには時間がかかる ゆっくり馴染んでいけばいい」


そう言ってギルーヴァはデロイドの肩を優しくポンッと叩きレオン達の元へ


デロイド「………ゆっくり馴染んでいけばいい………か………」

俺が心配してるのはザイドと親父のことだ 親父は生きているだろうし………ザイドには記憶が無い 不安定な状況下でどう生きるか


デロイドは既にこのGAME内でいかに生きるかを考えていた………


~2時間後~

ジンド「デロイド」


2時間後 デロイドは案内された広場で読書を嗜んでいた


デロイド「?」

ジンド「次の試合 レオン、ガルガード、龍、デロイド、俺のメンバーで出ることになった 準備可能か?」

デロイド「いつでも行ける」

試合………4人構成なのか………

ジンド「分かった 基本全員揃ったら始まるからここで待っていてくれ」

デロイド「分かった」


ジンドに言われてその場で待つこと10分 武器を装備したレオン、ガルガード、龍が来て、最後にジンドが来た


デロイド「服装ってどうなるんだ?」

レオン「試合始まると勝手に変わるよ 基本戦闘服になるけど………マップ次第かな」

マップ………試合ごとに地図が変わるのか?

デロイド「うぉっ」

全員揃ったら始まるとは言ってたが………いきなり始まるのか………

レオン「外か………ガルガード 狩る側は?」

ガルガード「今探してる ………Dだな 直線距離で5km先にいる」

デロイド「D?」

ジンド「ランクのことだよ GとLは名前があるからそう呼んでるけどランクがA+ 狩る側はD、C、B+、Aの順になってる 1番低いのがDだけど目が見えない分耳が良いから気を張る」

逃げる側にはランクがないけど狩る側にはあるのか………中々骨が折れそうだな

レオン「俺が気を引こうか?」

デロイド「いや 俺が気を引くよ 確か「負け」を認めさせれば勝ちなんだろ?」

ガルガード「………脳筋かよ」


実はα部隊副隊長であるデロイドは見た目に反して戦闘狂で戦闘を好む性格をしている


ジンド「まぁでも早めに終わるに越したことはないけど………相手は戦う気あるのか?」

ガルガード「ん?………あー………いやないな むしろ遊んで感満載」

デロイド「………遊んで感満載とかあんの?」

3人「うん」

つまりその時の気分にもよって狩る側とか関係なく過ごせるのか………運ゲーかこれ


と思いつつも4人はDの元へ行く


D「………Have a look(見ない顔がいる)」

ジンド「It's new A new hunting side will come(新しく入ったんだ 新しい狩る側も来る)」

D「So(そうか)」

言語は通じると………ただ英語か………分かるけど

デロイド「………俺 ちょっと歩いてるよ このマップがどうなってるのか分からないし」

龍「了解 終わると自動で広間に戻るからその時に」

デロイド「ああ」

試合って夜だけじゃないよな………


デロイドは夜になると少し落ち着きが無くなる為昼間よりもミスが出やすいのだ


デロイド「…………」

母さんが死んだのは夜だった………満月の綺麗な夜………


綺麗な十五夜の夜………デロイドは母を亡くした


デロイド「………「He тратьте свою жизнь(命を無駄にしないで)」………「Пой, когда тяжело.(辛くなった時は歌いなさい)」………「Я уверен, что ты защитишь меня(必ず護ってくれるから)」………母さんが遺した言葉………」

なんの歌だったかな………


亡き母が遺した言葉を思い出しデロイドは教えて貰った歌の数々の過去を遡り、唯一両親から教えて貰った歌を思い出した


デロイド「Расцветали яблони и груши,
Поплыли туманы над рекой.
Выходила на берег Катюша,
На высокий берег на крутой.

Выходила, песню заводила
Про степного, сизого орла,
Про того, которого любила,
Про того, чьи письма берегла.

Ой ты, песня, песенка девичья,
Ты лети за ясным солнцем вслед.
И бойцу на дальнем пограничье
От Катюши передай привет.

Пусть он вспомнит девушку простую,
Пусть услышит, как она поет,
Пусть он землю бережет родную,
А любовь Катюша сбережет.」


その歌はカチューシャ………ロシア軍歌である


「ふわっ」

デロイド「っ………」


歌を歌い終わると感じた温もり………その温もりは今は亡き相棒のモノで抱きしめられている錯覚に陥った


デロイド「ロイガー………」

お前の死を嘆く暇なく俺は………


相棒の死を嘆く暇もなくデロイドはこの場所に来ていた………デロイドはまだ相棒の死をまだ認めてはいない


デロイド「ロイガー………」


デロイドは今は亡き相棒の名を呼びながらその場で跪き泣いていた………


~1時間後~

ジンド「ん 戻ってきたな」

ザイド「おかえり ………デロイド?泣いてるの?」

レオン「どうした?大丈夫か?」

ガルガード「暖かい飲み物持ってくる」


1時間後 試合の終了した面々は広間に戻ってきたが………デロイドはまだ泣いていた


ギルーヴァ「おーおーどうしたどうした」

デロイド「っ………ぅ………」

ギルーヴァ「こりゃ重症だな………レオン 悪いんだけど毛布持ってきて」

レオン「了解」


泣き止む気配のないデロイドの背中を摩るギルーヴァだが………実は背中にいる青年が見えているのだ


ギルーヴァ「………守護霊とも言うべきか………」


ギルーヴァの呟きはガルガードの焦った声でかき消された………


~かくかくしかじか~

レオン「そう言えばロシアにはある伝説があったな」

デロイド「え?」

レオン「恐らく君の両親はロシア人だろう 長い間思い入れがあり忘れることの出来なかった過去や夢を歌に詰めるんだ そしてその理由を伝えずに自分の後継者に辛くなった時に歌う様歌を教える そうすると辛いことがあれば歌うんだ その歌に込められた意味は人によって違うが………デロイドの場合は守護されるんだ 「ここにいる」と………「大丈夫だ」と伝えている 今ではそんな伝説も風の噂程度で伝承されていないと思ってたけど………伝承されてたんだね」

つまりあの温もりは確かにロイガーの物であって………俺は守られているということ………?

ギルーヴァ「まぁ彼の場合未練が残ってしまったんだろう 誰でもない君に対して」

デロイド「…………」


デロイドには相棒が見えていないのでなんとも言えないが………








デロイドは相棒に………相棒はデロイドに未練を残していた………
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