捕食者と逃げる者

ハーマ

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母として

ファーストレディの過去

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ファーストレディ視点

ファーストレディ「颯斗」

その日  ファーストレディは狩りを終えた颯斗を発見し声をかけていた

颯斗「ファーストレディ  如何なさいましたか?」

ファーストレディ「今日  食事はしましたか?」

颯斗「これからです」

ファーストレディ「貴方は他の者よりも飢えが来やすいのですから毎日食べなさい」

ファーストレディ  食欲旺盛なのは幼い頃からですがそれに踏まえて軍人だった頃の癖も抜けていない

ファーストレディは颯斗がまだ幼い頃から知っている……否……知っていて当然なのだ

ファーストレディ  ……思い出していないのでしょう……幼い頃貴方が私を護ろうとして重傷を負い、傷を治す為に使った薬の副作用で記憶を失った事を……

未だに思い出していないというのは「寂しい」とファーストレディは思う

ファーストレディ  幼かった颯斗が負ったあの傷は「古傷」として、その時の状態のまま今でもくっきり残っている……

ファーストレディは颯斗の母親だった……しかし颯斗は幼い頃に負った傷があまりにも広範囲で、その時に使った薬の副作用で記憶をなくしてしまい覚えていない

捕食者「ファーストレディ  ファーストレディ宛に何か届いたのですが……」

ファーストレディ「え?」

捕食者の1人がファーストレディ宛に送られた者を渡してきてファーストレディはそれを見る

ファーストレディ「手首にフィットするブレスレットと利き腕用の防具、首用の防具……そして華ですか……」

捕食者「それと手紙です」

ファーストレディ「…………」

手渡された手紙には英語で一言しか書かれていなかったがその字は颯斗のモノ……

ファーストレディ  まさか覚えている?私の誕生日を……

ファーストレディ宛に送られた物と手紙……その手紙には「Happy Birthday」と書かれており……つまりブレスレットと防具と華は誕生日プレゼント

捕食者「……相変わらず彼は食欲旺盛ですね」

ファーストレディ「元軍人でもありますから  颯斗は他の者では扱えない第10部隊を指揮できる訳ですし……あれぐらい食さないと足りない」

捕食者「凄いですよね……まだ28なのに元軍人で幹部である我々とファーストレディさえも、一切扱えなかった部隊を1人で束ねているんですから」

ファーストレディ  颯斗は……あの子は私の血を引いてる……だから強い者に惹かれ強い者を率いれる力を持つ……

等と思いながらファーストレディは自室に行きプレゼントを身につけてみる

ファーストレディ「…………」

ファーストレディ  いつサイズ等を調べたのかしら……

と思うぐらいにサイズがピッタリ

捕食者「ファーストレディ  とても御似合いです」

ファーストレディ「有難う」

着替えを終え歩いていると捕食者達は皆が皆ファーストレディに「似合う」と言う

颯斗「…………」

そして遠くからファーストレディを見ていた颯斗はとても嬉しそうに微笑んでいた

ファーストレディ「これを送ってきたのは颯斗ですか?」

颯斗「ファーストレディ  俺はさっき狩りから帰ってきて食事を終えたところですよ?」

ファーストレディ「…………」

颯斗「ふふ  ファーストレディのご想像にお任せしますよ」

そう言って颯斗は人の形になっていた鳳凰と自室の方へ

ファーストレディ  颯斗昔から人を喜ばせる事が得意だった……そして人が嬉しそうな顔をするの見るのが好きで、今みたいにバレそうになると何処かへ逃げていく

母故に颯斗の行動パターンを熟知しているファーストレディ

ファーストレディ  恐らくもう直ぐ洗脳が解け出す頃……

捕食者「ファーストレディ  颯斗様の居場所をご存知ですか!?」

ファーストレディ  やはり……先程のは……

颯斗の洗脳が解けていた証拠

ファーストレディ「逃げ出したのでしょう  颯斗は長時間走ることができない……バイクがなければかなり厄介ですがバイクは?」

捕食者「5分程前まではあったのですが……」

ファーストレディ「つまり今は無いと……颯斗が居る学校に捕食者達を送りなさい  もしかしたら居るかもしれない」

捕食者「はっ」

ファーストレディ  颯斗……

颯斗は捕食者の心と捕食される側の心を持つ……故に捕食者の気持ちも理解出来てしまう

鳳凰「ファーストレディ!!俺の主……颯斗を知らないか!!!???」

ファーストレディ「え?」

ファーストレディ  何故鳳凰が颯斗を探して……

鳳凰「アイツ武器も何も持ってないんだ!!こっちに来てないか!!!???」

ファーストレディ「いえこちらには……てっきり洗脳が解けたのかと……バイクもなかったらしいですし」

ファーストレディ  鳳凰がかなり焦っている……珍しい……

鳳凰「どこを見て言ってるんだ!!!???バイクなら置いてあるだろ!!」

ファーストレディ「なっ……全員急いで颯斗を探しなさい!!」

捕食者「はっはい!!!!!」

鳳凰「くっそ!!どこいったんだよ颯斗!!!!!」

ファーストレディ  恐らく颯斗は牢に行った……

そう思ったファーストレディは牢の中に行くと一つだけ扉が空いており其処には血痕が……

捕食者「脱走者ですね……それと颯斗様の部屋の前にこれが……」

ファーストレディ「ボイスレコーダーですか……押してみましょう」

置いてあったボイスレコーダーを聞いてみると意外な声が

颯斗「……大佐?」

大佐?「久しぶりだな颯斗」

颯斗「んぐ!!!!!」

大佐?「お前を殺せば……」

と言う所まで大佐?が話したところで近くの窓が割れ傷だらけの青年が侵入

捕食者「!!」

青年「待て味方だ!!打つな!!!!颯斗中佐の居場所を知ってる!!!!!中佐を助けてくれ!アンタらなら助けられるだろ!!!!!?????」

ファーストレディ「!!むす……颯斗の場所を知っているの!?颯斗は今何処に!?」

ファーストレディ  この子もしかしたら颯斗の軍人時代の部下?「1人しかいない」と前に言っていたし……

青年「千葉の南端!!千葉の南端の一番端の黒一色の建物の中にいる!!早く!!!手遅れになる前に!!!!!」

ファーストレディ「捕食者第10部隊!!直ちに颯斗救出の為千葉の南端一番端の黒一色の建物に向かいなさい!!!!!」

捕食者「はっ!!!!!」

青年「ゲホ……ゲホゲホゲホゲホゲホ」

ファーストレディ  吐血している……

ファーストレディ「貴方名前は?」

青年「東条  彰(とうじょう  あきら)……ゲホゲホゲホ」

ファーストレディ「彰……ね?彰を医療室に運びなさい  後でお礼をしないと」

捕食者「ファーストレディの赴くままに  東条お前歩けるか?歩けないなら肩を貸す」

捕食者の言葉に彰は「すまない」と答えて肩を借りながら医療室に向かう

~2時間後~

捕食者「第10部隊帰還しました」

ファーストレディ「ご苦労様  颯斗は?」

颯斗「…………」

ファーストレディ「颯斗」

ファーストレディ  一体何が……

捕食者「犯される直前でした……その時に恐怖を感じたのかずっとあの状態で……」

ファーストレディ「……颯斗」

颯斗「……ファーストレディ」

服は着ていたが身体を多い被せる黒い布を被っていた颯斗をファーストレディは抱きしめた……颯斗はかなり体温が下がっており震えている

颯斗「…………」

気持ちが落ち着いたのか颯斗はそのまま眠ってしまい、ファーストレディが颯斗を抱き抱えて颯斗の部屋へ運びベッドに寝かす

鳳凰「ファーストレディ  何があった?」

ファーストレディ「長年颯斗の傍にいる貴方の事なら分かるでしょう?傍にいて上げなさい」

鳳凰「分かった」

鳳凰  やっぱりファーストレディだと安心して眠れるんだな……

鳳凰はファーストレディが颯斗の母親である事を知っていた……しかもかなり前から

鳳凰  親だからこそ安らげる

実の母親故に……颯斗はファーストレディを心の底で「安らげる人」と理解していた……
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