捕食者と逃げる者

ハーマ

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リーダーとして

仁と捕食者の颯斗

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仁視点

仁「…………」

颯斗「……仁  今から逃げた方がいいぞ」

仁「今は捕食者だよな?……俺の事を覚えているのか?」

颯斗「記憶が無いふりをしていただけだ」

そう言いながら柄に合わない煙草を吸う颯斗

颯斗「鳳凰  仁達を頼む」

鳳凰「OK  お前らこっち来い」

そう言って鳳凰が仁の腕を引っ張ったので自然と全員物陰へ

捕食者「颯斗様  こちらに居らしたんですか」

颯斗「煙草吸いたくなってな  煙草吸ってたらバレるからな」

捕食者「強いのを吸っているんですね  終わりましたけどどうします?」

颯斗「付けたばかりから吸い終わったら帰る  ファーストレディに伝えておいてくれ」

颯斗の言葉に捕食者は「分かりました」とだけ答え城へ

仁「お前どっち側なんだ?人なのか捕食者なのか」

颯斗「……俺が望むのは捕食者も捕食される側も何も無い元の世界で皆幸せになる事だ……それには何かしらの犠牲が必要になる……」

仁「………何が言いたいんだ?」

颯斗「…………この世界を平和にさせる為に犠牲を払う必要があるという事だ」

仁  目が本気だ……しかも目が捕食者であるから余計に……

颯斗「ふーっ……俺はもう長くないんだよ……患った病が心臓にまで移転している……だからお前らには生きてもらう……人間側に立つ「リーダー」として」

仁「!!おい颯斗!!!!!」

煙草を吸いながらバイクを用意し鳳凰にヘルメットをさせて、エンジンをかけていた颯斗は煙草を消しヘルメットを被ってそのまま何処かへ

仁「あいつ……「心臓にまで転移している」って言ってたよな……」

仲間「ええ……」

仁「……捕食者であるとは言えあいつは俺達の味方だ……捕食者の城へ乗り込んで颯斗をこちら側にするぞ」

仲間「我々はリーダーに付いていく迄です」

仁  あいつ……死ぬ気だ……捕食者でも人でもない立場を自分で作って……

仁はなんやかん屋で颯斗と仲が良い……故に颯斗の言っている意味を理解

~5日後~

颯斗「お前何考えてんの?」

5日後  颯斗と鳳凰を捕食者の城で捉え誰にも見つからないように人間側の城へ

仁「お前を死なせたくないからこうしたんだよ  お前……死ぬ気だろ?」

颯斗「……ホント適わねぇわ……」

仁「笑い事じゃねぇ」

颯斗「……もう生きていても死ぬのを待つだけだ」

とても悲しそうな表情で颯斗は言う……「死ぬのを待つだけだ」……と……

人間「…………」

仁「…………」

颯斗「……殺したかったら殺せ」

仁「颯斗」

仁  自暴自棄になってるな……

颯斗「ゲホゲホ」

鳳凰「大丈夫か?」

颯斗「ああ  血が付いた」

鳳凰「吐血してるのか」

片方は捕食者の目をしているが片方は人の目

人間「……病を患っているんですか?」

颯斗「ああ……もう心臓にも転移しているから本当に死ぬのを待つだけ」

その言葉にその場にいた者は反応

人間「どうして心臓にも転移するまで放置していたんですか?」

颯斗「……俺は人の心を持つ「捕食者」だ……しかも持病ときている……長くて2年  短くて今年で俺の命は終わる」

人間「「今年」って……明日で12月ですよ!!??」

颯斗「……短くて31日間って事だよ  俺の命は」

悲しげに……颯斗は話す……「もう長くない」と

颯斗「…………」

鳳凰「ん?……寝たのか……」

仁「傍から見たらイケメンカップルだな」

鳳凰「普段から余り寝てないんだよ……1時間寝て5時間起きてまた1時間寝ての繰り返し」

仁  そう言えば前に来た時はかなり疲労が溜まっていたな……疲れている状態なのに4時間寝て行ってしまったし……普段からそこまで寝ていないのか……

鳳凰「ここは人の匂いも声も聞ける……だから安心できるようだ……颯斗は元々「捕食者」だった訳ではなく突然飢えが来て「捕食者」になった……それ迄は普通の元軍人の青年だったんだ……だから捕食者ではない人間の声や匂いのする所に居ると酷く安心する」

仁「だから人の心を持っているのか?」

鳳凰「それもあるけど違う  単に昔自分の肉を食った記憶があるから人の心を持ち続けられる」

仁「あの事件で食らった己の肉のお陰か……皮肉な話だな」

仁がそう言うと鳳凰は「そう言うなよ」と言う

鳳凰「……颯斗は本当は人を食らう事も戦う事も嫌なんだ……元々捕食者の居なかった世界で生きていたから区別がない世界を望んでいる」

仁「…………」

鳳凰「颯斗も理解しているんだ……それは不可能にも近いと……」

仁「……可能性は0じゃない」

仁  可能性は0ではないが……極めて低い

仁「……可能性自体は極めて低いぞ」

鳳凰「知っている  だが俺の持っている力の限りは尽くせるだろ?」

仁「手を貸す」

鳳凰「力添え感謝する」

仁  人として……仲間として颯斗を死なせはしない……例え……己の命が華のように散ったとしても……

人間側に立つリーダーとして仁は鳳凰に手を貸すがその時にはもう、颯斗の最後へのカウントダウンは始まっていたのを知るのは颯斗ただ1人……

~次の日~

颯斗「ふぁ……」

鳳凰「おはよう  随分と寝てたな」

颯斗「悪い……ずっとお前の肩で寝てたのか……」

鳳凰「構わねぇよ  俺は同じ体勢でいる事に慣れてる」

寝起きでまだ頭が起動していないのか颯斗はまだぼーっとしていて28には見えない

颯斗「っ……!!」

鳳凰「お前薬どうした」

颯斗「外ポケットの……っ……左の腰」

鳳凰「これか  飲めるか?」

何が起きたのか鳳凰が少し焦りながら何かを飲ます

颯斗「悪い」

鳳凰「かなり早引いてないか?」

颯斗「早引いてる  20日って所だな」

鳳凰「ここまで来てるのは予想外だ」

仁  何の話をしているんだ?

仁「何の話をしているのは知らないが……飲み物持ってきたぞ」

颯斗「有難う」

仁「鳳凰も食事を取れ」

鳳凰「気にしなくていいのに……」

と鳳凰は言うので仁は……

仁「ここは俺達の城だ  例え鳳凰が刀であっても颯斗が捕食者であってもお前らにはちゃんと飯を食わせる」

颯斗「……流石リーダーだな  仁」

仁「お前の好みとかは知ってるから何か食いたい物があったら言えよ?作ってやるから」

鳳凰「感謝する」

仁  ……その前に俺がぶっ倒れそうだな

実はココ最近ロクに眠っていなかった仁

~3時間後~

仁「…………」

仲間「!!!???リーダー!!!!!」

3時間後  限界に達した仁が倒れ仲間達があたふた

颯斗「仁を部屋に運んでおかゆとか作って様子を見ながら水を持っていけ  食料調達なら行ってやるからお前等は仁の心配をしていろ」

そう言って颯斗と鳳凰は外に隠しながら置いて置いたバイクに乗って食料調達へ

仁「…………?」

仲間「リーダー  大丈夫ですか?」

仁「………何が起きた……?」

颯斗「倒れたんだよ  かなり盛大に倒れたから肋骨が折れた可能性があったが……確認した所問題なさそうだな」

仁  倒れた……?

颯斗「動くな馬鹿  過労死する気か」

仁「だが……」

鳳凰「働き過ぎだ  少しはゆっくりしていろ」

仁「…………」

仁  そんなに働いているつもりはなかったんだがな……

仲間「休んでいてください  我々でもリーダーの仕事はできます」

仁「……すまない  身体が休まるまでは頼む……」

颯斗、鳳凰「任せろ」

その時  仁は知らなかったのだ……既に颯斗が死にに行っている事を……

颯斗死亡まで後20日……
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