血と踊る流動体

入江円

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成長

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森で少年の姿になり裸ん坊で倒れてみたこともあった。


私は無事近くで遊んでいた男の子に発見され、保護された。

お屋敷の見習いとして、坊っちゃんの後を着いて回り、一緒に探検し、眠り、よく食べ、学んだ。

名前は無いと伝えたら、ビリーという名前を貰った。

「ビリー!暇か!」

「坊っちゃん、見てわかりませんか?」

「薪を割っているな。」

「つまり?」

「暇?」

「じゃ?」

「ない?」

「よくわかりましたね。」

「ばかにしてるよな。」

「暇だったら何をするつもりですか。」

「魚をな、釣りに行こうと思ってな!」

「いいスポットでも見つかりましたか。」

「もうさ、とっっておきの、隠れスポットを見つけた!」

「これが終わったら行きましょう。」

「おう!それまで勉強してるからな!終わったら声かけろよ!待ってるぞ!」

小さい頃から元気な坊っちゃん。


「ビリー。」

「なんでしょうか、ヘイミッシュ様。」

「女性が喜ぶものとは、なんだろう。」

「人にもよると存じます。」

「なんだか、無邪気でな、可愛くて、明るくて、優しいんだ。」

「それだけしかまだお分かりでないのなら、会話が広がるようにピクニックか流行りのデザートなど、いかがですか?」

「うん、そうだな、うん。」

「今の流行りは紅茶とオレンジのケーキが美味しいパプルというお店、ピクニックでしたらここから馬車で、ラメルの丘が宜しいと存じます。」

「わかった。彼女を、誘ってみる。」

しっかりと、成長されて。



「ビリー…」

「はい、ここに。」

「久しぶりに、気分がいい」

「起きられますか?」

「うん。中庭には、今何が咲いているかな」

「ムスカリが、一面に咲いております。」

「そうか。案内してくれ。」

「承知しました。」

「なぁ、ビリー。」

「はい、大旦那様。」

「お前は、変わらんな。」

「そうでしょうか?」

「いつもお前だけが私の側に付いている。」

「拾って頂いた恩がありますから。」

「いつも、ありがとう。」

「こちらこそ。」

旦那様は一族に見守られ、寿命を全うされた。
旦那様を見送った私は強引に暇を頂き身をくらませた。

穏やかな人生の側にあった。

次は何になろう。





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