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3章 ルダマン帝国編
第307話 王都の変化
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王都に入って雰囲気が暗いのを琉海は感じた。
「なんか殺伐としているか?」
王都を出たときはこんなに活気のない街並みじゃなかった。
すれ違う人たちは何かに怯えるように俯きがちで歩いている。
この状況は気になるが、まずは宿探しだ。
「空室のある宿を探そう」
琉海たちは近くに見つけた宿で部屋を借りる。
「スティルド王国の王都にはだいぶ昔に来たことがあるけど、こんなに静かだったかしら?」
リーリアが部屋の窓の外を眺めて言う。
「1ヶ月ほど前はもっと活気があったはずなんだけどな」
琉海はフード付きローブを羽織る。
「少し、外の様子を見てくる」
「わかったわ」
琉海は宿を出てフードを被った。
そして、そのまま貴族地区を目指す。
琉海は家屋の屋根伝いに移動する。
夜の人通りは以前に比べて少ない気がする。
貴族地区に入ると夜に出歩いている人間はいないようだ。
「動きやすくて助かるな」
一軒一軒が広大な土地を占める貴族地区では屋根伝いに移動するのも一苦労だ。
琉海は風属性の精霊術で跳躍の補助をする。
風の精霊術で足音を消し、軽やかに飛ぶ琉海は簡単に目的地に辿り着いた。
「あれのはずなんだけど……」
琉海の眼前にはスタント公爵家の邸宅が広がっている。
しかし、その邸宅には灯りが一切なかった。
他の貴族の家は明るいのに対して灯りがないのはあまりにもおかしい。
家主がいなくても管理している侍従がいるはずだからだ。
明かりの一切ない邸宅に違和感を覚えていると、暗闇の中で微かに動く気配を感じた。
「人影か?」
琉海が視力を強化して注視すると、黒づくめの男が身を潜めている姿があった。
それも一ヵ所だけではなかった。
等間隔でスタント公爵家の邸宅を囲むように気配を消して配置されている。
誰もいないような場所に人を配置しているのには何か理由があるのだろう。
「おそらく、監視か……」
誰かがスタント公爵家を訪れるのを待っているのだろう。
「何が起きているんだ?」
琉海は気になったが、まずはこの場から離れることにした。
「何が起きているのか把握する必要がありそうだな」
即座に貴族地区を離れた琉海が向かった先は酒場だった。
フードを被ったまま見つけた酒場に入る。
まばらに客が座っているが、大きな声で話す者はいない。
お通夜のように静かな酒場だった。
酒場に入ってきた琉海に視線を向ける客もいたがすぐに視線を戻す。
琉海はカウンターの席に座った。
「注文は?」
カウンターでコップを拭いている男が注文を聞いてくる。
ここは酒場だ。
さすがに酒を頼まないわけにはいかないだろう。
「簡単な食べ物と軽い酒をくれ」
この世界で未成年なんてものはない。
それに半分精霊のこの体では酒を飲んでもほとんど酔うこともない。
「少し待ちな」
そう言って注文を受けた男は奥の調理場に行ってしまった。
「さて、何か雑談から拾えないかと思ったんだが……」
この酒場ではほとんど会話がない。
酒を飲んでいるが、口数が少なく、開かれた口からも聞こえてくる情報は妻や身近な人間への愚痴ばかり。
情報になりそうなものはなかった。
そうなると直接聞くしかない。
そう思っていると、調理場から料理と飲み物を持ってくる男がいた。
「お待ちどう」
琉海の前に料理と飲み物を置くとすぐに調理場に戻ろうとする。
「すみません」
「なんだ?」
琉海が止めると男は睨んでくる。
「少し聞きたいことがあるんですが、教えてくれませんか?」
琉海はそう言って懐から金貨をテーブルに置く。
それが目に入ったからか、男は舌打ちして琉海の目の前まで来る。
「なんだ。聞きたいことってのは」
「以前、王都に来た時より寂れたように思えるんだが何があったか知っているか?」
男は口を開かずに辺りに視線を向けた。
数瞬して男が口を開く。
「お前は最近ここに来たようだな。何が起きたかはここでは言えない。さっさと食って帰れ」
男はそう言ってテーブルの上に紙切れを置く。
そして、金貨をすぐに持って調理場に戻ってしまった。
辺りに視線を向けていたことに少し違和感を覚えた琉海は紙切れを懐に仕舞い、出された料理を頬張って酒で一気に流し込んだ。
琉海はそのまま酒場の外へ出た。
「なんか殺伐としているか?」
王都を出たときはこんなに活気のない街並みじゃなかった。
すれ違う人たちは何かに怯えるように俯きがちで歩いている。
この状況は気になるが、まずは宿探しだ。
「空室のある宿を探そう」
琉海たちは近くに見つけた宿で部屋を借りる。
「スティルド王国の王都にはだいぶ昔に来たことがあるけど、こんなに静かだったかしら?」
リーリアが部屋の窓の外を眺めて言う。
「1ヶ月ほど前はもっと活気があったはずなんだけどな」
琉海はフード付きローブを羽織る。
「少し、外の様子を見てくる」
「わかったわ」
琉海は宿を出てフードを被った。
そして、そのまま貴族地区を目指す。
琉海は家屋の屋根伝いに移動する。
夜の人通りは以前に比べて少ない気がする。
貴族地区に入ると夜に出歩いている人間はいないようだ。
「動きやすくて助かるな」
一軒一軒が広大な土地を占める貴族地区では屋根伝いに移動するのも一苦労だ。
琉海は風属性の精霊術で跳躍の補助をする。
風の精霊術で足音を消し、軽やかに飛ぶ琉海は簡単に目的地に辿り着いた。
「あれのはずなんだけど……」
琉海の眼前にはスタント公爵家の邸宅が広がっている。
しかし、その邸宅には灯りが一切なかった。
他の貴族の家は明るいのに対して灯りがないのはあまりにもおかしい。
家主がいなくても管理している侍従がいるはずだからだ。
明かりの一切ない邸宅に違和感を覚えていると、暗闇の中で微かに動く気配を感じた。
「人影か?」
琉海が視力を強化して注視すると、黒づくめの男が身を潜めている姿があった。
それも一ヵ所だけではなかった。
等間隔でスタント公爵家の邸宅を囲むように気配を消して配置されている。
誰もいないような場所に人を配置しているのには何か理由があるのだろう。
「おそらく、監視か……」
誰かがスタント公爵家を訪れるのを待っているのだろう。
「何が起きているんだ?」
琉海は気になったが、まずはこの場から離れることにした。
「何が起きているのか把握する必要がありそうだな」
即座に貴族地区を離れた琉海が向かった先は酒場だった。
フードを被ったまま見つけた酒場に入る。
まばらに客が座っているが、大きな声で話す者はいない。
お通夜のように静かな酒場だった。
酒場に入ってきた琉海に視線を向ける客もいたがすぐに視線を戻す。
琉海はカウンターの席に座った。
「注文は?」
カウンターでコップを拭いている男が注文を聞いてくる。
ここは酒場だ。
さすがに酒を頼まないわけにはいかないだろう。
「簡単な食べ物と軽い酒をくれ」
この世界で未成年なんてものはない。
それに半分精霊のこの体では酒を飲んでもほとんど酔うこともない。
「少し待ちな」
そう言って注文を受けた男は奥の調理場に行ってしまった。
「さて、何か雑談から拾えないかと思ったんだが……」
この酒場ではほとんど会話がない。
酒を飲んでいるが、口数が少なく、開かれた口からも聞こえてくる情報は妻や身近な人間への愚痴ばかり。
情報になりそうなものはなかった。
そうなると直接聞くしかない。
そう思っていると、調理場から料理と飲み物を持ってくる男がいた。
「お待ちどう」
琉海の前に料理と飲み物を置くとすぐに調理場に戻ろうとする。
「すみません」
「なんだ?」
琉海が止めると男は睨んでくる。
「少し聞きたいことがあるんですが、教えてくれませんか?」
琉海はそう言って懐から金貨をテーブルに置く。
それが目に入ったからか、男は舌打ちして琉海の目の前まで来る。
「なんだ。聞きたいことってのは」
「以前、王都に来た時より寂れたように思えるんだが何があったか知っているか?」
男は口を開かずに辺りに視線を向けた。
数瞬して男が口を開く。
「お前は最近ここに来たようだな。何が起きたかはここでは言えない。さっさと食って帰れ」
男はそう言ってテーブルの上に紙切れを置く。
そして、金貨をすぐに持って調理場に戻ってしまった。
辺りに視線を向けていたことに少し違和感を覚えた琉海は紙切れを懐に仕舞い、出された料理を頬張って酒で一気に流し込んだ。
琉海はそのまま酒場の外へ出た。
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