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ゲームの神様の悪戯
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私はさっきまで、道路の上で血を流しながら倒れていた。信号無視をした車にひかれたからである。そして、目の前が真っ暗になり目をゆっくり開けてみると、私は先ほどまで道路に倒れていたのに、雲のようなフワフワしたものの上で倒れていた。今は何処も痛くないし、血も出ていない。
これって、死んで天国に来てしまった?
私の脳裏に「天国」という二文字が浮かんだ。
怪我が治っているということは私の身に何がおきているのか謎だった。雲のようなものの上で座って両手を開いたり閉じたり、頬をつねったりしてみたが、やっぱり夢ではないのは確かだ。だが、本当にこの事態はどうなっているのか、謎だ。
「あらあら、結構神経が図太いのね」
頭の上の方から女性の声が聞こえてきた。顔を上げてみると、黒く腰まである長い艶やかな髪に白い布の様な服で靴は履かず裸足であらわれた。
「あの、貴方は一体?」
「初めまして、ゲームの神様のシュラっていうの、宜しくね」
シュラはウインクをしながら雲の様なものの上に立った。そして、しゃがみ込んで私と視線を同じにした。
「貴方はラッキーよ。ゲームの世界に生き返る事が出来るのよ。しかも、前世の記憶を持ったまま!」
「は、はぁ?」
「きっと、生き返ったら私に向かって泣きながら叫ぶでしょうね。悲鳴ものよ。さて、そろそろ時間かな」
シュラは私の足を見ながらそういった。
私も自分の足に視線を向けた。すると、両足が透けだした。
「楽しい人生をおくってちょうだいね」
シュラがそう言った瞬間、瞼を瞬きして閉じた一瞬で私のいた世界が変わっていた。雲の様なものが地面に広がっていた世界と違い、青い空が見えた。
勢いよく起き上がると、背中がフェンスにあたりガシャンと針金の音が響く。
「夢だったの?」
けれど、夢にしてはリアルな夢だ。
だって、車にひかれて、神様に出会って生まれ変わるって…夢か、全部。良かった。
そうだよね、死んでゲームの世界に生まれ変わるなんて夢じゃないと訳分からないよね。
学校の屋上の出入り口から出て、教室に向かおうとした。すると、誰かが階段をあがってくる音がする。私が階段を降りながらその人間を目視して、頭が真っ白になった。
「君、ここは立ち入り禁止だよ」
「あ、はい。すみません」
「あれ、君は昨日転校してきた風間梓(かざまあずさ)さん? 迷って此処に来ちゃったの?」
「え、なんで私の名前を?」
なんで、なんで貴方様が此処にいるんですか?
【初めまして、ゲームの神様のシュラっていうの、宜しくね】
確かにゲームの世界に転生だって聞いていたけど。けど、ここの世界は。このゲームは!
「なんでって、この天空学園に編入で入ってきた秀才だと有名な噂だよ。しかも、この学園唯一の女の子だからね。それもあって、知らない人はいない」
「う、嘘でしょ?」
ゲーム。それは、空想世界での恋愛にバトルにと様々な要素で楽しむものだ。
私は特に恋愛ゲームに嵌っていた。恋愛ゲームと言っても、男女の恋愛ではない。私の場合は男と男同士。そう、BLゲームに嵌っていたのだ。そんな中でも、甘く難しく涙した最高の傑作のBLゲーム『天空×地上恋愛』というのがある。そのゲームの中に私はどうやら入ってしまったようだ。
【きっと、生き返ったら私に向かって泣きながら叫ぶでしょうね。悲鳴ものよ。さて、そろそろ時間かな】
確かに、神様の予言は良く当たる。そして、叫ばずにはいられなかった。
「くそ神がぁああああああああ! ふざけるなぁあああああああああ!」
私は頭を両手で抱えて力の限り、怒りの限り叫んだ。
何が【楽しい人生をおくってちょうだいね】だ!
だって、ここは男同士でしか恋愛出来ない世界なのだ!
女で生まれ変わったら、結婚なんて恋人なんて恋なんて出来ないじゃないか!
最悪だ。ものすっごく、最悪だぁあああああああああああああ!
「あ、あの大丈夫?」
BLゲームの攻略対象者。鬼島凛(きじまりん)、二年で爽やかイケメンのスポーツマンと見せかけて、本当の正体はドMな変態マン。強気な主人公に罵られて、そんな人間が今まで周りにいなくて新鮮で恋におちる。
どうしよう。
本当にどうしよう。
このBLゲームの主人公って編入してくる男の子なのだ。
そう、その立場が今の私!
あの神様はBLゲームの中に女主人公を投入してくれたのだ。
ガッデム!
ねぇ、腐女子だったからってゲームに入りたいわけじゃないんだよ!
ゲームは第三者になってやるから楽しいのであって、自分が主人公になっていろんな美形達から好かれるターンがきては困るんだよ!
ていうか、男子校だったのに私が居る事で共学になってしまった。シュラ、このゲームはもう始まったばかりなのに滅茶苦茶だよ。私にどうしろって言うんだ?
誰でもいいから、説明してくれぇええええええええええええ!
「あの、大丈夫ですか?」
「あ、はい。大丈夫です。それでは」
私は関わったら不味いと思い、鬼島の横を通り過ぎて階段を降りようとしたら腕を掴まれた。
「俺を見て、何も思わないの?」
「えっと、どういう事でしょうか?」
「俺に色目使ったり、媚びたり、俺を見て頬を染めないの? 俺、イケメンでしょ? サッカー部のエースだよ? 家もお金持ちだよ? 俺にお近づきになりたくないの?」
「えっと…あはは、なんででしょうか?」
「それとも、これが新しい俺へのアタックの仕方? 結構、斬新だね」
「あはははは…」
掴んでいる腕から力が弱まると、私は腕を強引に動かして鬼島の腕から逃れ、階段を急いで駆け下りていった。
廊下を走って走って走っていた。
そして、誰もいないのを確認して空き教室に入った。そして、床に座り込んで頭を抱えた。
「なになに、ないよ。こんなゲームの世界なんて。嘘だよ!」
私はバクバクと痛いくらいに動く心臓を服の上からおさえて、深呼吸をして息を整えた。深呼吸の数度すると心にもゆとりが出来てきた。冷静になるのよ、梓。
このゲームは天界と地上界の世界で成り立っている。地上界で生活するのは女だけ、天界で生活するのは男だけだ。魔法も使えるファンタジーな世界だ。
だが、このゲームはおかしい。
そう、天界に「女」である私がいるのは。おかしいのだ。
このゲームのルールではこれは禁忌とされている。男は男と恋愛。女は女と恋愛。それがこのBLゲームのあるべき姿なのだ。なのに、主人公である編入した人物が私。
ありえへん。
もう、BLゲームが成り立っていない。崩壊もいいところだ!
BLゲームで女主人公ってなに?
ボーイズラブ。それがBL!
≪あれあれ~、なんで頭を抱えて変な顔をしてるの?≫
私はバッと顔を勢いよく上げて、声をかけてきた人物を探すがいない。だが、その声が聞き覚えがあった。
「シュラ! 何処にいるの!」
≪えー、なんか怒っている。BLゲーム好きでしょ? なんで喜んでないの?≫
「あんた、狙ってBLゲームに入れてくれたわね! この世界は男が男と恋愛が確定されている筈だよ! 男主人公が女主人公になったら、ただの逆ハーレムじゃない!」
≪私ね。一度、見てみたかったの≫
「…な、なにを?」
なんだろう。なんで、嫌な予感しかしない。
≪BLゲームにメインの女の子を入れたらどうなるのか、気になっていたの。だから、これは実験。頑張って、攻略対象を次々getしてね。話が面白くなくなったら、新しいキャラが出てくるからね。なんてたって、私はゲームの神様だもの! なんでもありなの。じゃ、この世界を堪能してね!≫
「ちょ、何処にいるの!」
空き教室内に向かって叫ぶがシーンとしてシュラの声は返ってこなかった。
ありえない。実験って。私がたまたま選ばれて、BL世界に押し込まれた?
私が主人公であるならば、もう少女漫画のハーレム系でしかない。
このゲームはファンが多い。
その根強い人気を支えているのは、受け攻めをプレイヤ―が決められることが。主人公が攻めてもよし。受けでもよし。一人の対象者を二度楽しめる。それがこのゲームの強み。
正直言って、最悪でしかないよ。
あぁ、ゲームの神様以外の神様。
どうか、バッドエンドだけにはなりませんように!
こうして、私の人生が新しい世界ではじまったのであった。
これって、死んで天国に来てしまった?
私の脳裏に「天国」という二文字が浮かんだ。
怪我が治っているということは私の身に何がおきているのか謎だった。雲のようなものの上で座って両手を開いたり閉じたり、頬をつねったりしてみたが、やっぱり夢ではないのは確かだ。だが、本当にこの事態はどうなっているのか、謎だ。
「あらあら、結構神経が図太いのね」
頭の上の方から女性の声が聞こえてきた。顔を上げてみると、黒く腰まである長い艶やかな髪に白い布の様な服で靴は履かず裸足であらわれた。
「あの、貴方は一体?」
「初めまして、ゲームの神様のシュラっていうの、宜しくね」
シュラはウインクをしながら雲の様なものの上に立った。そして、しゃがみ込んで私と視線を同じにした。
「貴方はラッキーよ。ゲームの世界に生き返る事が出来るのよ。しかも、前世の記憶を持ったまま!」
「は、はぁ?」
「きっと、生き返ったら私に向かって泣きながら叫ぶでしょうね。悲鳴ものよ。さて、そろそろ時間かな」
シュラは私の足を見ながらそういった。
私も自分の足に視線を向けた。すると、両足が透けだした。
「楽しい人生をおくってちょうだいね」
シュラがそう言った瞬間、瞼を瞬きして閉じた一瞬で私のいた世界が変わっていた。雲の様なものが地面に広がっていた世界と違い、青い空が見えた。
勢いよく起き上がると、背中がフェンスにあたりガシャンと針金の音が響く。
「夢だったの?」
けれど、夢にしてはリアルな夢だ。
だって、車にひかれて、神様に出会って生まれ変わるって…夢か、全部。良かった。
そうだよね、死んでゲームの世界に生まれ変わるなんて夢じゃないと訳分からないよね。
学校の屋上の出入り口から出て、教室に向かおうとした。すると、誰かが階段をあがってくる音がする。私が階段を降りながらその人間を目視して、頭が真っ白になった。
「君、ここは立ち入り禁止だよ」
「あ、はい。すみません」
「あれ、君は昨日転校してきた風間梓(かざまあずさ)さん? 迷って此処に来ちゃったの?」
「え、なんで私の名前を?」
なんで、なんで貴方様が此処にいるんですか?
【初めまして、ゲームの神様のシュラっていうの、宜しくね】
確かにゲームの世界に転生だって聞いていたけど。けど、ここの世界は。このゲームは!
「なんでって、この天空学園に編入で入ってきた秀才だと有名な噂だよ。しかも、この学園唯一の女の子だからね。それもあって、知らない人はいない」
「う、嘘でしょ?」
ゲーム。それは、空想世界での恋愛にバトルにと様々な要素で楽しむものだ。
私は特に恋愛ゲームに嵌っていた。恋愛ゲームと言っても、男女の恋愛ではない。私の場合は男と男同士。そう、BLゲームに嵌っていたのだ。そんな中でも、甘く難しく涙した最高の傑作のBLゲーム『天空×地上恋愛』というのがある。そのゲームの中に私はどうやら入ってしまったようだ。
【きっと、生き返ったら私に向かって泣きながら叫ぶでしょうね。悲鳴ものよ。さて、そろそろ時間かな】
確かに、神様の予言は良く当たる。そして、叫ばずにはいられなかった。
「くそ神がぁああああああああ! ふざけるなぁあああああああああ!」
私は頭を両手で抱えて力の限り、怒りの限り叫んだ。
何が【楽しい人生をおくってちょうだいね】だ!
だって、ここは男同士でしか恋愛出来ない世界なのだ!
女で生まれ変わったら、結婚なんて恋人なんて恋なんて出来ないじゃないか!
最悪だ。ものすっごく、最悪だぁあああああああああああああ!
「あ、あの大丈夫?」
BLゲームの攻略対象者。鬼島凛(きじまりん)、二年で爽やかイケメンのスポーツマンと見せかけて、本当の正体はドMな変態マン。強気な主人公に罵られて、そんな人間が今まで周りにいなくて新鮮で恋におちる。
どうしよう。
本当にどうしよう。
このBLゲームの主人公って編入してくる男の子なのだ。
そう、その立場が今の私!
あの神様はBLゲームの中に女主人公を投入してくれたのだ。
ガッデム!
ねぇ、腐女子だったからってゲームに入りたいわけじゃないんだよ!
ゲームは第三者になってやるから楽しいのであって、自分が主人公になっていろんな美形達から好かれるターンがきては困るんだよ!
ていうか、男子校だったのに私が居る事で共学になってしまった。シュラ、このゲームはもう始まったばかりなのに滅茶苦茶だよ。私にどうしろって言うんだ?
誰でもいいから、説明してくれぇええええええええええええ!
「あの、大丈夫ですか?」
「あ、はい。大丈夫です。それでは」
私は関わったら不味いと思い、鬼島の横を通り過ぎて階段を降りようとしたら腕を掴まれた。
「俺を見て、何も思わないの?」
「えっと、どういう事でしょうか?」
「俺に色目使ったり、媚びたり、俺を見て頬を染めないの? 俺、イケメンでしょ? サッカー部のエースだよ? 家もお金持ちだよ? 俺にお近づきになりたくないの?」
「えっと…あはは、なんででしょうか?」
「それとも、これが新しい俺へのアタックの仕方? 結構、斬新だね」
「あはははは…」
掴んでいる腕から力が弱まると、私は腕を強引に動かして鬼島の腕から逃れ、階段を急いで駆け下りていった。
廊下を走って走って走っていた。
そして、誰もいないのを確認して空き教室に入った。そして、床に座り込んで頭を抱えた。
「なになに、ないよ。こんなゲームの世界なんて。嘘だよ!」
私はバクバクと痛いくらいに動く心臓を服の上からおさえて、深呼吸をして息を整えた。深呼吸の数度すると心にもゆとりが出来てきた。冷静になるのよ、梓。
このゲームは天界と地上界の世界で成り立っている。地上界で生活するのは女だけ、天界で生活するのは男だけだ。魔法も使えるファンタジーな世界だ。
だが、このゲームはおかしい。
そう、天界に「女」である私がいるのは。おかしいのだ。
このゲームのルールではこれは禁忌とされている。男は男と恋愛。女は女と恋愛。それがこのBLゲームのあるべき姿なのだ。なのに、主人公である編入した人物が私。
ありえへん。
もう、BLゲームが成り立っていない。崩壊もいいところだ!
BLゲームで女主人公ってなに?
ボーイズラブ。それがBL!
≪あれあれ~、なんで頭を抱えて変な顔をしてるの?≫
私はバッと顔を勢いよく上げて、声をかけてきた人物を探すがいない。だが、その声が聞き覚えがあった。
「シュラ! 何処にいるの!」
≪えー、なんか怒っている。BLゲーム好きでしょ? なんで喜んでないの?≫
「あんた、狙ってBLゲームに入れてくれたわね! この世界は男が男と恋愛が確定されている筈だよ! 男主人公が女主人公になったら、ただの逆ハーレムじゃない!」
≪私ね。一度、見てみたかったの≫
「…な、なにを?」
なんだろう。なんで、嫌な予感しかしない。
≪BLゲームにメインの女の子を入れたらどうなるのか、気になっていたの。だから、これは実験。頑張って、攻略対象を次々getしてね。話が面白くなくなったら、新しいキャラが出てくるからね。なんてたって、私はゲームの神様だもの! なんでもありなの。じゃ、この世界を堪能してね!≫
「ちょ、何処にいるの!」
空き教室内に向かって叫ぶがシーンとしてシュラの声は返ってこなかった。
ありえない。実験って。私がたまたま選ばれて、BL世界に押し込まれた?
私が主人公であるならば、もう少女漫画のハーレム系でしかない。
このゲームはファンが多い。
その根強い人気を支えているのは、受け攻めをプレイヤ―が決められることが。主人公が攻めてもよし。受けでもよし。一人の対象者を二度楽しめる。それがこのゲームの強み。
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