悪役令息と悪役令嬢の兄と姉を守りたいので第四王子との恋愛フラグをへし折りまくります!

いずみ

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父親の思惑

 ワインを片手に、私は自分の部屋の窓の外を見ていた。
「おやおや、馬車が向かって来る。アルフォンかな?」
 私はアルフォンを愛している。実の子供ではないが、一番愛している。美しい実の子の双子と違って、アルフォンは兄の血をついている者だ。平凡な外見も一緒だった。育っていくにつれて、兄に似てくるアルフォン。
 私の兄はある庶民の娘と駆け落ちしたみだ。だが、二人は夜盗に殺された。アルフォンはその時は高い熱を出していて病院に入院していたので難を逃れた。
 兄は魔法を使う事については天才だった。それは、アルフォンも一緒だった。兄の血を受けついていたのだ。
 アルフォンは双子の兄と姉の事を大切にしている。自分よりも。
 私にとっては実の子は、駒としか見えないのだ。
 愛しているかと聞かれると、妻にも愛があるのか分からない。ただ、唯一はアルフォンだ。
 今のあの子を見ていると、兄の幼少のころと瓜二つで兄が帰ってきてくれたみたいで嬉しかった。
 ブラコンだとよく言われていたが、ブラコンでも変態でも構わない。アルフォンを手元に置いておきたいと思っていたが、やはり兄の幸せを考えると王族との結婚が幸せだろうと思う。だから、アルフォンが幸せになるためにいろいろと権力や金がいる、もちろん人脈も。どんな最低な人間でも、アルフォンの役に立つ者なら、あの双子の我が子を喜んで差し出そう。それがきっとアルフォンの、兄の幸せになるのだから。
 きっと、アルフォンの事だから兄と姉の婚約者にまともな奴がいない事に怒りを覚えている事だろう。兄弟愛は美しいからな。まぁ、私の兄弟愛は歪だがね。いいのさ、兄が帰って来てくれたんだから、兄を幸せにするのが私の役目なのだから。
 私はワインを太陽に向けて、腕を上げた。
 美しいものは嫌いじゃない。
 ただ、外見が美しいのと、心が美しいのは違う。
 この二つを持っている人間は少ないだろう。あぁ、アルフォン。お前の幸せには姉と兄の屍で出来ているんだよ。例えば、この私の気持ちを考えを知ったら、アルフォンは怒るだろうね。
 好きな姉と兄を踏み台に出来ないと。怒るだろうね。
 だが、して貰わないとな。
 姉も兄も、外見は美しい事で有名だ。アルフォンの噂はそれよりも上をいくが。
「神よ、どうか我が愛しの兄様に、幸せを」



 兄を愛しています。
 アルフォンを好きなのか、兄が好きなのか分からない。
 混合してしまう。
 兄にそっくりなアルフォン。
 
できる事なら私が幸せにしてあげたかった。兄様。
 兄様は駆け落ちをする前日に私に言葉をかけてきた。
【私を好きでいる事は有難いが、自分の幸せを考えなさい。それが、お前に出来てない事】
 何を言っているのか分からなかった。
 朝になると、兄は家から姿を消していた。
 女と駆け落ちした事が憎くて仕方がなかった。女だからって、兄の横にいる権利があるだなんて、なんて憎らしい事だ。女を八つ裂きにしてやりたいが、何処にいるのか分からない。
 だから、力をつける事にした。
 権力、富、金、人脈など、なんでも兄を探し出す事に繋がると思ったからだ。
 そして、私が当主になって子供と妻がいる生活になった。
 妻とは見合い結婚だ。美しい女性だと思っているが、兄様への想いとは違った。
 そして、数年が経って一通の手紙が我が家に届く。
 兄様からだった。
 ≪突然だがお願いだ、子供を助けてくれ! 熱が下がらない、薬が高くて金がないんだ。どうか金を貸してほしい。我儘だと分かっているが頼める相手はお前だけなんだ。頼む!≫
 手紙は子供の心配の事と、金の事と、私の事が書いてあった。
 あまりの嬉しさに、叫びそうになったがグッと我慢した。
「あぁ、兄様。私を覚えて下さったのですね」
 子供だと書いてあったが、気にせず、兄様に会える事を楽しみに仕事を終わらせて書いてある住所に向かった。
 だが、兄と兄の妻が亡くなっていた。
 その後、私は高熱だったアルフォンが記憶が無くなっているのを知って、この子を引き取ろうと思った。引き取ったのは、兄様の子供の頃にソックリだったからだ。
 アルフォンだけが、まだ血が繋がっていない家族なんだと知らない。
 他の家族は知っているが、良好な家族関係だ。
 今は……だがね。
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