凡人な私に義兄弟さえも溺愛してきて困っています!

いずみ

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再婚相手の子供が不穏すぎる

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 私は井波皐月(いなみさつき)、井波家で唯一平凡なただの何処にでもいる一般人の女子高生だ。だが、家族が少し変わっている。母は中小企業の社長をしており眼鏡が似合う美人の井波紫苑(いなみしおん)、双子の兄と姉は母に似て美形と美人の自慢の兄弟で超難関の国立の大学に二人とも通っており、美形の兄弟だと有名だ。兄は井波椿(いなみつばき)で姉は井波すみれという名だ。だが、私だけが違う。私は父親似で、この美形家族の中では凡人だった。救いなのは勉強も運動も見た目と違ってとても出来た事だろう。母は、再婚を考えている様だった。父一筋かと思っていたが、父は亡くなり前に母に「幸せだけみつめてくれ」と言い残して亡くなっている。そんな母の心を射止めたのは、他の会社の社長さんだった。笑顔が優しい人で、癒し系の男性だった。だが、将棋にチェスに囲碁をしたら惨敗だった。伊達に社長をしているわけではないようだ、頭がキレるようだった。そんな彼にも、子供が一人いて、私と一緒の高校生らしい。仲良くできれば嬉しいなと思っている。
「それで、その再婚相手との食事会が今日だと?」
「うん、ごめんね。ちょっと、そのまま食事会のレストランに行かないといけないから」
「分かった、今日は一緒に帰るの我慢するよ!」
「ありがとう、助かる」
 今日は同じ年の高校生と会える。どんな人間なんだろう?
楽しみだな。兄弟が増えるのは。
「校門にリムジンなんて珍しいわね」
「本当だ」
 学校の生徒玄関から門を見ると、リムジンが停まっていた。
 誰か、待っているのだろうか?
「行こう、皐月」
「うん、牡丹」
 私と今市牡丹(いまいちぼたん)は門を出て、リムジンを背にして歩き出した。
 だが、後ろから声をかけられた。
「おい、井波皐月はお前だな」
 振り向くと車の扉がガチャと開く音がした。
 リムジンの後部座席から長いスラリとした足が見えた。
 漆黒の黒い髪にエメラルドの様な宝石の瞳、背は高くスタイルが良く、声も聴き心地の良いものだった。こんな完璧人間がいたが、私の知り合いには記憶ない。

誰、こいつ?

「俺が誰か、親父から聞いていないのか? 佐賀雅樹(さがまさき)からさ」
「佐賀さんの息子さん?」
「そうだ、俺は佐賀櫻(さがさくら)だ。以後お見知りおきを」
「こちらこそ、宜しく」
「しっかし、写真で見たけどお前だけ凡人だな?」
「喧嘩売っています?」
 この、男! 人が気にしている事を!
「いや、気分を害したならすまん。本音が抑えられなかった。車に乗ってくれ、レストランまで送る」
「分かりました。此処で騒いでも仕方ないので。牡丹、またね」
「気を付けてね」
牡丹が小さな声でボソリと言ってきた。
「え?」
「絶対にアイツの言葉を真に受けては駄目だよ」
「牡丹?」
「気を付けて、いってきてね」
 そう言って、牡丹は心配そうな顔をして私に手を振った。私は櫻に言われるまま、車に乗ってレストランに向かった。お互い向かい合って、後部座席に座った。
「お前、その恰好で行く気か?」
「駄目だった?」
「今日から佐賀家の人間にしては、みすぼらしいがな」
「貴方、一言多いって言われません?」
「俺は思っている事を言ったまでだ」
「口は災いの元です。もう少し、自分を隠してください」
「理解が出来ん」
「何がですか?」
「本当にあの家族の一員か? 実は養子とかじゃないよな?」
「私は亡くなった父親似なんですよ。兄も姉も母親似なんです」
「ふーん、そうなのか」
 なんだろう、ジーっと私を観察し始めた。口は悪いが美形ではある。兄と違ったオーラの美形でクールビューティという言葉が似合うだろう。
「よし、お前にも手伝ってもらおうかな」
「何をよ」

「この結婚をぶち壊す事をだよ」
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