脚フェチ王子の溺愛 R18

彩葉ヨウ(いろはヨウ)

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黒の乙女1

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「ロレンザ様、本当に宜しいのですか?」

「ああ、エミレィナ。構わないよ、君とグリニエル王子、そしてケインシュアを私の移転魔法で国境まで連れて行く。

本当なら国の中までいけるんだがね。
他国の者が入るには1度国境で手続きをしなければ後々面倒なんだ。」



ヴィサレンスへ向かう日。
私たちは以前、移転魔法陣を描いた場所にいた。

それは以前のものと少し違う紋様が描かれているらしいのだが、私には違いが分からない為、説明のしようがない。


「構いません。魔法を使っていただけるだなんて、それだけで恐れ多いです。」


ヴィサレンスの王太子直々の移転魔法。
先日のように国を攻める時や、退避する時に使われるのは分かるが、今回私たちは外交客として向かうのだ。

彼の移転魔法を使ってもらうには何だか恐縮してしまう。


「私と君は家族だ。怖がる必要などない。
それに、今君は我がヴィサレンス帝国の大事な客人となるのだ。
私が移転魔法を使わない理由などないよ。」


彼が私にそう言うと、そのまま穏やかな笑顔を見せた。

「ありがとうございます、ロレンザ様。」



ヴィサレンスに向かうこととなったのは、私とグリニエル様、そして隊長の3人だ。

なにやら、ブルレギアス様から聞いた話によると、ヴィサレンスには、黒の乙女と呼ばれる剣術使いの女性がいるらしく、その女性はもしかしたら隊長の妹であるミランダではないかという憶測に至ったのだ。


隊長とは別地域の魔物討伐に向かった際、そのまま行方知れずとなった彼女は、姿を消してから5年になる。

それから隊長は戦地に赴くことを止め、表向きには第二王子の側近となっているが、情報を得る為に潜入騎士となった。

妹を探す為に、とにかく手を尽くしてきた隊長に、やっとそれらしい話が入ったのだ。行かないわけはないだろう。


黒の髪に鈍色の瞳という容姿はあまり見かけない為、期待はしているが、本当にミランダであるならば、どうしてジョルジュワーンに戻ってこないのか、とも思う。

とにかく1度確認しないことには気が収まらないだろうからと、私に同行することになったのだ。


そして、グリニエル様は、説明の必要もないだろうが、私1人を行かせるのは心配で、仕事どころでないと言い張り、そしてそんな彼が執務をしても邪魔になるから、と、ブルレギアス様が外交と称して殿下を送り出すこととなったのだ。


ヴィサレンスの外軍と呼ばれる彼らは、もうすでに国に戻っている為、ロレンザ様の移転魔法で動くのは6人だ。



ちなみに、最初、私の荷物はカバン一つで足りるほどだったが、来賓として向かうのだから、恥ずかしいことはするなとブルレギアス様に沢山の荷物を用意されてしまった。

この中にはきっとドレスやら装飾品やらが入っているのだろう。先程の荷物よりも5倍程量が増えた。

しかし、私の身の回りの世話をしてくれるのは、ヴィサレンスの方だという。

それなら、あちらのファッションを取り入れて楽しむのも良いのではないかというミレンネの提案を受けて、再度私の荷物量は私の希望に近づけることができたのだ。

これなら、ロレンザ様の負担も少しは軽減できただろうか。そう思ったが、軍二つを移転させるほどの力を持つのだから、対して意味はなかったのかも知れない。


まあ、私の気は少し軽くなり、ロレンザ様の移転魔法でヴィサレンスへと向かう準備がされた。




「ロレンザ殿、弟妹と友人を宜しく頼みます。」

「ああ、大事な客人として厚くもてなしをさせて頂こう。
今回は随分と世話になった。
次はブルレギアス殿も、婚約者を連れて来て欲しいよ。」

昨日、ブルレギアス様はディストネイルの姫であるリリマナと婚約することを決め、それは今、準備が進められている。

だからきっと、それが終わり、正式に婚約者となってからの話をされているのだろう。 


「…ええ、そうですね。楽しみにしておきます。」

ロレンザ様とブルレギアス様は2人で笑い合う。その姿は、以前のものとは違う。

お互いに助け合った結果、同盟を結んだ両国の次期国王と次期皇帝。これはきっと世界に衝撃を走らせることとなるだろう。

すると、ブルレギアス様は私にも声をかけてきた。


「エミリー、いってらっしゃい。
楽しんでくるんだよ。」

「はい。行ってまいります。
ブルレギアス様。ルキアのことはよろしくお願いします。」

ルキアは連れてはいけない。
かといって家に置いておくだけでは食べるものに困ってしまうからと、ブルレギアス様に頼んだのだ。

ルキアは可もなく不可もなくという感じで、ブルレギアス様を好いてはいないが嫌いでもないようだったため、心配はしていない。



私の足元が光り輝く中、彼にそう言うと、ブルレギアス様は穏やかな顔で私達を見送ってくれた。




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