脚フェチ王子の溺愛 R18

彩葉ヨウ(いろはヨウ)

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黒のストッキング2

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「エミリー。夕食まで時間がないわ。
早く部屋に行って着替えを済ませてしまいましょう。」

「え?」

王族となれば1日に何度も着替えることもある。確かにそうではあるが、夕食は私とミレンネ、そしてロレンザ様にグリニエル様だけで予定されているため、今のドレスでも何の問題はないはずなのだ。

それなのにミレンネは、軽く城の説明をしながら、別棟に設けられた私の宿泊部屋へと足を進めていく。


「ここが今回エミリーに使ってもらう部屋よ。
グリニエル様は二つ先の部屋になっているし、ケインシュア様はグリニエル様の更に向こうの部屋に泊まられるわ。
別の階の方が良いかとも思ったのだけれど、エミリーのことだからグリニエル様の近くがいいと言うんじゃないか。ってお兄様が。」

つまり殿下を守りやすいように手配してくれたのだろう。

正直その配慮にはとてもありがたいと思った。



「それは助かるわ。
やっぱり殿下の近くだと安心するもの。」

何かあれば身を挺してでも彼を守りたいと思うのだから、やはり彼が近くであることは私にとって助かるのだ。


「本当は男性の部屋の近くに女性の部屋は置かないのだけれど、2人の関係はもうから大丈夫かと思ってお兄様の案を通したの。」

つまり私と殿下が義兄妹だから良いだろうと判断した、と言うことか。
その気遣いに、私はコクンと頷いた。

「良かった、エミリーに言って、もしも嫌だと言われたら別の部屋を用意しようとも思っていたの。もし、違う部屋がいい時は遠慮なく言って頂戴ね。」

私はミレンネと話しながら部屋へと入る。



するとすぐにコンコンと部屋の扉が鳴った。


「入っていいわよ。」


私の代わりにミレンネが許可を出すと、若い女性が入ってきた。

「紹介するわ。彼女はステファニー。
あなたの滞在期間中に身の回りの世話を任せた侍女よ。
何かあれば彼女を使えばいいから。」


「…初めまして。エミレィナ様。
ステファニーと申します。

こちらの国へお越しになられるのにお付きの方を連れてこられなかったとお聞きいたしました。
あなた様が不自由しないよう、私が勤め上げますので、何なりとお申し付けくださいませ。」

丁寧に腰を折る彼女は随分と礼儀正しい。
私はそんな彼女に笑いかけた。


「エミレィナです。慣れないことばかりで、沢山手を借りることとなるやもしれませんが、宜しくお願いします。
頼りにしていますからね。」

「っ。お任せください。」

私の反応がおかしかっただろうか。
そう思うように少し間が空き、彼女が返事を返すとすぐにミレンネが彼女に指示を出した。

「ステファニー。エミリーにのドレスを持ってきて頂戴。」

「かしこまりました。」

ステファニーは言われた通りに以上部屋へと入っていく。
その間、私はミレンネに尋ねた。


「夜用のドレスってどういうことかしら?
このままでも良いのだけれど。」

私は何度も着替えるのは正直に言って面倒なのだ。
特に理由がないのであれば、こちらのドレスを着るのは明日からで十分である。

「んー…。ヴィサレンスの夜はとても寒いの。
そちらでいう“フユ”?の様なくらい寒くなる日もあるわ。だから夜になる前に着替えてから食事をするの。
慣れてしまえば気にならないでしょうけど、不思議に感じるわよね。

私も、ジョルジュワーン滞在した時、少し戸惑ったもの。」


そう言われて思い出す。
確かに彼女は夜になると違うドレスを着ていた。それだけ拘りがあるのだろうと思っていたが、長年の癖が抜けなかったのだろう。

しかし、今から寒くなると言われれば着替えないわけにはいかないため、私は素直に持ってこられたドレスに目を通した。


「何か着てみたいドレスや好きな色味なんかはあるかしら。」

私はそう言われて悩む。

自分でドレスを選ぶことはあまりしない為、よく分からないのだ。


「んー。私あまり分からないのよね。
ヴィサレンスで流行っている色や形とか…
そういうものはあるかしら。」

「そうですね。今流行りですと、シースルーのドレスが流行っております。
寒くとも肌が程よく見えるので、野暮ったくならないようですね。
ここにあるのは腕だけがそうなっていますから、挑戦しやすいかと思います。
ただ、肌を出すことに抵抗がなければですが…。」


ステファニーがそう言って見せるのは、赤紫色のドレスで、私はそれに目を奪われた。

あまりフリルがなく、落ち着きのあるものであるのに、透け感があるからか地味すぎるわけでもない。


「それは寒くはないのかしら。」

「はい。透けているだけで、生地はありますし。それに、こちらを履いていただきますから、寒くはないでしょう。」

ステファニーの手には、私が履くにはあまりにもサイズが小さい黒いズボンのようなものが握られている。

いや、ズボンとも違う。爪先まで隠れるそれは、何なのだろうか。

「ステファニー。それは何かしら…。」

「これはストッキングというものです。
ドレスの下に履くもので、ミレンネ様も使われております。
ミレンネ様と同じサイズを準備致しましたから、1度着てみましょうか。」

私が気になったドレスとストッキングを用意したステファニーは、手際よく着替えを済ませていく。



私は未知であるその物に少し警戒をしながら着替え終えると、ステファニーもミレンネも、わぁっと声を漏らした。


「エミリー。とっても似合っているわ。
これならグリニエル様も満足してくださるんじゃないかしら。」


「いえ。ミレンネ様、髪はアップに致しましょう。メイクも少し変えて…。

ほら、この方が良いかと思います。」


髪をアップに纏められ、うなじには少し髪が残される。それを今度は少しウェーブがかかるようにカールさせられた。

そしてメイクは唇に濃いリップを塗られ、随分と艶のある仕上がりとなった。



「あら、良いじゃない、ステファニー!
エミリーの落ち着いた雰囲気が上手く活かされていていいわ!」


キャッキャっと楽しそうに私に施しをしていく彼女達は、とても楽しそうだ。

そんなこんなで、私は全身慣れないものを身に纏い、少し高めのパンプスを履く。

そうしていつの間にか夕食の時間となった為、ミレンネと共に食堂へと向かった。


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