脚フェチ王子の溺愛 R18

彩葉ヨウ(いろはヨウ)

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案内③

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「ソリシエールには行ったことがないので、転移できるのは国境までです。」


クローヴィスが今からの流れを説明する。
その説明からすると、転移後すぐに狙われることはないなと思った。


「それで構わない。少しでも距離が縮まることに変わりないんだ。…早く行くぞ。」


陣はいらない。
そのおかげですぐに出発の準備が整った。



「ケインシュア。深追いは禁物だ。
人質の安全が確保されればすぐに戻ってくること。戻り次第、体勢を立て直して襲撃に備えるんだ。」

「…。」


「シェリーを危険な場に置いたまま戦うな。…と言えば分かるかい?」


「…ッチッ。
分かったから、何回も言うな。
俺だってそのくらいの考えは回る。」


「…それならいい。」


暴走した隊長を止めることができるのはグリニエル様ただ1人。
しかし魔族との対峙中、移転価格さなければならない状況で隊長が残って戦おうとすれば、みな戻るに戻れない。…リスクでしかないのだ。

隊長には冷静になってもらわなければならない。


そんな話を横で聞いていた私は、後ろにいるルキアに声をかけられて振り向いた。




「エミリー。ずっと魔族だということを黙っていて申し訳ありませんでした。」


「いいのよ。あなたはきっと、居たかったのでしょう?
むしろ手を借りてしまってごめんなさい。」


「それはそうですが、エミリーに頼ってもらえないのはそれはそれで寂しいのです。
お役に立てるのなら、命だって差し上げます。どうか私を使い捨てる気持ちで使って下さい。」






「……あのさ、同じ魔族として、戦いたくないとは思わないの?」


「…人間は争いの対象にしてはならない。
そう教えられました。
それなのにそれに逆らった者がいる。
それは教えに従わなかったことと同義…。
共感できるものではありません。
たとえ同族だろうと戦うことに、何も感じはしません。」



真っ直ぐに私を捕らえるその瞳からは迷いは感じない。本当にそう思っているのだろう。

「そう、なの…。
それじゃ、案内の他にもう一つお願いしてもいいかしら?」

「はい。なんなりと。」


「…自分の身を守ることもちゃんと考えて。
いいわね?」



「っ。」




「戻ってきたら、のんびりとまた一緒に暮らしましょう?」




ルキアのその目は先ほどよりも驚きに染まり、その目はゆらゆらと揺れている。


やっぱり、多少は思うところがあり、1人で食い止めようなどと考えていたのかもしれない。


「ルキアはもう私の従者なんでしょう?
主を1人で帰すつもりなのかしら。」

「…っい、いえ。
そういうわけでは…!失礼致しました。
仰せのままに……。」


彼は胸に手を当て、私に頭を下げる。
そんな彼の頭を、私はいつものように撫でてあげた。


「…っ」

「……あなたが悪いわけじゃないわ。
さあ、行きましょう。」


「っはい…。」






「ふんっ…私のエミリーと共に過ごそうなどと図々しいぞ。」


じっとりとした目で割り込んできたのは、思った通りに彼しかいない。

「…。グリニエル様…。」



「エミリーと一緒に過ごしておいて、今後もそうするだと?…私でさえそんなこと…っ」


「はぁ…ヘタレ王子…。
私はいつもそばで見ていたが、お前は本当に救いようの無いで回りくどい。
いつまでもそんなのだからのだ。
それに引き換え、私は一心にエミリーを想っている。だから側にいることを許されたのだ。」


「お前っ…猫の分際でっ…」




「ったく。何をしている。転移するぞ。
早くクローヴィスの所に来い。」


またもやルキアとグリニエル様が衝突しそうになったが、隊長のおかげでそれは防がれ、私たちは移転魔法に覆われた。





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