脚フェチ王子の溺愛 R18

彩葉ヨウ(いろはヨウ)

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ソリシエール③

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「え……?」

「ちょっと待て!俺はレィナだと聞いた!
だからお前は連れてこなかったんだ!」


カッとなるヴォーグは、やはりあの時名を呼ばれた私がレィナという名前だと思っていたらしい。


「エミレィナがエミリー…。
…人間の名前、難しい…。」






「黙れヴォーグ…。
………エミリー。君が父の唯一の娘なら、私が君に惹かれる理由がわかる様な気がする…。
父と同じ太陽のような香りに、清らかな風が相まった感覚…。
そして、あの時の私をエミリーは救ってくれた…。
特別な何かを感じたんだ。」



「…私にとってもやはり父は大切な人なのです…。
あなたのそばを離れ、私たちと生活していたことに引っ掛かるところがあるかもしれない…だけど、どうか、一度でも会ってもらえないでしょうか…。」


「…。」


…正直、父という存在に憧れを持ったことはある。しかし居ないものだと思っていたものが急に目の前に出てくると、触れてみたいと思うよりも、ただ驚くことしかない。


なぜ生きているのに側にいてくれなかったのだろうか。そう思ったが、私を助けてくれる人は他にもいたが、彼らを助けられるのは彼だけだったのだろうとすぐさま理解した。




憤りは感じない。寂しくもない。そして、自身の父親が呪いによって苦しんでいると聞いても、悲しくもない。

だが、ルキアが会って欲しいと口にするから、そうしたいと思った。


そこまで思うと、自分は意外と薄情なのかもしれない。そんな気持ちになった。




「ルキア…。勿論よ。
会うわ…。そうすれば連れて行かれた方々を返してもらえるのでしょう?
すぐにでも、勇者であったアルフレッドのところへ、案内してもらえるかしら。」


「っ。はい。」



思っていた反応とは違う。
そういうように表情の強張ったネズレットは、急いで謁見の間から出ようとした。




『なんだか』

『賑やかだねぇ。』



「っ!」




謁見の間から出ようとしたネズレットが、その声のする方向…上を向いた途端、彼女は防壁魔法のような球体に囲われた。


『…捕まえた。
……その中じゃ魔法は使えない。
君は面倒だからじっとしててくれるかな。』


2人の子どもは、どちらも、シャンパンゴールドの髪に、黒い棘の様な模様がされている。ピンク色のその瞳はなんだかくすんだ様で、光を差し込んでいないのではないかと思えるのだ。

その姿を見て、私は急に震えが止まらなくなり、容姿魔法を解いてしまった。


「くそっ!
お前らまた何しに来やがった!
ネズレットを離せ!」


「っ…。」


上を見上げ、叫んだヴォーグは、ギュッと足に力を込めて跳ぼうとする。

しかし、地にしゃがみ込むメイシャンと共に、各々球体に覆われてしまった。


『落ち着いてくれよ。
私たちは見物しに来ただけなんだ。 
邪魔をするのなら容赦はしないよ。』


「……元はと言えばそちらから始めたこと…
落ち着くのは2人じゃないか?」


『ん?…なんだ?
前来た時とは違う顔がある。
しかも君たち…人間だね。』

『魔族ともあろうものが人間に縋り付いたのかい?滑稽だな。』


「っ。」


バカにされた瞬間、頭に血が上ったルキアはそのまま正面から突っ込み、片割れの頬を殴った。


『君も魔族か。』

「だったら何だ!」



『そうか。なら君がルキア…かな。』

「っ!」



その片割れは宙に浮いたまま、跳んだルキアの顔に手を伸ばした。


ガッ


その音と共にルキアは隊長に助けられ、地に降りた。

「ありがとうございます…。」


「いや。いい…。
あれは1人じゃ無理だ。突っ込むな。」


見ると、グリニエル様の魔法がその2人に命中したらしい。
子どもからは煙が出ているが、苦しんだ声が聞こえない限り、効いてはいないことがわかった。



『へぇ…面白いね。
誰だい?邪魔するのは。』


『うん。でもそれよりさ、あの人間の中にヴィサレンスの者がいるよ。』


『そうだね。僕も気になってた。』 


「っ!」


クスクスと笑いながらこちらを見る。
その2人から庇う様に私の前に立つのはクローヴィスだった。



「足止めに3人を残して一度国に戻ろう。
最悪の双子では部が悪い…。
ヴィサレンスへの応援要請をしなければ…っ」


クローヴィスが私と共に一度国に戻る案を口にすると、クローヴィスが球体に囲われた。


『移転魔法を使うのかい?
そうはさせないよ。』


『僕らはその子に興味がある。
連れて行かれたら困るなぁ。』



笑っているのに怒っている様に不気味で、私は冷や汗が流れた。





「っ。…そ、それでは、私とお話しませんか?」




とにかく時間稼ぎだ。
その間に隊長達が何か案を練ってくれる。
そう思って提案をした。



『ふふっ。そうだね。お嬢さん。
…僕はレシファー。彼女はミカレル。
双子の兄妹さ。…君の名前を教えておくれ?』




2人の名は以前レヴィに聞いたものと全く同じ。
2人がヴィサレンスに伝わる最悪の双子と呼ばれている張本人だということがはっきりと分かった。



「…私は、エミレィナよ。」




『わぁ、そうかい。
が付くということは王族なんだね。』


『君はヴィサレンスから来たのかい?』


「…いいえ。私はずっとジョルジュワーンで暮らしているの。」







『わあ、珍しい…。』

『親とは一緒に暮らしているのかい?』


「………一緒に過ごしたことなんてないわ。
それより、私からも聞いても良いかしら?」


私の言葉に一瞬目を丸くした2人だったが、先程よりも何故かニコニコとしており、このまま会話を続けても良いのだと思った。




「……2人は何しに来たの?」


『フフッ。うーんとね…僕らがした悪戯がそろそろなんだよ。』

『それを見に来たってわけ。』



「いたずら…?」



『あれ?
もしかして僕らのことあまり知らない?』


「ええ…。あまり。」




『珍しいね。ヴィサレンスの血なのに。』

『でも親と過ごしてないんだから当たり前かもよ。』



最初は自分たちのことを知らないことに少し不機嫌そうではあったが、コソコソと話し合いをした後は、勝手に納得したように見えた。


『んー。それじゃ、教えてあげるよ。
君は何にも知らないみたいだし。
僕たちのことを知ったら、きっと僕たちと一緒に来てくれる気がするんだ。』

『そうだね。君は僕たちと
…だから仲良くなりたいなぁ。』


「…。」



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