王太子は想わせ令嬢の虜〔R18〕

彩葉ヨウ(いろはヨウ)

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リリベルの勉強会

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ウィルの2日目の休みが始まる。
今日はオーウェン公爵家の邸宅で
勉強会をしようと言われていた。




ウィルの教え方は上手いので、
何の勉強会なのかは知らなかったが、
不安はなかった。





オーウェン公爵家の客間を使う。

私は自室でも良かったが、
ウィルは場所を変更したのだ。






「リリィ。待たせてすまない。」
と入ってきたウィルに
「いいえ。時間通りよ。」と返す。





丸いテーブルには勉強用具はなく、
代わりにウィルがマーサに用意させた
カモミールティーが置かれていた。






「さあ、リリィ。勉強の時間だ。
本来ならば母上である
オーウェン公爵夫人から習うものなのだが、
今は留守にしているから、
私から教えることとなった。」



そう言ってカモミールティーを勧めてくれた。

母は兄の仕事について行っているため、不在にしている。

兄は国中、そして外国を回り、
防衛の仕事をしている。

母は他国の言語が分かるため、
兄の手伝いと称し、兄が帰りたいと暴走しないようにとついて行ったのだ。













「まず、リリィ。
男女の付き合い方をどこまで知っているか
教えてほしい。」


「ええと。
男女は個室に2人でいるのはよくない。
結婚するまでは乙女でなければならない。
婚約者以外に誰かを好いてはいけない。
それくらいだったと思ったのだけれど。」





「ああ、正解だ。
男女2人だけだと何が起こるか
分からないから気をつけなければならない。
そして、乙女でなければならないのは
貴族だけで、婚約者との間であれば
性行は大丈夫だ。
誰かを好いてはいけないのは、
婚約者がいながら他の人と関係をもつと
生まれてきた子が誰の血を分けているかが
分からなくなってしまうからいけない。
ちゃんと覚えていて偉いな。リリィ。」


「えへへ」


私はウィルに褒められて嬉しくなった。


「次だ。スキンシップについて。
男女のスキンシップは
厳しいのは分かると思う。
それは体に触れることも良しとされない。
つまり私がリリィの手を握り、
歩くことは出来なくなる。」

「えっ。そうなの?」


「ああ。」





今まで何気なくやっていたことが
実は周りから非難される行為だとは
知らなかった。


私の反応を見てすぐに
婚約したらの話だから気にすることはない。
と宥めてくれる。



「だから、今後リリィと
手を繋ぐことがなくなっても、
それはリリィを拒絶しているわけではなく、
そうしなければならない大人のマナーだから気にしないでほしいということだ。」

「わかったわ。私ももうすぐ17だもの。大人のマナーをちゃんと知っておきたいわ。」
真剣な顔で言うと、ウィルは笑ってくれた。

「そして行為の話だ。そもそも行為とは子どもを作るためのもの。だからパートナー以外とは許されていない。だが、王族は違う。正室の他に側室を求める王族も実際にいたんだ。」

その言葉を聞いて心が騒つく。殿下が私以外の女性に好意を寄せ、そして寄り添い、和かに笑い合う所を頭にイメージする。すごく嫌だ。

「リリィ。まず落ち着け。」
私が凄い顔をしていたようで、リラックス効果のあるカモミールティーをまた勧められた。

「殿下はきっと側室は取らない。」
「どうして言い切れるの?」
「私の勘だ。」
なんとも頼りない答えだった。しかし、ウィルの考えはいつも正しい。だから信じるしかなかった。

「心配なら殿下に聞くといい。」
「聞けるわけないでしょう。私の他に好きな人作りますかなんて。」

「殿下なら気にしないさ。そうやってリリィが1人でモヤモヤとしていることの方が気にすると思うぞ。」

ウィルは夫婦はちゃんとお互いの意思を通じ合わせるものだと付け足した。

正室の他に側室。それを聞いて少し疑問に感じたことを聞く。
「もし仮に私が死んだとして…」
「縁起でもないこというな。」
「もしもだってば。」

「もし仮に私が死んで、その後殿下はどうするのかしら。」
そうなったら、殿下は側室を娶ざるおえない。殿下は王太子。次期国王陛下だ。男児の子を後世に残さなければならない。」

うんうんと頷きながら聞く。
リリィが男児を産み、何かで死んだならば、殿下は世継ぎが既にいる為、側室は娶らなくてもいいことになる。」

違いが分かるか?と私に投げつける。
「つまり私が男の子を産むか産まないかってことが関係してくるのね。」

世継ぎを残さなければならない王族。私が死んだ時は仕方がないかと思った。

「もしかして今の国王陛下も?」

「そうだ。皇后陛下は殿下を産み、亡くなった。国王陛下はそのまま側室を娶らず、子は殿下1人と言うわけだ。」

「そうなのね。」
私は、様々な教養を受けてきたが、今日の教養は何よりも興味深いものだった。

「ちなみに王族からは必ず1人しか男の子は生まれない。」

「どうして?」

「古い言伝えだ。昔王族で生まれた子は権力争いをした。それを見た神様が、子の内で争いが起きないようにと王族の体を作った。そういう謂れがある。」

「次は王太子妃の執務についてだ。王太子妃は各国の来賓の接待、そして貴族、民の視察が主な執務になる。婚儀が済んだ後、リリィがその仕事を受け持つことになるのだが、グリニエルには皇后が不在。そのため皇后の仕事も任されることになるかもしれない。そして、婚約段階で、既に執務を任せる話も多少出ているようだ。」

「えっ。どうしよう。私に務まるといいのだけれど…」

「いざとなれば殿下を頼れ。もしくは私でもいいのだから。」
ウィルはそんなに気負わなくていいと励ましてくれた。

「さあ。時間は限られているんだ。次は殿下の扱い方だ。」

「で、殿下の扱い方?」

「殿下にどう接すると喜ぶか、悲しむか、私が分かる範囲だが教える。あとは…慣れろ。」

殿下の内容だけ投げやりなウィルだが、教えてもらえるだけでも助かるのでそのまま聞いていた。

その後私は分かる範囲のはずなのに、なぜか事細かい指導を受け、1日を過ごしたのだった。
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