地味教師とヤンキーくんのチグハグな2人の逢瀬

もちもちもちお

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【side浅見】ある意味因縁の相手ってやつ

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優志とのちゅーもしたし、若干火照ってしまった頬を収めてから執事喫茶を何とか上手く回していった。俺は物覚えが悪い方なのだが、みんなが頑張って考えてくれたオペレーションを頭に叩き込んで教室内をバタバタと駆け回っていた。予想よりも人の出入りが激しくて目が回ってしまいそうである。間違いなく優志効果なのではと思っている…。事実撮影禁止とあらゆる所に貼り紙をしているにも関わらず、パシャパシャと彼をこっそりと写真を撮っている生徒がチラホラといるし。みんなで見つけ次第その場で削除してもらうように伝えているが…恐らくそこまで効力は無いのだろうなと思う。
俺以外の奴のスマホの中に彼が写った写真があるというだけで腹が立つ。

「はぁ…。」

大きな溜息を吐いてしまった。振り分けられた業務内容が大変だし、写真撮るやつもいるしでまだまだ始まったばかりだというのに結構ヘロヘロになってきた。優志も他の奴らもよく笑顔で対応し続けてるものだなぁと…感心してしまう。


ザワッッ


突然自分以外生徒や姫ちゃんを中心に室内の空気が変わりガヤガヤと騒がしくなったのだった。
…なんだ?
変な奴でも来てしまったのか…?
そう思いそれまでしていた飲み物の補充やらその他の備品の補充をする手を止め、ホールの方へと顔を出したのだった。

「…………え。」
「あっ!!!みーっけた!浅見くーん♡」
「………………なんで。」


ザワつく方を見てみたら…。
見覚えのある赤が……そこにいたのだった。
この学校から居なくなった存在が何故。
ゾワゾワと込み上げてくる感情。なんで、どうしてという思考が脳内にグルグルと巡るのがわかった。近くにいた野田と田所が俺の顔を伺う。二人とも顔色が悪い。そりゃそうだ、昔彼らもお世話になってしまったのだから。

「け、絢斗…俺が対応…。」
「いや、良い。俺がする。二人は……ゆーしが近付かないように見てろ。」
「………………わかった。」

昔ならば問答無用に手脚を差し出していたが、今は違う。さっさと満足してもらいこの校舎から出ていく様にするのが第一優先だ。彼奴が俺を求めているならば、その要求を呑むしかあるまい。
そう判断し…彼奴……基桐谷の元へ足を進めたのだった。

俺が傍に来るなり全身を上から下からと舐めるように視線を向けてきた。
あの時も今もねちっこい目線を送ってくるやつだ。幾度となくとある彼からの申し入れをされては断っていたのだが…。確か彼は最後までめげなかったな。無駄に顔が良いのが腹立つ。
誰にもバレないように再度小さく息を吐いてしまった。

「……へぇ?浅見くんもこんな事するもんなんだね。随分丸くなったんじゃん。」
「……………何しに来たんだよ。」
「元いた学校が気になっただけだよ。いーでしょ?」
「………。」
「それにしても、なんか……本当に浅見くん変わったんだなぁ。身体も全体的に丸くなった?太ったとかそういうんじゃなくて…うん。まろい?ってやつ?」
「……っ。」

桐谷の腕が俺の腰やらお尻をさわさわと緩く撫で回してきた。優志から触れる時とは違い、甘い感覚はまるでなくゾワッとする。此奴に触れられる度に、愛しい彼氏先生を強く求めてしまう。桐谷に触れられた所を上書きする様に抱き締めて欲しいと思ってしまう。此奴からすれば…逆効果なのだろうな。

「執事喫茶なんでしょ?御奉仕して欲しいな。」
「ちょっ…。」
「今だけでいいから言う事聞いてよ。じゃないとこの教室滅茶苦茶にしちゃうよ?」
「………くそ…。」

どういう訳なのか桐谷は自身の膝の上に俺を乗せ、グッと身体を近付けてきたのだ。慣れなように首元に顔を埋められて匂いを嗅がれる。地味に強い鼻息が肌に掠めた。…はやく、早く終われ。その考えばかりだ。

「あー…うん。雌臭いかも。いーやつ出来たんだ?」
「……………だったら、何なんだよ。」

ドキッとした。
め、雌臭い…。そうなのか?そういう香りがするのか?初めて知った。
そりゃ、自分で言うのもなんだが俺は優志の雌……みたいな所があるし。そっちの方の役割も受け入れる側だ。メスイキばかりしちゃうから多少身体が作り替えられてしまっている節もあるけども。まさか、体臭まで変わってるだなんて。
うぅ…本当に優志にあちこち変えられちゃってるんだ。彼専用の身体になっちゃってるんだ。優志に触れられていないのに、お腹の奥がむずむずしてくる。

「相手……誰?」
「……………………ふふっ。」
「?」
「あんなに良い人、あの人以外いねぇよ。」
「………………良い顔、するじゃん。ムカつく。」
「そりゃぁな、それだけ俺の事大切にしてくれるんだ。身も心も。」

表情では澄ました顔をしているが、短気な桐谷の事だ。内心では煮えたぐっているのだろう。頑張って耐えている姿に思わず笑ってしまった。
だが……残念だな。
あの時は無い可能性の方が圧倒的にあったが…もしかしたらチャンスがあったかもしれない。けれど、今の俺には優志がいるんだ。どんな事をされたとしてもお前に靡くことは死んでもない。
彼以外あそこまで俺のことを愛してくれている人はこの世に居ないんだよ。

「いい加減、諦めろ。」
「………腹立つんだけど。」

…もしかしなくても、逆上とやらをして教室内を壊されるか!?
背中に嫌な汗が伝うのを感じた。
最悪の場合無理矢理にでも彼を引きずり出して外でやり合うしかないか…そんな事を思案する。
だが……。



「浅見くん。もう、いーかな。」
「…………ぁ。ふふっ、顔真っ赤ぁ。」
「そりゃぁ……うん。ね。」

背後から大好きな低い声が俺の鼓膜に届いたのだった。くるっと振り返ってみれば首まで肌を赤く染めた…優志がそこに立っていたのである。野田と田所を振り切り、俺の先程までのやり取りをきっと聞いていたのだろう。見た目は格好良いのに、こういう時に照れてしまうだなんて可愛いなぁ。

桐谷の脚の上から降りて、彼の胸元へと抱き着いてしまった。ふわりと香る優志の香りがそれまでゾワゾワとしていた気持ちを解いていく。やっぱり彼が一番だ。この人じゃないと俺はダメなのだと改めて分からされた気分である。

「…誰、あんた。」
「ゆーしっていうんだぞ。俺の彼氏。」
「ちょっ!?言っちゃ…。」
「こんなイケメンな生徒が居るとは知らなかったよ。」
「……へ、せ、生徒…?」

去年の終わり頃に自主退学をした桐谷。
当然今年から入った優志の事は知らないから、生徒と勘違いをしてしまったらしい。確かに、みんなと一緒の執事服に身を包み綺麗にしているのだからそう思ってしまっても致し方ないだろう。
だが、これは逆に都合が良い。
優志もそう判断したらしい…。

「こ、今年から転校してきたんだ…。」
「へー?短期間で浅見くんとお付き合いできるとか…余計にムカつくんだけど。」
「……運が、良かったんだよ。そ、その…君は絢斗くんの事…。」

あ。

「好きだよ。今も。結構アタックしてたんだけどね。一向に見向きもされなかったんだよ。」
「……嫌に決まってんだろ。喧嘩ばっかするやつなんて。チャラチャラしてるし、そもそも気が合わないのは分かってたから。」
「おかしくない?自分だって喧嘩してたじゃん。」
「今はもうしてないし。好きでやってない。一緒にすんな。」

お腹の所に回されていた優志の腕がぎゅっと力が籠ったのがわかった。
……彼に敢えて隠していたものだ。
面白い話でもないし、言いふらすものでも無いと判断して意図的に話さないでいた内容なのだ。桐谷に付き合って欲しいと幾度となく告白をされていた事を話したとして、優志が気分を悪くさせたら嫌だし。結局今こうして彼と共にいられるのだから、話さなくて良いと思っていたのだ。
だが、今回それが裏目に出てしまったらしい。明らかに優志から不機嫌なオーラが吹き出しているのがわかった。

「はぁー…今はらぶらぶかもだけど。いつかは絶対にそんなやつ飽きるに決まってる。待っててあげるから、何時でも乗り換えていいからね。絢斗くん。」
「………か、勝手に言ってろ。」
「ふふっ、やっぱり……かわいーね。」
「………………それは、同意する。」
「お前には聞いてねーから。」
「あははっ…ごめんね。」

そう言って何も注文せずに教室から出ていってしまった桐谷。
…嵐は、去ったようである。



「…………絢斗くん、どーいうこと?」
「あの……えーーっと…、わっ!!」

普段よりも低い声が降り注いできた。優志ほそのまま俺の腕を掴み、教室内にある料理を準備するブースに俺を引っ張っていった。
力加減無しに壁に押し付けられ、顔の両サイドに彼の腕が突かれた。所謂壁ドンと言うやつだ。
だが、ドキドキする暇もなく優志から鋭い突き刺さるような眼差しが向けられてしまった。眼鏡が無い分普段よりも強くて…困ってしまう。

いやでも…今は、今はそれどころじゃない!!

「聞いてないんだけど。しかも何、触らせてるし、脚の上に乗ってるし。どー言う事なのかな?君は僕のでしょ?ねぇ?」

彼から頬に手を添えられてしまい、視線を無理に合わせられそうになる。
顔中に熱が集まる。何時もならばこの段階でふわふわとしてしまうのだが、どうしてもとある一点が気になってしまいそれどころではない。この状態を辞めるように胸元に腕を伸ばし、離れるようにするのだが…。優志は気付いていないのか完全に桐谷の事に意識を集中させているみたいだ。
ど、どうしよう…!!

「あぅ…ま、待って…高城……あの……ここ、教室…。」
「……………………あ゛っ!!!」

ギギギ…と錻力の玩具の如く俺がチラチラと向けている視線の先に首を向けたのだった。あぁ……やってしまった。
視線の先…準備ブース出入口にてギュウギュウになりながら、顔を赤くしたB組の生徒のみんなが自分たちを見ていたのである。
何度も思うが…どうしようこの状態!!!
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