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第六章 禁忌の技術
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「緊急事態と判断いたしました。よって、王族の方々の前で刃を抜くことをご容赦いただきます」
アンゼリスカは口上を述べる。
シャールはその言葉に、言いようもない不安を感じて「何があった?」と声を上げた。
「この城内部に、我が国の攫われた子供たちが」
シャールは目を見張る。レイサルが不服そうに鼻の上にしわを寄せる。
「――そんな子供たちのことなど知らないな」
当然の反応。アンゼリスカは静かに続ける。
「どう言い逃れようと、子供たちにかけられていた枷が私にかけられていたものと同じである以上、レイネンドランドのものであることは確実。たとえ王族の皆様方のあずかり知らぬことであったとしても、責任は問われましょう」
「やれやれ」
レイサルは肩をすくめる。
シャールはそんなレイサルを一瞥してから、再び側近に目をやった。
「フレッドと兄上の親衛隊は?」
「子供たちのところに。練成石によって意識を封じられているようでしたので、目を覚まさせるのに時間がかかっております」
「練成石――」
シャールの目つきが険しくなる。
「紡石の〝練成〟と――言ったな?」
「はい」
「嘘偽りはないな?」
「はい、誓います」
側近のきっぱりとした言葉に、シャールはレイサルに向き直った。
「紡石の練成。人工的に紡石を造ること。それは封じられていた禁忌の技術。――それを、復活させるというのか」
レイサルはくっと笑う。
「人工的に紡石を造る、か。ティエラ人が生成するものとて、人工的には違いあるまい」
「詭弁を言っている場合ではない。本気なのか……っ」
シャールは一歩レイサルに迫った。
「紡石を量産するということ! それがどれほど危険なことか、分からぬほど愚かでもあるまい……!」
「ではあなた方はどうなんだ、ティエラ人」
レイサルは即座に言い返してくる。
「あなた方は好きなときに好きなだけ生成しているじゃないか。ああいや、精神力の続く限りだったかな? それでも、思いのままなことに違いはない」
「まったく違う!」
「どこがだ?」
率直に問われて、シャールは一瞬返す言葉に迷った。
「練成石。……その技術を復活させるのには苦労したよ。まず核となるものがいる。願いをこめる核が」
レイサルはゆっくりとその場を歩く。
エディレイドの傍らを通り過ぎたとき、エディレイドは呆然とつぶやいた。
「……留学時代に、練成石のことをやけに聞きたがったのは――」
「そう、このためさ。……愚かな親友」
レイサルはティエラの兄妹の周りを一周するようにゆっくり歩いた後、玉座にいる自分の妹の元へと歩いていった。
「レイチェル」
「兄様……」
レイチェル王女は苦しそうにお腹を押さえている。
「レイサル。治せるか」
国王が問う。
「お安い御用です」
レイサルは懐から石を取り出した。
灰色の石だった。地面に転がっていてもおかしくないような、鈍い色。
しかし、
「癒せ」
その一言で、灰色の石は白く発光し、一直線にレイチェル王女に向かう。
王女の体が淡く発光した。
レイチェル王女は、ほうと息をついた。
「痛くなくなったの? レイチェル」
王妃が孫娘の顔をのぞきこむ。レイチェルは頬を桃色に染めて、こくりとうなずいた。
「素晴らしい! 素晴らしい力だ、レイサル!」
国王が賛美する。レイサルがうやうやしく頭を下げ、それから呆然と見つめていたシャールとエディレイドを見た。
「練成石。素晴らしい力だ。本当に……素晴らしい」
「馬鹿な、簡単に造り出せるものではない! 練成は核となるものに幾重もの願いを重ねて重ねて――」
「その必要が、ないのですシャール様」
シャールの傍らまで歩いてきた側近の言葉が、シャールの言葉を止める。
「なに……?」
「――私の父もずっと探していた……」
アンゼリスカはどこか遠くを見るような目をしていた。
「天然石の存在を」
「―――!」
天然の、紡石。
それは、人の願いを受けとめ増幅する力のある石のことだという。
もしも存在するならば。それを核としたならば。
「天然石が出たというのか……!?」
いや、尋ねるまでもない。
レイサルはたった今、妹の体を紡石で癒してみせたではないか。明らかにティエラ人の生成するものとは違う――紡石で!
「あなたはおっしゃいましたね、レイサル王子。我が国は周囲を見ないと」
アンゼリスカは王子に向かって、すっと剣の切っ先を向ける。
「……この国が他国に侵入されない理由、ようやく分かりました。他国はもうこのことを知っているのでしょう。このレイネンドランドは、ティエラと同じような力を持つと、おそらくあなた方は吹聴した――」
自分の側近の言葉を、シャールは信じられない思いで聞いていた。
他国に、天然石の存在がすでに知られている?
そんな重大なことに、まったく気づいていなかったなんて!
――否。
重大なことすぎて。誰も口にしなかったのだ――
レイサルはゆっくりと謁見の間の玉座の後ろに手を伸ばす。
そこからつかみだされたのは、新たな灰色の石。
両手でようやく持てるほどの、大きな石。
その大きさに、シャールは瞠目する。
「天然石だとこれくらいのサイズが当たり前のように出てくる。……本当は砕いて使うものなのかもしれないが、その必要もない」
アンゼリスカがとっさに駆け出した。
しかし、それよりもレイサルの方が早かった。
「吹き飛ばせ!」
白い光が謁見の間を埋め尽くし――
どん、どん、と鈍く重い音が何度も耳にぶつかってくる。
そして己の背中に、全身にまで回る痛み。
どこかに叩きつけられた――
白い閃光が消えたとき、シャール、アンゼリスカ、エディレイドの三人は謁見の間の壁に叩きつけられ、床に倒れこんでいた。
レイサルはひゅうと口笛を吹く。
「これはゲームだ、ティエラの客人。そして」
一回使ったぐらいでは消滅しなかった天然石を手にもてあそびながら、
「ゲームというものは、最後にその場に立っていた者の勝利だ。そうじゃないか?」
今、ティエラの者はみな床に伏している。
立っているのはレイネンドランドの者だけ。
レイサルは楽しむように、玉座の後ろに隠されている天然石を取り上げ、今度は違う命令を下した。
「襲え」
突風が吹き荒れ。
三人のティエラ人の体が巻き込まれ、あちこちに叩きつけられ、投げ飛ばされる。
アンゼリスカやエディレイドが紡石(ピエトラ)の生成をしている暇もなかった。目に見えない拳が彼らの鳩尾を殴りつけ、呼吸までも困難になる。
レイサルが高笑いをする。
「襲え!――襲え!」
死なない程度に、とさえあらかじめ石に願いをこめておけば、石は忠実にそれを再現する。
どん、どん、どん、と腹のあたりで爆発が起こって、内臓が破裂するのではないかというほどの衝撃を受けた。
床に突っ伏していたシャールの体が浮き上がる。そして、今度は背中で破裂音が響き、背に衝撃を受けてみたび床に叩きつけられた。
見えない手が少女の体を持ち上げ、投げ飛ばす。見えない足が蹴り飛ばし、シャールの体がごろごろと転がる。
「おっと……私のかわいい花嫁はそれぐらいにしておくか」
レイサルはすでにそんな細かい指令の仕方まで身につけているようだった。
どうやってそんな方法を覚えたのか?
どこで実験していたのか?
そもそもどうやって――
願いをこめる方法を知ったのか?
床から必死に顔を上げ、シャールはエディレイドの姿を捜す。視界の端に、兄はいた。意識があるのかどうかは不明だ。ただ、その体はいまだに何度も浮き上がり、叩きつけられ、転がされている。
兄が、紡石の使い方を教えた?
――いや、人一倍ティエラ人の誇り高きあの兄だ。そんな簡単に方法を漏らすとは思えない。
そうなれば――方法はひとつ。
攫われた子供たちのことを思い、シャールは吼えた。
「よくも……!」
純粋な子供たちに枷をつけ、その心を利用した。許さない。許さない――!
レイサルは夕陽色の瞳を燃えたぎらせる姫を見て、ますます楽しそうに笑った。
「美しい姫! 私の姫! そうやって這いつくばっていても貴女は不屈の精神で私に向かってくるのだな、面白い!」
歩み寄ってくる。レイサルの靴が、目の前に。
彼は愛を囁くように、甘い声で――
「……私の花嫁。私に忠誠を誓え。この私の靴に口付けを」
「誰が……っ」
きしむような声を出した瞬間、どんっ、と背中に重い石が落ちたような衝撃を受けた。
「あう……っ」
シャールはうめいた。レイサルが口元をゆがめる。
「姫……!」
アンゼリスカの声がする。
兄は無事か? 元々肉体派ではない兄だ、そうそう体がもつまいに――!
「口付けを、姫」
レイサルは爪先を彼女の顔の前に突きつけてくる。
シャールは無理やり顔を上げて、必死に視線をレイサルの瞳に合わせようとした。
抵抗すれば襲ってくるのは痛み。がん、と後頭部を痛打され、視界が揺らいだ。
天然石の恐ろしさをシャールは知った。
ここまで細かく石を操るなんて、ティエラ人でもたやすいことではないのに――!
ぼんやりとかすみがかった視界に、二重にぶれたレイサルの靴が見えた。
「どこまでも頑固な姫だ。ますます欲しい」
レイサルがくっくっと笑った、そのとき。
「兄様……!」
レイチェル王女が、悲鳴じみた声を上げた。
続いて王妃が、「レイサル!」と声を上げ、最後に国王が「よけるのだレイサル!」と切羽詰った声を上げる。
「………?」
レイサルは振り向いた。
そのとき、シャールは見た。
レイサルの背後に。灰色の、人型をした――不気味な存在を。
アンゼリスカは口上を述べる。
シャールはその言葉に、言いようもない不安を感じて「何があった?」と声を上げた。
「この城内部に、我が国の攫われた子供たちが」
シャールは目を見張る。レイサルが不服そうに鼻の上にしわを寄せる。
「――そんな子供たちのことなど知らないな」
当然の反応。アンゼリスカは静かに続ける。
「どう言い逃れようと、子供たちにかけられていた枷が私にかけられていたものと同じである以上、レイネンドランドのものであることは確実。たとえ王族の皆様方のあずかり知らぬことであったとしても、責任は問われましょう」
「やれやれ」
レイサルは肩をすくめる。
シャールはそんなレイサルを一瞥してから、再び側近に目をやった。
「フレッドと兄上の親衛隊は?」
「子供たちのところに。練成石によって意識を封じられているようでしたので、目を覚まさせるのに時間がかかっております」
「練成石――」
シャールの目つきが険しくなる。
「紡石の〝練成〟と――言ったな?」
「はい」
「嘘偽りはないな?」
「はい、誓います」
側近のきっぱりとした言葉に、シャールはレイサルに向き直った。
「紡石の練成。人工的に紡石を造ること。それは封じられていた禁忌の技術。――それを、復活させるというのか」
レイサルはくっと笑う。
「人工的に紡石を造る、か。ティエラ人が生成するものとて、人工的には違いあるまい」
「詭弁を言っている場合ではない。本気なのか……っ」
シャールは一歩レイサルに迫った。
「紡石を量産するということ! それがどれほど危険なことか、分からぬほど愚かでもあるまい……!」
「ではあなた方はどうなんだ、ティエラ人」
レイサルは即座に言い返してくる。
「あなた方は好きなときに好きなだけ生成しているじゃないか。ああいや、精神力の続く限りだったかな? それでも、思いのままなことに違いはない」
「まったく違う!」
「どこがだ?」
率直に問われて、シャールは一瞬返す言葉に迷った。
「練成石。……その技術を復活させるのには苦労したよ。まず核となるものがいる。願いをこめる核が」
レイサルはゆっくりとその場を歩く。
エディレイドの傍らを通り過ぎたとき、エディレイドは呆然とつぶやいた。
「……留学時代に、練成石のことをやけに聞きたがったのは――」
「そう、このためさ。……愚かな親友」
レイサルはティエラの兄妹の周りを一周するようにゆっくり歩いた後、玉座にいる自分の妹の元へと歩いていった。
「レイチェル」
「兄様……」
レイチェル王女は苦しそうにお腹を押さえている。
「レイサル。治せるか」
国王が問う。
「お安い御用です」
レイサルは懐から石を取り出した。
灰色の石だった。地面に転がっていてもおかしくないような、鈍い色。
しかし、
「癒せ」
その一言で、灰色の石は白く発光し、一直線にレイチェル王女に向かう。
王女の体が淡く発光した。
レイチェル王女は、ほうと息をついた。
「痛くなくなったの? レイチェル」
王妃が孫娘の顔をのぞきこむ。レイチェルは頬を桃色に染めて、こくりとうなずいた。
「素晴らしい! 素晴らしい力だ、レイサル!」
国王が賛美する。レイサルがうやうやしく頭を下げ、それから呆然と見つめていたシャールとエディレイドを見た。
「練成石。素晴らしい力だ。本当に……素晴らしい」
「馬鹿な、簡単に造り出せるものではない! 練成は核となるものに幾重もの願いを重ねて重ねて――」
「その必要が、ないのですシャール様」
シャールの傍らまで歩いてきた側近の言葉が、シャールの言葉を止める。
「なに……?」
「――私の父もずっと探していた……」
アンゼリスカはどこか遠くを見るような目をしていた。
「天然石の存在を」
「―――!」
天然の、紡石。
それは、人の願いを受けとめ増幅する力のある石のことだという。
もしも存在するならば。それを核としたならば。
「天然石が出たというのか……!?」
いや、尋ねるまでもない。
レイサルはたった今、妹の体を紡石で癒してみせたではないか。明らかにティエラ人の生成するものとは違う――紡石で!
「あなたはおっしゃいましたね、レイサル王子。我が国は周囲を見ないと」
アンゼリスカは王子に向かって、すっと剣の切っ先を向ける。
「……この国が他国に侵入されない理由、ようやく分かりました。他国はもうこのことを知っているのでしょう。このレイネンドランドは、ティエラと同じような力を持つと、おそらくあなた方は吹聴した――」
自分の側近の言葉を、シャールは信じられない思いで聞いていた。
他国に、天然石の存在がすでに知られている?
そんな重大なことに、まったく気づいていなかったなんて!
――否。
重大なことすぎて。誰も口にしなかったのだ――
レイサルはゆっくりと謁見の間の玉座の後ろに手を伸ばす。
そこからつかみだされたのは、新たな灰色の石。
両手でようやく持てるほどの、大きな石。
その大きさに、シャールは瞠目する。
「天然石だとこれくらいのサイズが当たり前のように出てくる。……本当は砕いて使うものなのかもしれないが、その必要もない」
アンゼリスカがとっさに駆け出した。
しかし、それよりもレイサルの方が早かった。
「吹き飛ばせ!」
白い光が謁見の間を埋め尽くし――
どん、どん、と鈍く重い音が何度も耳にぶつかってくる。
そして己の背中に、全身にまで回る痛み。
どこかに叩きつけられた――
白い閃光が消えたとき、シャール、アンゼリスカ、エディレイドの三人は謁見の間の壁に叩きつけられ、床に倒れこんでいた。
レイサルはひゅうと口笛を吹く。
「これはゲームだ、ティエラの客人。そして」
一回使ったぐらいでは消滅しなかった天然石を手にもてあそびながら、
「ゲームというものは、最後にその場に立っていた者の勝利だ。そうじゃないか?」
今、ティエラの者はみな床に伏している。
立っているのはレイネンドランドの者だけ。
レイサルは楽しむように、玉座の後ろに隠されている天然石を取り上げ、今度は違う命令を下した。
「襲え」
突風が吹き荒れ。
三人のティエラ人の体が巻き込まれ、あちこちに叩きつけられ、投げ飛ばされる。
アンゼリスカやエディレイドが紡石(ピエトラ)の生成をしている暇もなかった。目に見えない拳が彼らの鳩尾を殴りつけ、呼吸までも困難になる。
レイサルが高笑いをする。
「襲え!――襲え!」
死なない程度に、とさえあらかじめ石に願いをこめておけば、石は忠実にそれを再現する。
どん、どん、どん、と腹のあたりで爆発が起こって、内臓が破裂するのではないかというほどの衝撃を受けた。
床に突っ伏していたシャールの体が浮き上がる。そして、今度は背中で破裂音が響き、背に衝撃を受けてみたび床に叩きつけられた。
見えない手が少女の体を持ち上げ、投げ飛ばす。見えない足が蹴り飛ばし、シャールの体がごろごろと転がる。
「おっと……私のかわいい花嫁はそれぐらいにしておくか」
レイサルはすでにそんな細かい指令の仕方まで身につけているようだった。
どうやってそんな方法を覚えたのか?
どこで実験していたのか?
そもそもどうやって――
願いをこめる方法を知ったのか?
床から必死に顔を上げ、シャールはエディレイドの姿を捜す。視界の端に、兄はいた。意識があるのかどうかは不明だ。ただ、その体はいまだに何度も浮き上がり、叩きつけられ、転がされている。
兄が、紡石の使い方を教えた?
――いや、人一倍ティエラ人の誇り高きあの兄だ。そんな簡単に方法を漏らすとは思えない。
そうなれば――方法はひとつ。
攫われた子供たちのことを思い、シャールは吼えた。
「よくも……!」
純粋な子供たちに枷をつけ、その心を利用した。許さない。許さない――!
レイサルは夕陽色の瞳を燃えたぎらせる姫を見て、ますます楽しそうに笑った。
「美しい姫! 私の姫! そうやって這いつくばっていても貴女は不屈の精神で私に向かってくるのだな、面白い!」
歩み寄ってくる。レイサルの靴が、目の前に。
彼は愛を囁くように、甘い声で――
「……私の花嫁。私に忠誠を誓え。この私の靴に口付けを」
「誰が……っ」
きしむような声を出した瞬間、どんっ、と背中に重い石が落ちたような衝撃を受けた。
「あう……っ」
シャールはうめいた。レイサルが口元をゆがめる。
「姫……!」
アンゼリスカの声がする。
兄は無事か? 元々肉体派ではない兄だ、そうそう体がもつまいに――!
「口付けを、姫」
レイサルは爪先を彼女の顔の前に突きつけてくる。
シャールは無理やり顔を上げて、必死に視線をレイサルの瞳に合わせようとした。
抵抗すれば襲ってくるのは痛み。がん、と後頭部を痛打され、視界が揺らいだ。
天然石の恐ろしさをシャールは知った。
ここまで細かく石を操るなんて、ティエラ人でもたやすいことではないのに――!
ぼんやりとかすみがかった視界に、二重にぶれたレイサルの靴が見えた。
「どこまでも頑固な姫だ。ますます欲しい」
レイサルがくっくっと笑った、そのとき。
「兄様……!」
レイチェル王女が、悲鳴じみた声を上げた。
続いて王妃が、「レイサル!」と声を上げ、最後に国王が「よけるのだレイサル!」と切羽詰った声を上げる。
「………?」
レイサルは振り向いた。
そのとき、シャールは見た。
レイサルの背後に。灰色の、人型をした――不気味な存在を。
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