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09 婚約者
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あれからレイフォードは2、3日に1度はスナイスター家に寄りアシュリーに術をかけていた。
その度に一緒にお茶を飲みたわいのない話をする。時には2人で庭を散歩する仲になっていた。
レイフォードが連絡もなく来た今日はアシュリーの友人が遊びに来ていた。
「ねえねえ、アシュリー。知っている?あのオルト様がルクセン伯爵家のナターシャ様と婚約をしたそうよ。貴女と婚約破棄してから1ヶ月しか経っていないのに。やっぱり噂通り2人は付き合っていたのね。もしかして貴女のその目も彼らの仕業なのかもしれないわよ。」
レイフォードはいつものように使用人にアシュリーの居場所を聞いて勝手知ったる我が家とばかりに1人で移動していた。
そんな時、アシュリーと友人がそんな話をしていたのだ。
「ミリア。噂だからってそんな事を言ってはダメよ。お相手は公爵令嬢よ。貴女がそんな事を言っていると知れたら大変だわ。」
公爵令嬢のナターシャの美貌は、穏やかで優しい感じのアシュリーに対して人の目を引くきつめの美人だ。
美人だし、高位貴族への憧れのあるオルトなら惹かれるのも間違いはない。夜会などでは2人でいるのを目にする事も多々あった。
恋仲なのでは?と噂もあったが、婚約者のオルトは仲の良い友人の1人と言っていた。
アシュリーには悲しいとか悔しいとかの感情はなかった。ただ、やっぱりと思うだけだった。
「今度の王宮の舞踏会が婚約後の初のお披露目らしいわ。一体どんな顔で来るのかしら?」
「私はもうオルト様と婚約を解消したの。何の関係もないし、未練も興味もないわ。」
それから話はパーティドレスやら流行のお菓子などに移っていった。
レイフォードはそっとその場を離れた。
そして徐に行き先を変えた。
その行き先とはスナイスター伯爵の執務室だ。
「伯爵。アシュリーの目を治す話を進めませんか?」
「お願いしたいが、私にも領主としての責任があります。貴方は無茶を言う方ではないとは信じてはいるんですが…。」
まだ踏み切れない伯爵に
「伯爵の大事にしてきた宝を私が貰い受けて大事にします。私では、役不足ですか?」
驚きすぎて声も出ない伯爵に
「まずは婚約を。結婚は半年後に。
アシュリーの産んだ男児を1人はラッセン家もう1人はスナイスター家の跡取りに。それでいかがですか?
アシュリーの産んだ子供が爵位を受け継ぐまでにスナイスター伯爵ならまだまだ現役で頑張れるので大丈夫でしょう。」
ミリアが帰り、一息ついた時に父であるスナイスター伯爵から呼ばれた。この頃のアシュリーはほぼ1日目が見えている。執務室に急ぐとレイフォードもいた。
アシュリーの目を完全に治すと言う話と共にレイフォードとの婚約が決まったと聞かされた。
アシュリーは貴族令嬢として政略結婚は仕方がないと思っていたので、反論はなかったが驚いた。
レイフォードにとってアシュリーでは政略結婚にもならないからだ。
レイフォード・ラッセンは伯爵の嫡男で、魔導師としての地位もありお金にも女性にも困っていない。
一方アシュリーは婚約破棄された、いわゆる傷物令嬢だ。しかもレイフォードが治療しないと目も悪くボンヤリとしか見えない。魅力はスナイスター伯爵としての爵位と裕福と言われる財産だけだ。
レイフォードはラッセン次期伯爵だ。しかも魔導師として高給取りなので爵位や財産にも困ってない。政略結婚にもならない。
アシュリーはそれを素直に伝えるとレイフォードは
「アシュリー。僕は政略結婚など望んでません。君が好きです。君自身が欲しいのです。」
アシュリーもレイフォードが嫌いではないので、両家で正式に婚約を結んだ。
その度に一緒にお茶を飲みたわいのない話をする。時には2人で庭を散歩する仲になっていた。
レイフォードが連絡もなく来た今日はアシュリーの友人が遊びに来ていた。
「ねえねえ、アシュリー。知っている?あのオルト様がルクセン伯爵家のナターシャ様と婚約をしたそうよ。貴女と婚約破棄してから1ヶ月しか経っていないのに。やっぱり噂通り2人は付き合っていたのね。もしかして貴女のその目も彼らの仕業なのかもしれないわよ。」
レイフォードはいつものように使用人にアシュリーの居場所を聞いて勝手知ったる我が家とばかりに1人で移動していた。
そんな時、アシュリーと友人がそんな話をしていたのだ。
「ミリア。噂だからってそんな事を言ってはダメよ。お相手は公爵令嬢よ。貴女がそんな事を言っていると知れたら大変だわ。」
公爵令嬢のナターシャの美貌は、穏やかで優しい感じのアシュリーに対して人の目を引くきつめの美人だ。
美人だし、高位貴族への憧れのあるオルトなら惹かれるのも間違いはない。夜会などでは2人でいるのを目にする事も多々あった。
恋仲なのでは?と噂もあったが、婚約者のオルトは仲の良い友人の1人と言っていた。
アシュリーには悲しいとか悔しいとかの感情はなかった。ただ、やっぱりと思うだけだった。
「今度の王宮の舞踏会が婚約後の初のお披露目らしいわ。一体どんな顔で来るのかしら?」
「私はもうオルト様と婚約を解消したの。何の関係もないし、未練も興味もないわ。」
それから話はパーティドレスやら流行のお菓子などに移っていった。
レイフォードはそっとその場を離れた。
そして徐に行き先を変えた。
その行き先とはスナイスター伯爵の執務室だ。
「伯爵。アシュリーの目を治す話を進めませんか?」
「お願いしたいが、私にも領主としての責任があります。貴方は無茶を言う方ではないとは信じてはいるんですが…。」
まだ踏み切れない伯爵に
「伯爵の大事にしてきた宝を私が貰い受けて大事にします。私では、役不足ですか?」
驚きすぎて声も出ない伯爵に
「まずは婚約を。結婚は半年後に。
アシュリーの産んだ男児を1人はラッセン家もう1人はスナイスター家の跡取りに。それでいかがですか?
アシュリーの産んだ子供が爵位を受け継ぐまでにスナイスター伯爵ならまだまだ現役で頑張れるので大丈夫でしょう。」
ミリアが帰り、一息ついた時に父であるスナイスター伯爵から呼ばれた。この頃のアシュリーはほぼ1日目が見えている。執務室に急ぐとレイフォードもいた。
アシュリーの目を完全に治すと言う話と共にレイフォードとの婚約が決まったと聞かされた。
アシュリーは貴族令嬢として政略結婚は仕方がないと思っていたので、反論はなかったが驚いた。
レイフォードにとってアシュリーでは政略結婚にもならないからだ。
レイフォード・ラッセンは伯爵の嫡男で、魔導師としての地位もありお金にも女性にも困っていない。
一方アシュリーは婚約破棄された、いわゆる傷物令嬢だ。しかもレイフォードが治療しないと目も悪くボンヤリとしか見えない。魅力はスナイスター伯爵としての爵位と裕福と言われる財産だけだ。
レイフォードはラッセン次期伯爵だ。しかも魔導師として高給取りなので爵位や財産にも困ってない。政略結婚にもならない。
アシュリーはそれを素直に伝えるとレイフォードは
「アシュリー。僕は政略結婚など望んでません。君が好きです。君自身が欲しいのです。」
アシュリーもレイフォードが嫌いではないので、両家で正式に婚約を結んだ。
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