【完結】取り違えたのは?

里音

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ゲイル視点

結婚

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カクテスト伯爵にセレスティナとの婚姻を認めてもらい彼女の住む家に訪れた。

町外れの寂れた場所にある貴族の別宅のようだ。使用人もカクテスト伯爵家でいた年寄夫婦など少数の使用人しかおらず若い女性が住むには物騒だ。

先触れもなしに訪れたが年若いというより少女のようなメイドにすんなり案内された。
清掃の行き届いている応接室で待つと程なくセレスティナがやってきた。

あの朝の別れ際に見たような取ってつけた微笑みを浮かべてマリアティナとの婚約を祝われた。

セレスティナを真っ直ぐ見つめ頭を下げた。

「ティナ。君をマリアティナ嬢と間違えてしまい申し訳なかった。」

「お気になさらないでください。もう過ぎた事ですから。
姉と婚約なされたのでしょう?おめでとうございます。私との事は忘れてください。私も忘れます。それで何の問題もないでしょう?
今は父の温情でここで生活しております。
あなた様が婿入りされる前に縁を切ってくださるように父に進言しておきますのでご安心ください。
決してカクテスト伯爵家に迷惑をかけるようなことはいたしません。」

俺の目を見る事もなく一気に言う。
過ぎたこと?あの事を、君を忘れろ?
君にとって俺はそんなに簡単に忘れられる存在なのか?

「ティナ。私はそんなに貴女に嫌われているのですか?
もし仮に私がマリアティナ嬢を好きだったのに間違って乙女であった貴女を抱いたとして、そのまま何事もなくマリアティナと婚姻を結ぶ厚顔無恥な男だとでも言いたいのですか?
貴女を追い出し、家族と縁を切らせてそのまま婿入りするような男だと思っていたのですか?」

俺は態度にこそ現れていないが激昂していた。
彼女は俺の怒りを感じ取っているのだろう。目を合わす事なく目をつぶり首を横に振るだけだ。
感情的になり過ぎたと反省して優しげに語りかける。

「追い出された訳ではないのなら帰りましょう。この邸で1人は寂しすぎる。それに物騒だ。」

「お気遣いありがとうございます。ですが、ここで私は毎日孤児達に読み書き計算を教えております。みんなそれを楽しみにしているのです。そのうちマナーも教えたいと思っております。
職業訓練校に行けないからここでお手伝いしながら仕事を覚えている子もいます。急に投げ出すことはできません。」

彼女はここの暮らしを楽しんでいるのだろう。少し声が楽しげになっている。そして責任感の強い彼女は確かに物事を途中で投げ出すなんてしないだろう。

「それにいくらグランベリー様がお優しくとも私は貴方方家族と共に邸で一緒に暮らすことはできません。」

彼女が俺のことをグランベリー様と呼ぶ。他人行儀な言葉に少しイラつく。
だが、その後のの言葉で分かった。

「ああ、貴女はまだ誤解したままなのですね。」

俺の言葉が理解できない困った顔の彼女は愛らしい。きっと俺と姉のマリアティナが結婚すると思ったままなんだろう。誤解をしっかりと解かないと。

「俺はマリアティナ嬢とは結婚しません。」

俺の言ってること考えてることが全くわからないそんな困った顔をしているセレスティナがいる。ソファーから立ち上がり側に行き跪いた。
慌てる彼女の手を両手で覆うように握り

「間違って貴女を傷つけてしまい申し訳ありませんでした。
これは言い訳にしかならないのですが、友人にカクテスト伯爵家の令嬢の名前を聞いたらマリアティナと教えられたのです。カクテスト伯爵家に令嬢が2人なのも双子なのも知らず、貴女の愛称がティナと言うことだけしか知らず、マリアティナが貴女の名前だと思い込んでしまいました。
俺が好きなのはセレスティナ、貴女です。
俺は街で貴女を保護した時から貴女が気になっていました。
あの夜抱いたのも貴女だとわかっていたからです。カクテスト伯爵にはマリアティナ嬢との話は無かったことにしてもらいました。俺は爵位が欲しいのではありません。
俺が欲しいのも、結婚したいのも貴女だけです。
愛しいティナ。セレスティナ、愛してます。俺と結婚してもらえませんか?」

セレスティナは溢れる涙を拭いもせず小さく頷いた。
俺は壊れ物に触れるかのようにそっと抱きしめ頬を流れる涙を拭った。

「子供には父親が必要です。俺を父親にしてください。」



求婚を受け入れてくれたその日に婚姻証明書を提出し、その日から夫婦となった。

爵位は要らないと思っていたが、彼女と産まれてくる子供の事を考えて今まで辞退していたグランツ子爵位を賜った。そして彼女がこだわるこの邸をカクテスト伯爵家から買取正式に自分の邸にした。

あれからも孤児院の子供たちは毎日来ている。彼女は体調が悪くなければ読み書き計算、マナーを教えている。
そしてカリン達4人はグランツ子爵として正式に雇った。その後も孤児院から何人かはまた見習いとして手伝いに来ている。一人前になると紹介状を書いて他の家に勤められるようにしている。



俺は仕事として王族の護衛についている時に雑談として彼女の事を話している。
内容は大半が彼女の可愛らしさ素晴らしさだ。と惚気なのだが、彼女の素晴らしさを知ってもらうには彼女が行なっている読み書き計算の教育や支援している孤児院の内情、職業訓練校に通う為の金銭的な事などを彼女がなんとかしたいと思って努力している事。

その話を聞いた王子が打開策を打ち出して実行した。それは国民に、とりわけ平民に高い評価を受けて王子の名声がかなり上がった。
表には出ないがこれも全て彼女の功績だろう。
それで俺はまた「今度は伯爵位を…」と言われている。
今の暮らしに不満もなく爵位に興味がなく断っているが、王子が俺を離したくないようで側に置いておくには身分が必要だと無理に叙勲されるようだ。

俺には可愛いセレスティナ奥さんケリー息子がいる。
それだけで幸せだ。
今度は絶対間違わない。



(完)
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感想 7

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みんなの感想(7件)

さごはちジュレ

このバカちん男もナルシストぶりが鬱陶しいけど、仮面舞踏会なんかに参加しちゃう純潔貴族令嬢も隙だらけでお似合いの(頭とお股ゆるゆる)バカップルですね!(-д☆)キラッ

解除
せち
2025.04.19 せち

姉にも幸せになってほしいですね( ; - ; )

解除
ミウ
2021.08.03 ミウ

相手の名前も聞かずに踊り、酒に酔わせて一発。更にベッドで名前を間違えて求婚。その後も家庭環境など何も調べずに婚姻を進めて土壇場でひっくり返す。本人に謝罪に言ったはずなのに激昂するし、押しかけておいて勘違いしてるなって。随分と厚顔無恥な男ですね。
まぁ、主人公も流されてグダグダだし、家族も引き止め方が汚ない。
登場人物がみんなクズで、残念な気持ちでいっぱいになった。

解除

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