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8 婚約破棄というゲームの強制力に抗ってみた
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昨日兄に話をして自分の中で少し気持ちの整理ができたのか、普段通りの自分に戻っていた(つもりだった)ので兄と一緒に登校した。
兄と校門をくぐると鬼のような表情のジェラールが待ち構えていた。
いつもなら後から合流するのに何故?
「アマリア。話がある。来てくれ。」
そういうと私の腕を掴み返事を待たず連れて行った。
「えっ、あ、あの…。兄様?」
婚約してから、ううん、兄の友人としてお会いしていた時からでもこんなに怒った顔は見たことがない。
助けを求めようと兄を見ると、苦笑いで手を振られた。
ああ、婚約解消を言い渡されるのね。こちらからお願いしたといえ、ジェラール様にとって腹立たしい事なんだ。と悲しくなった。
連れて来られたのは学園のカフェだ。前回と違うのは周りから離れた奥まった席で個室のように孤立した場所だ。
目の前に前回同様私の好きだったお茶が置かれる。前回を思い起こすし、これからのことを考えると飲みたくない。
目の前のお茶に手を出さない私を怪しんで
「好きなお茶なんだろう。飲まないのか?」
少し不安そうな表情になった気がしたが、依然としてまだ怒気を纏ったままだ。
「好きだったのですが、今飲んでも楽しい気持ちになれそうもないのです。これ以上このお茶に嫌な記憶を残したくないのです。」
嫌な言い方をしたのは自覚している。私の顔を見てジェラール様が更に顔を強張らせたのもわかった。でも、言ってしまったあとではどうしようもない。私も思ったよりも動揺し、傷ついているのだ。
円満に婚約解消しようと思ったのに。
昨日のお昼休みにあの日からのジェラール様の態度を兄に説明して婚約解消を兄からジェラール様に勧めてくれるように相談した。
「ラズベリー王女がジェラール様をお好きになられて告白された。それをジェラール様も受けられた。2人の仲は確実に縮まった。このまま婚約を続行すれば王女もジェラール様も私も醜聞に塗れてしまう。そうならないためにも早々に婚約解消をする必要がある。
だが、伯爵家の私から公爵家のジェラール様に婚約解消を言うことはできない。なのでお兄様からジェラール様から婚約解消するように勧めてください。」
兄は呆れた顔して聞いていたが、最後には真剣に「お前の思い違いではないのだな?」と確認をして「知人が本人たちのやりとりを漏れ聞きして伝えてくれました。間違いございません。」と言うとわかったとだけ言ってくださった。
ラズベリー王女はジェラール様を好きになられたそうだ。ジェラール様は王女にこの国の一貴族となる決意を聞いていた。ジェラール様はマノマリット公爵家の嫡男で継ぐべき家がある。ラズベリー王女は隣国の長子で王位継承権第一位なのだ。この国の一貴族になるということは、この国の貴族に嫁ぐということ。そう求婚されたのだ。
そしてその後のお互いをファーストネームで呼び合うとなれば2人の思いは通じあったのだろう。
だから婚約者のいるジェラール様とラズベリー王女が恋仲であると噂が広がる前に兄からジェラール様から婚約解消していただけるように伝えてもらったのに。
これで間違ってはいなかったはず、よね?
目の前に眉を釣り上げて怒っているジェラール様を見て困惑する。
「色々言いたいことはあるが、貴女の認識は間違っている。」
兄と校門をくぐると鬼のような表情のジェラールが待ち構えていた。
いつもなら後から合流するのに何故?
「アマリア。話がある。来てくれ。」
そういうと私の腕を掴み返事を待たず連れて行った。
「えっ、あ、あの…。兄様?」
婚約してから、ううん、兄の友人としてお会いしていた時からでもこんなに怒った顔は見たことがない。
助けを求めようと兄を見ると、苦笑いで手を振られた。
ああ、婚約解消を言い渡されるのね。こちらからお願いしたといえ、ジェラール様にとって腹立たしい事なんだ。と悲しくなった。
連れて来られたのは学園のカフェだ。前回と違うのは周りから離れた奥まった席で個室のように孤立した場所だ。
目の前に前回同様私の好きだったお茶が置かれる。前回を思い起こすし、これからのことを考えると飲みたくない。
目の前のお茶に手を出さない私を怪しんで
「好きなお茶なんだろう。飲まないのか?」
少し不安そうな表情になった気がしたが、依然としてまだ怒気を纏ったままだ。
「好きだったのですが、今飲んでも楽しい気持ちになれそうもないのです。これ以上このお茶に嫌な記憶を残したくないのです。」
嫌な言い方をしたのは自覚している。私の顔を見てジェラール様が更に顔を強張らせたのもわかった。でも、言ってしまったあとではどうしようもない。私も思ったよりも動揺し、傷ついているのだ。
円満に婚約解消しようと思ったのに。
昨日のお昼休みにあの日からのジェラール様の態度を兄に説明して婚約解消を兄からジェラール様に勧めてくれるように相談した。
「ラズベリー王女がジェラール様をお好きになられて告白された。それをジェラール様も受けられた。2人の仲は確実に縮まった。このまま婚約を続行すれば王女もジェラール様も私も醜聞に塗れてしまう。そうならないためにも早々に婚約解消をする必要がある。
だが、伯爵家の私から公爵家のジェラール様に婚約解消を言うことはできない。なのでお兄様からジェラール様から婚約解消するように勧めてください。」
兄は呆れた顔して聞いていたが、最後には真剣に「お前の思い違いではないのだな?」と確認をして「知人が本人たちのやりとりを漏れ聞きして伝えてくれました。間違いございません。」と言うとわかったとだけ言ってくださった。
ラズベリー王女はジェラール様を好きになられたそうだ。ジェラール様は王女にこの国の一貴族となる決意を聞いていた。ジェラール様はマノマリット公爵家の嫡男で継ぐべき家がある。ラズベリー王女は隣国の長子で王位継承権第一位なのだ。この国の一貴族になるということは、この国の貴族に嫁ぐということ。そう求婚されたのだ。
そしてその後のお互いをファーストネームで呼び合うとなれば2人の思いは通じあったのだろう。
だから婚約者のいるジェラール様とラズベリー王女が恋仲であると噂が広がる前に兄からジェラール様から婚約解消していただけるように伝えてもらったのに。
これで間違ってはいなかったはず、よね?
目の前に眉を釣り上げて怒っているジェラール様を見て困惑する。
「色々言いたいことはあるが、貴女の認識は間違っている。」
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