【完結】好きでもない私とは婚約解消してください

里音

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部屋を出るとため息が出た。
変に思われなかったかしら?
急ぎ厨房へと向かい料理長に2人分のお弁当を指示し、私は何度か練習したデザートを作る。
デザートはオレンジゼリーだ。オレンジを絞りゼリー液と混ぜて容器に入れるだけ。後は料理長に任せた。これでは料理とまで言えないかもしれないが手作りの物を食べてほしかった。
それが終わると動きやすい服に着替える。

彼が彼女とやり直すまで後何日あるのだろうか?もう少しだけ彼との思い出をください。





行き先は侯爵家の敷地内なので護衛も連れず荷物は全てフェルマン様が持ってくれたので2人で行った。
裏山の奥の少し開けた場所にシートを広げて座る。
急いで作ってもらったお弁当を食べ、私が作ったオレンジゼリーを出した。
フェルマン様は驚きながらもおいしいと食べてくださった。
その後は2人で何気ない会話をしながらゆっくり過ごした。お疲れのフェルマン様はシートに横になるとそのうちうとうとし始めてお昼寝してしまった。
私は誰にはばかることなくフェルマン様の寝顔を堪能した。
しばらくして起きたフェルマン様はとても恐縮して謝っておられたが、私的にはとても充実して楽しい思い出ができた。

ああ、もうこれでいつ婚約解消されてもこの思い出だけで過ごしていける。
そう思うけれど、裏腹に婚約解消などせずこのままこんな風にゆったりと穏やかに一緒に暮らせたらと思う醜い自分もいる。
これはフェルマン様の犠牲の上で成り立っているというのに……。


「俺だけ堪能してしまったようで申し訳ないが、少し日が傾いてきたから、そろそろ帰りますか?周りが心配するでしょうから。」

「フェルマン様はお疲れでしたのね。ゆっくりできて良かったですわ。私もフェルマン様の寝顔を堪能できました。うふふっ。ピクニック楽しかったです。私の作ったゼリーも喜んでいただけたみたいですし。付き合ってくださってありがとうございます。」

フェルマン様は寝顔を見られていたと聞いて少し顔を赤らめていたが、次の約束をしてくれた。

「今度は完璧にエスコートしますから、観劇に行きましょう。」

貴方と出かけれるならどこでも嬉しいわ。

「はい。喜んで。」

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