吉原の女装男子

火藍

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その男、乱菊。

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家に帰ると、いつも通り酒の臭いのする父が居間に座っていた。
俺はいつも通り、すっかり自分の一部となってしまった笑顔の仮面を張り付け、父に話しかける。

     「ただいま、お父さん。」

にっこりと笑った俺の顔を見た父の目が、大きく見開かれた。
どこか虚空を見つめているような生気のない父の眼差しに、何とも言えぬ恐ろしさが、背筋をつたう。
これは、いつも通り、では、ない。
父の目は、俺を見ていながら、俺の姿を写し出してはいなかった........
父が見ているのは、俺ではない......
父が見ているのは..........


            「母、さん......?」


「え........?」

「母さん?母さんなのか!?ああ、会いたかっ た。ずっと捜していたんだぞ?今まで何処に居 たんだ!?」

「父、さん...?」

「いや、もういい。こうして私の前に居るのだ から、さあ此方へおいで?愛しの“乱菊”。」

「父さん!」

「息子なんか、“カエデなんか要らない”から。 二人で、愛し合って、一緒に、また暮らそう?
......なあ、乱ぎ.......


「父さん!!!!!!」

       「俺は、カエデ、だよ?....」

「煩い!!」

        「母さんじゃない。乱菊じゃない。俺はカエデだよ!母さんは、もう...居ないだろ...

「煩い煩い煩い煩い煩い煩い煩い煩い煩い煩い煩い煩い煩い煩い煩い煩い煩い煩い煩い煩い煩い煩い煩い煩い煩い煩い煩い煩い煩い煩い煩い煩い煩い煩い煩い煩い煩い煩い煩い煩い煩い煩い煩い煩い煩い煩い煩い煩い煩い煩い煩い煩い煩い煩い煩い煩い煩い煩い煩い煩い煩い煩い煩い煩い煩い煩い煩い煩い煩い煩い煩い煩い煩い煩い煩い煩い煩い煩い煩い煩い煩い煩い!」

「っ父さ.....

「お前さえ、お前さえ居なければッ!!お前さえ居なかったらッ!!全てお前のせいだッッ!!!!消えろッ!消えてしまえば良い!」

  ━━━カシャンッ、━━━
父は空になった酒瓶を俺に投げつけた。







バッ。。。
見回すとそこに父は居なく、俺は一人布団で寝ていた。
ああ、昔の、嫌な夢を見た......。





最初から、何も持っていなかった。
ただ今を生きるので精一杯で....。
暗いボロ屋に住んでいた。雨漏りがして、冬は寒く、夏は暑かった。
母は居ない。遊女だと風の噂に聞いただけだ。近所の人は、俺を傀儡女(くぐつめ)の子と呼んでいたから、そうだろうとは思っている。
父は居た。毎日、酒を飲んで、酒に呑まれて、
「母が居ないのはお前のせいだ」
と言って暴力を振るった。
痛かったが、何よりも愛情と金が欲しかった。

お金が欲しい。
愛情が欲しい。
自由が欲しい。
父と離れたい。          ......。

全てに飢えていたのだ。どうにか、脱したかったのだ。
家に帰れず、町をふらついていた俺に、男が話しかけてきた。
「君、男の子、か...。可愛いね。うちで働かない?吉原のお店なんだけど......」
今思えば、かなり胡散臭かったが、藁をもすがる思いであったから、俺は構わず頷いた。
連れて行かれた所は、女ばかりの遊郭であった。
父と同じ狂気の匂いのする男が言った。
「ほほう、上玉だな。まあ女装でなんとかなるだろう。ククッ.....俺は獺祭。この遊郭のオーナー、だ。お前は今から吉原の女、遊女だ。いいか?」
俺は思った。ああ、何処に言っても踏みにじられる人生だな、と。
そして今度は遊女の仮面を被った。


「はい。わっちの名は乱菊でありんす。」


女装し、媚を売り、そのうち吉原五本の指に入るとまで言われた。
ヘドが出る、男の相手。
獺祭は
「遊郭の女が男だったとバレたら評判が落ちる。」
と言って、男が俺に迫るたびに、誰かに止めさせた。
.....気持ち悪い。性欲の目。

気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い。。。


でも、俺だから、しょうがない。



(続く!)BL表現はまだですね()次回シます!
私の他の作品で、吉原の女装男子書いたけど、ネタバレ嫌な方は見ないでねん♪でもシてるよ♪今後とも宜しく!
ちょっとショートショートとは変えていくから、今後とも宜しく!
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