異世界に来たんだから自分の欲望に忠実に生きる!

修ですが

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67話 ゴブリンからも疎まれるマチルダ

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 「あら?田村さんじゃない?」
 マチルダの方から声が掛かる。

 「お前誰だ?」
 まだ、1週間しかあれから過ぎていないのに俺に声を掛けた生き物がマチルダだとは信じられず誰だ?と言葉が出た。
 
 マチルダは性格はアレだが整った容姿に白い肌。胸もデカく形も良かった、目の前に居る生き物は色こそ白いが弛んだ体の皮膚は伸びきり両頬はだらしなく伸びきってブルドッグのようだ。
 男なら誰でも喜ぶイヤラシい体は消えさり腹が出ていた。

 「なんで裸なの?」
 マチルダはニヤニヤと涎を垂らしながらこちらを見てきた。俺は咄嗟に両手で股間を隠し後退る。

 冷や汗が流れ悪寒が走る。
 このままでらヤラレる、俺は人型しか愛せない。異世界に来て早足に大人の階段を駆け抜けて来たが獣相手は無理だ。

 獣姦ものに興味はない、見るのも嫌だし俺が演じる側になる気はない。

 「あ!ごめん。忘れ物しちゃったよ」
 忘れた物など何も無い、無いが此処から逃げ出すのには必要な事だとマチルダの返事を聞かずに小屋から飛びだす。

 小屋から飛び出してオーク肉を生のままカブリつくゴブオの元へ駆ける。

 「あれ?あれ、あれなんだ?」
 俺は小屋を指差しながらゴブオに詰め寄る。

 「……王妃……様です」
 答えたのはゴブオではなくゴブ太だった。

 ゴブオもモソモソと口を開く
 「お腹の子に栄養をつけさせる為に……オークの肉を……」

 コブオの説明が途中で止まり手で顔を覆う。
 続きをゴブ太が引き継ぎ説明を続ける、ゴブ太達によると俺が居なくなって直ぐにマチルダの妊娠が解ったらしく元気な子供を産んで貰う為にオーク肉を与えたそうだ、生肉を。
 ゴブオ達に肉を焼いて食べる習慣はなく最初はマチルダは生肉に手を付けなかったが無理矢理2匹で喉に押し込んだらしい。

 その後、突如オーク肉を生でガツガツと食べ始めマチルダの容姿がオークに似始めたと言う。
 今では日に日にオークらしくなっていると涙を流しながら俺に訴えてきた。

 ゴブオとゴブ太は口を揃えて言った。
 「オークは愛せない」

 ゴブリン達にも好みが存在する事が今解った、穴さえあれば何でも良い訳ではないらしい。

 「ゴブオ、もうオーク肉を食わせるな」
 ゴブオ達に厳命した、今更手遅れかも知れないがオーク肉は駄目だと告げる。

 代わりに魚や木の実と果物にしたらとアドバイスを送る。

 コクコクと頷くゴブオ達。
 「問題がもう1つ……あります」

 ゴブオ達はこっちの方が深刻ですと肩を震わせる。

 「性欲が……強すぎる」
 ゴブリン達ですら悩むマチルダの性欲。
 以前のマチルダではなく白豚に成り果てたマチルダの相手では楽しくないだろう。

 「我慢しろ!」
 俺は突き放すように2匹に言い放った。
 性格も見た目もアレだが王国を興す為には子供を産み続ける器が必要だと試練であると告げる。

 俯き苦悩する2匹に俺は助け船を出した。

 「実は……ゴブオに側室を連れてきた」
 俯きすすり泣くゴブオの顔が跳ね上がり沈痛な面持ちから驚きの表情へと変化した。

 「側室を!」
 俺はゴブオの目を見て続ける。

 「王国を興すのにマチルダだけでは荷が重いと考え連れてきた」
 今は怪我をして気を失っている事もゴブオに告げる。
  
 「怪我の治療が先だぞ!」 
 2匹に釘を刺す。

 焦って手を出して命を失う事になれば王国誕生に支障がでることを言い聞かせた。

 傷が完治するまではマチルダで我慢するか手で処理する事も約束させラミアの元へ2匹を連れて向かう。

 「この方が!」
 2匹は目に見えて喜ぶ、既に股間を大きくしていた。
 待て!お預けだと言い股間の膨らみがなくなる。
 ラミアを抱き抱えて小屋の前に戻りラミアを2匹に預けた。
 俺は小屋から少し離れた場所にマジックバックに収納した家屋を出現させた。

 「おおぉぉぉ!」
 2匹が驚きの声を出す。

 「主様、これは?」
 2匹にはこの家で治療するようにと言った。
 マチルダと同じ小屋では治療するベットが無い事が理由だ。
 
 「ゴブオ、責任を持って治療するようにな」
 膝をつき頭を下げるゴブオ。

 「ゴブ太!お前には別の指令を与える」

 ゴブ太には野良ゴブリンの勧誘が新しい任務だと説明する。
 「人間達に気付かれれば国を興す処ではない、早急に数を整えなければ駆逐されるだけだ」

 ノーマルゴブリンに比べてゴブオの能力は抜きん出ている、今こそ勧誘して数を増やせと命令し提案もする。

 「新しく加入した物達にマチルダの相手をさせる」

 「!」
 「!」
 2匹は馬鹿ではない、気付いたはずだ。
 自分達の身代わりが居ればもうマチルダの相手をする必要がない事に。
 俺はニヤリと笑みを浮かべ2匹を見た、2匹もお互いの顔を見てからニヤリと笑い合う。意味が通じたようだ。

 「では後は任せる」
 俺は踵を返して森の中を進む。

 「マチルダ、終わったな」
 ぼそりと呟きながら歩きだした。



 
 
 
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