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1小節

隠し事

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「あれ、なんだろう。」
朝起きてからどうも調子が悪い。めまいのような症状が出る。
「もう、長くないのかな…」
私は察してしまった。病気の進行がここ最近早くなってきている。実は、ピアノを始めたきっかけもこの病気が原因だった。私はもう長くないということを分かっていたから残りの人生を明るく生きようと考えている。だからめまいだったりたくさんの症状が出ても知らんぷりして毎日過ごしている。
8時。学校の近くで奏太先輩を見かけて声をかけた。
「おはようごさいます!!」
「おはよう!」
「あ、これ!『愛の夢』の楽譜この前間違えて先輩のやつ持ってかえっちゃってました!すいません!!」
「あー!いいよいいよ!気にしないで」
そうしてかばんから楽譜を取りだし、先輩に渡そうとしたときだった。手に力が入らず、落としてしまった。その途端、急に怖くなった。後ずさりして猛スピードで学校まで走ってしまった。
「斎藤?」
気が付いていたらいつのまにかピアノ部の部室にいて、椅子に座っていた。
「先輩、さっきはごめんなさい。」
「あー、大丈夫、早速だけど今日二人で帰ろう。話があるんだよ。」
「は、はい。」
そして1日はすぐ経って、先輩と学校の近くの堤防で話すことになった。
「何か僕に隠し事してるでしょ?」
「え?、あ、いや別にしてないです。」
「僕たちはアンサンブルのペアなんだよ。隠し事とかしてたら息が合わなくなるし、曲にも大きく影響するんだぞ?」
「分かってます。でも隠さなきゃいけないことだって誰だってありますから。」
つい先輩にそっけない態度をしてしまった。その日はなんだか落ち込んでしまっていてすぐ家に帰って寝てしまった。
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