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番外編
もう一度あの場所へ
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しばらくして母校の先生から久しぶりに顔出してきたらと連絡が入ったので3人で行くことにした。相変わらずの風景が広がっていた。その風景を見て僕たちは懐かしいと言いながら校舎の中へと入っていった。校舎に入るなり僕たちのアンサンブルのコンクールのトロフィーが飾ってあった。それを見て懐かしんでいると奥から先生が来た。
「久しぶりね。三人とも大きくなってー」
「お久しぶりです。」
「田辺くん。天才ピアニストって言われるくらい成長したのね。本校の誇りだわ。」
「先生、お久しぶりです。」
「音羽さん!美人だったのがもっと美しくなってー。」
そういわれて音羽が照れていると楽が大きい声で
「先生ー!全然変わってないっすねー!!」
「そういう近藤くんも10年経ってもそのままなのね。ま、いいけど(笑)」
「なんですかー?」
そう言って笑っているとトロフィーを目にした先生は
「あれから、10年も…時間って怖いわね。」
「はい…」
「今でもピアノ部、あるんですか?」
「もちろんよ。あなたたちそういえば海外にいたんだっけ。あなたたちのおかげで今ではピアノの名門校になっているのよ。」
「ええ!?!?そうなんすか!?」
「ええ。あなたたちのこと知らない部員はいないわ。大会前になるといつもあなたたちのコンクールの動画を生徒に見せているの。」
「その動画!見せていただけますか。」
「いいわよ。今日は部活休みだから、部室に来て。」
言われるがままに僕たちは部室に向かった。そして先生はDVDをセットしてそして動画が流れ始めた。当時の僕たちの演奏をしっかりと見た。もちろん僕の大切な人もその動画にしっかりと写っていた。
「楽しそうでしょ。」
「はい。とっても…」
「あなたたちは今のピアノ部にかかせない存在なのよ。」
そうして流れ続けている動画を静かに見て先生と思い出話をした。先生、楽、音羽の後に続いて部室から出ようとしたときだった。またあのときのような強い風が部室に吹き込んできた。僕はとっさに振り返った。なんとそこには僕の好きな人が立っていた。驚きと嬉しさで言葉がでず、ただ僕の前に現れた彼女を見つめていた。すると彼女が口を開いた。何か言っているようだった。でも声は聞こえなかった。口の動きから多分
「ありがとう。」
そう言っているような気がした。そしてまた強い風が吹いた。気がつけばまた彼女は消えていた。なぜかもう二度と僕の前に現れないのではと思った。でも、そう思ってもさみしい気持ちはなかった。それは多分、彼女がしてほしいと思っていることをいつの間にか僕はしてあげていたからだ。ノートを読んだり、斎藤のことをいつも思っていたり、音羽と楽と一緒に斎藤に会いに行ったりしたからだと。そう思うと僕の気持ちは晴れ渡っていた。
「奏太ー!何やってんのよ!はやく行くわよー。」
「うん!!」
軽やかな足取りで僕は部室を後にした。
君の姿形が二度と見えなくとも
僕は君を忘れたりなんかしないさ
たとえあの日のような雨がふったとしても
もう悲しんだりはしない
下を向いてばかりではなく
君と見た星空を見るように
上を向いて一歩ずつ進んでいこう
~またいつか君と会えるまで~
「久しぶりね。三人とも大きくなってー」
「お久しぶりです。」
「田辺くん。天才ピアニストって言われるくらい成長したのね。本校の誇りだわ。」
「先生、お久しぶりです。」
「音羽さん!美人だったのがもっと美しくなってー。」
そういわれて音羽が照れていると楽が大きい声で
「先生ー!全然変わってないっすねー!!」
「そういう近藤くんも10年経ってもそのままなのね。ま、いいけど(笑)」
「なんですかー?」
そう言って笑っているとトロフィーを目にした先生は
「あれから、10年も…時間って怖いわね。」
「はい…」
「今でもピアノ部、あるんですか?」
「もちろんよ。あなたたちそういえば海外にいたんだっけ。あなたたちのおかげで今ではピアノの名門校になっているのよ。」
「ええ!?!?そうなんすか!?」
「ええ。あなたたちのこと知らない部員はいないわ。大会前になるといつもあなたたちのコンクールの動画を生徒に見せているの。」
「その動画!見せていただけますか。」
「いいわよ。今日は部活休みだから、部室に来て。」
言われるがままに僕たちは部室に向かった。そして先生はDVDをセットしてそして動画が流れ始めた。当時の僕たちの演奏をしっかりと見た。もちろん僕の大切な人もその動画にしっかりと写っていた。
「楽しそうでしょ。」
「はい。とっても…」
「あなたたちは今のピアノ部にかかせない存在なのよ。」
そうして流れ続けている動画を静かに見て先生と思い出話をした。先生、楽、音羽の後に続いて部室から出ようとしたときだった。またあのときのような強い風が部室に吹き込んできた。僕はとっさに振り返った。なんとそこには僕の好きな人が立っていた。驚きと嬉しさで言葉がでず、ただ僕の前に現れた彼女を見つめていた。すると彼女が口を開いた。何か言っているようだった。でも声は聞こえなかった。口の動きから多分
「ありがとう。」
そう言っているような気がした。そしてまた強い風が吹いた。気がつけばまた彼女は消えていた。なぜかもう二度と僕の前に現れないのではと思った。でも、そう思ってもさみしい気持ちはなかった。それは多分、彼女がしてほしいと思っていることをいつの間にか僕はしてあげていたからだ。ノートを読んだり、斎藤のことをいつも思っていたり、音羽と楽と一緒に斎藤に会いに行ったりしたからだと。そう思うと僕の気持ちは晴れ渡っていた。
「奏太ー!何やってんのよ!はやく行くわよー。」
「うん!!」
軽やかな足取りで僕は部室を後にした。
君の姿形が二度と見えなくとも
僕は君を忘れたりなんかしないさ
たとえあの日のような雨がふったとしても
もう悲しんだりはしない
下を向いてばかりではなく
君と見た星空を見るように
上を向いて一歩ずつ進んでいこう
~またいつか君と会えるまで~
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