8 / 13
story 1
Clingy man
しおりを挟むいつの間にやら職員室に着いたらしく、ここが職員室だよと在校生である美少女は説明してくれた。
それを聞いた俺はと言うと、さっさと身支度を済ませねばと今更焦りだした。
「ありがとうございます!」
感謝の言葉を言い放ち、言いたいことを完結的に先生達に言うべくして、職員室に駆け込んだ。
「失礼します。本日、入学予定の服部茜と申します。不甲斐ないのですが、リボン付け忘れて来たので、お貸し頂けませんでしょうか?」
よし、完結である。こんな、徹底的に全てを包み隠してはいるが、大事な事はちゃんと言ったぞっと自分を褒めたたえていると、入口すぐ近くにいた先生だろう人が俺の名前を呼んだ。
「……アカネ…?」
気のせいかもしれないとちらりと声がした方を見ると、タレ目で天然だろうかパーマがかかった茶髪のまだ若そうな男性が立っていた。
誰だろう、どっかで会った? メイド喫茶の常連とか?いや、そもそもメイド喫茶の常連が先生とか有り得ないでしょうが……っと考えていたら呆気なく次の言葉が襲いかかった。
「入学初日に、リボン忘れるなんて言語道断だぞ」
ムスッとした顔でその先生は言うので、俺だってこうやって借りに来るつもり無かったんだけどねっ?!なんて内心怒りが込み上げていた頃、その先生の近くから、別の声がする。
「まあまあ、西口先生いいじゃないですか、誰だって忘れたりしますよ」
そう言って近くで微笑む女性の先生は凄く綺麗な人ですごく見惚れてしまう。
キレイだ……っと息を飲んだ。
「でも水城先生、初日から気が緩みすぎるのもどうかと俺は思うんですよ」
俺を見つめながら、男の先生は言ってきた。顔に反して言ってることが面倒だな、顔は世でいういい方だと思うし、整ってるというのに、顔の無駄遣いだなとフムフムとしている俺に話には割り込まなかった別の先生が、ホイッと魔法のようにある物を渡してきた。
「服部のクラスを担任する。東出だ。もうそろそろで、式が始まるから、さっさとした方がいい」
そう、淡々と自己紹介してきた、眼鏡のいかにも真面目って言葉がお似合いの先生が赤のリボンを俺に渡す。
「ありがとうございますっ!!!」
俺は感謝と喜びで胸がいっぱいになりながら、リボンを装着する。
この学校は、学年ごとにリボン又はネクタイの色が違っていて、赤、青、緑の3色になっている。新入生である俺は赤なのだが、赤の色が好きな俺にとって、それはそれは、嬉しく。喜ばしいことなのだ。つい、顔が緩む。
「ニヤついてる場合じゃないだろ。早く体育館に行きなさい」
例の顔だけいい先生は、険しい顔をしながら、毒を吐いてきた。
うん。行くよ。行けばいいんでしょ……っ!!?
嬉しかった気持ちがどこかに消えてしまったじゃないかっと怒りながら俺は「失礼しました」とだけ言い残し、職員室から出ようとしたはずなのだ。
だが、そう言った俺の腕に誰かが掴んで身動きが取れない状態になっていた。
「……スカートの丈少し、短すぎないか?」
振り返って見た声の主は誰でもない。顔だけいい先生だった。
確かに短い部類には入るかもしれないけれど、周りの女子と比べましても、俺のスカート丈は標準な長さだった。
なに、これ、顔良くなかったらただのセクハ…………。いやいや、顔の善し悪し関係なくセクハラだよこんなの。
っと悶々としていると、美人の女性の先生が助けに入ってきてくれた。
「西口先生。それ、セクハラになりますよ。しかも、この丈位は、許容範囲内です」
先生らしくないですよーっと呟きながら、ほらほらと、掴んでいた手をふりほどいてくれた。
推し……この先生推し………………っと心で呟く。
そんな俺の気持ちも知るよしもない、面倒な顔面だけいい先生は俺に謝るつもりもないのだろうか、またまた、険しい顔になっていく。
顔面の使い方まちがってるよと言いたくなるくらいには、酷い顔で逆に心配になった。
「あの、気にしないで下さい。ほら、あれです!イケメンなら許されるとかありますし??」
俺なりに、気を使ったフォローをしたつもりなんだが、反応が悪い。
ちゃんと息してるのか、この先生…………。
「……許しちゃダメだろ」
今にも消えるのではないかと思うくらい弱々しい声でその先生は言う。
煩いのか、静かなのか、どっちだよと考える暇は多分俺にはなかった。
「あ、鼻毛出てる」
ポツリと聞こえたその言葉に、俺は今までの行いをパーにしてしまった。
「見逃すって、言葉知らないんですかーーーーっ!!?」
恥ずかしくなって、何も気にせず職員室から素早く逃げ出した自分がいた。
0
あなたにおすすめの小説
隣の家の幼馴染と転校生が可愛すぎるんだが
akua034
恋愛
隣に住む幼馴染・水瀬美羽。
毎朝、元気いっぱいに晴を起こしに来るのは、もう当たり前の光景だった。
そんな彼女と同じ高校に進学した――はずだったのに。
数ヶ月後、晴のクラスに転校してきたのは、まさかの“全国で人気の高校生アイドル”黒瀬紗耶。
平凡な高校生活を過ごしたいだけの晴の願いとは裏腹に、
幼馴染とアイドル、二人の存在が彼の日常をどんどんかき回していく。
笑って、悩んで、ちょっとドキドキ。
気づけば心を奪われる――
幼馴染 vs 転校生、青春ラブコメの火蓋がいま切られる!
俺にだけツンツンする学園一の美少女が、最近ちょっとデレてきた件。
甘酢ニノ
恋愛
彼女いない歴=年齢の高校生・相沢蓮。
平凡な日々を送る彼の前に立ちはだかるのは──
学園一の美少女・黒瀬葵。
なぜか彼女は、俺にだけやたらとツンツンしてくる。
冷たくて、意地っ張りで、でも時々見せるその“素”が、どうしようもなく気になる。
最初はただの勘違いだったはずの関係。
けれど、小さな出来事の積み重ねが、少しずつ2人の距離を変えていく。
ツンデレな彼女と、不器用な俺がすれ違いながら少しずつ近づく、
焦れったくて甘酸っぱい、青春ラブコメディ。
もう一度、やり直せるなら
青サバ
恋愛
告白に成功し、理想の彼女ができた。
これで全部、上手くいくはずだった。
けれど――
ずっと当たり前だった幼馴染の存在が、
恋をしたその日から、
少しずつ、確実に変わっていく。
気付いた時にはもう遅い。
これは、
「彼女ができた日」から始まる、
それぞれの後悔の物語。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
【続編】ダイヤの指輪─先生と私の歩む未来─
七転び八起き
恋愛
◇こちらの作品は以下の作品の続編です。
「ダイヤの首輪─先生の歪んだ愛に囚われて─」https://www.alphapolis.co.jp/novel/306629704/557024090
◇あらすじ
主人公の水島白乃(みずしましの)と、婚約者の夏雄先生のその後の物語です。
まだちゃんとした夫婦になってない二人はどうなるのか。
そして、先生の従弟の遼が出会った不思議な女の子、篠山あやめ。彼女は遼にどう影響を与えるのか。
それぞれの未来が動き出す。
◇前作のあらすじ◇
主人公の水島白乃(みずしましの)は、高校三年生の時の担任の夏雄先生に恋をした。
卒業して再会した夏雄は別人のようだった。
夏雄の歪んだ愛、執着に翻弄される中、白乃はさらに夏雄に惹かれいく。
様々な困難を乗り越え、二人は結ばれた。
大丈夫のその先は…
水姫
恋愛
実来はシングルマザーの母が再婚すると聞いた。母が嬉しそうにしているのを見るとこれまで苦労かけた分幸せになって欲しいと思う。
新しくできた父はよりにもよって医者だった。新しくできた兄たちも同様で…。
バレないように、バレないように。
「大丈夫だよ」
すいません。ゆっくりお待ち下さい。m(_ _)m
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる