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第二章 紫電の剣
act.26 オートマトンの役割
しおりを挟む「どうしてそんなことが出来るようになってるのよ!」
結合……イグナールにはいまいち想像がついていないが、モニカにはそれが何であるかが分かっているような言動だ。
「なぁモニカ結合ってなんだ? 俺にはさっぱりわか――」
「イグナールは知らなくていいの!」
モニカは彼の言葉を食い気味に制し、ハンカチをイグナールの顔面に叩きつけた。その騒動に店の視線が集中するが、それすらも意に介しさず話を続ける様子のマキナ。
「最も効率のいい方法であり、命懸けの戦いにおいて、精神的負荷を和らげ安定を図るための機能でございます。命の危機に瀕したあまねく生物は子孫繁栄のための行動に、突き動かされるものだと記憶しております」
表情を変えず淡々と説明するマキナの言葉、「子孫繁栄」にさすがのイグナールも思い当たる知識があるのか、顏を紅潮させて黙々とハンカチでモニカに吹きかけられた水を拭く。
「そして最も重要なのは、貴重な無属性因子の検体採取であると記憶しております」
「そ、それってマキナはそれでいいわけ⁉」
「それが私が製造された目的の一つでありますので、不満といった感情は持ち合わせておりません」
彼女は古代技術と魔法で生み出された人形である。あまりにも人と変わらない外見に騙されそうになるが、徹頭徹尾1つの目的のために造られた存在なのだ。
そう考え至る自分に、僅かな違和感を覚えるイグナール。しかしその違和感の正体は判然としない。
「うむーあんまり納得が出来る話じゃないわね」
モニカはマキナの考え、製作者によって与えられた意思について文句があるようではあるが、ここでどうなるものでもないので、歯噛みしながら押し黙った。
「ま、まあ他に方法があるようで俺は安心したよ」
彼女のエネルギー補給とやらが毎回あんな調子では俺が持たない……それに突然の出会いと成り行きでマキナの目的もはっきりとしない。彼女は自分が魔王討伐のための存在と言っていた。それを成すためならば俺が必要となってくる……俺を利用し――
いや、今はそんなことを考えるのはやめておこう。お互い魔王討伐の目的を持っていて、マキナには俺の魔力が、俺には彼女の情報が欲しい。マキナの存在がどうあれ、俺がいないと生きていけないと言うならば、手を差し出すべきだろう。
イグナールは一通り自分の中で、考えをまとめる。そして今後の方針について話し始める。
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