追放、ざまぁ、外れスキル!それがデスゲームへの参加チケットだった。~僕が一番外れスキルをうまく使えるんだ!

猫出R

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第一章 僕の外れスキルは『うし改』 ~タウラス公国のアルデバランの場合

第01話 崩壊の足音

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 ここはこの世界の南に位置する、国土も小さく他の国ともあまり交流のない国『タウラス公国』

~クレタ村へと続く山道

「はぁぁ……」

 僕はまた今日何度目かになる溜息をつく。

「バラン、もう気持ちを切り替えろ」

「父さん、でもさぁ」

 僕の名前はアルデバラン、皆からはバランと呼ばれている。僕の父さんが僕を含む今年十五歳になる村の子供達数人を連れて、『祝福の儀』と言われる『ジョブ』と『スキル』を授かる儀式を近くの町にある教会で受けてきた。僕達の住んでいるクレタ村は小さいので教会が無いからだ。そして今は村に帰る途中。

「そうよ、バラン君、いつまでもウジウジ・・・しない、男の子でしょ」

 僕と同い年で小柄な僕より、更に小さくて茶色い髪をツインテールにしている幼馴染のメローペちゃんが話に入って来る。

「ウジウジしないとか、もしかしてメローペちゃんは僕を馬鹿にしている?」

 僕が授かったジョブは『う士』、スキルは『うし改』。神父様に調べてもらったけど今まで無かったジョブとスキルのようだ。父さんも、母さんも、1つ年上の姉さんも僕の家族は皆『魔獣使い』という獣系の魔物と契約し『従魔』として従わせることができるジョブなので僕も当然『魔獣使い』を授かると思っていた。

「え? 馬鹿になんかするわけないよ、スキルは『牛飼い』でしょ? 動物好きの優しいバラン君にぴったりじゃない」

「だ~か~ら~、何度も言うけど『牛飼い・・・』じゃなくて『うし改・・・』だってば」

「んん~? だから何が違うの?」

「もういいよ、メローペちゃんは『回復士』だよね?」

「そうだよ、バラン君が怪我をしたら私が治してあげるからね、ふふ」

「ずるいぞ! 俺も治してくれよ」
「男の子は鈍感ね、邪魔しちゃだめよ、メローペはバラン君の事好きなんだから」
「えー、バランの奴のどこがいいんだよ」

 と僕達と一緒に『祝福の儀』を受けに行った村の子供達が割り込んで来た。

「えー、バラン君の好きなところ? うんとね、目が好き、だってとっても優しそうなんだもん」

「へへっ、ありがとう」

 僕は恥ずかしくなって一緒に護衛として付いて来ていた父さんの『従魔』でキングウルフのプレイオネの首元をワサワサと撫でる。もっと撫でて欲しいのかその場に寝転がりお腹を向ける。撫でてやると『グルルグルル』と足と尻尾をバタバタさせてとてもうれしそうだ。これでも数年前、父さんの『従魔』になるまでは近くの森の主だったはずなんだけどなぁ……。ちなみに大きさは2m以上ある。

「仕方がないな、家に着いてから『祝福の儀』のお祝いとして渡すつもりだったが、ほら」

 父さんは背負っていたリュックの中から新しい道具袋をだして僕に渡した。

「父さんこれは?」

 道具袋の中には『ロープ』と火属性の石で作られた『火打石』と、瓢箪ひょうたんで作った『水筒』、いくつかの薬草をすり潰して作った特製の傷薬と毒消しの薬、そして何かの動物の爪を削って作った『解体用のナイフ』が入っていた。
 泊りがけで森を探索する時に必要になる最低限の道具だ。

「わぁ! やったぁ、父さんありがとう」

「よかったね、バラン君」

 ガルルルルルゥ

「プレイオネ?」

 前方の森の方角を見ながらプレイオネが突然唸りだした。

「皆下がっているんだ!」

 父さんが皆に指示を出す。すると森の中からプレイオネと同じくらいの大きさの猪の魔獣が草木をかき分けて出てきた。

「ビックボアか? よし行けプレイオネ!」

 父さんがプレイオネに命令を出すと一直線にビックボアに向かって行った。
 そのままの勢いでサイドステップをし、ビックボアの首元に思いっきり噛み付いた。ビックボアは首から血を吹き出し、プレイオネごと数歩歩いたのち力尽きて倒れた。

「村に良い土産が出来たな、血抜きをするから皆も運ぶのを手伝ってくれ」

 血抜き作業で少し時間が経ってしまったが、その分村の皆は美味しいお肉を食べられるし文句を言う人など居ないだろう。
 父さんは村一番の狩りの名人、というか父さん以外の人が狩りをしているところを見たことないな。あれ? 父さんがいなきゃ村の人達はお肉食べられないんじゃないかな?

 少し遅くなったがプレイオネの背に乗せたビックボアを皆で落ちない様に抑えて森の中を運んでいく。
 丘の上から村が見えてきた。なんだろう……いつもと村の雰囲気が違う。

 村の広場に人々が集まって何か騒いでいる。村人以外の人の姿も見えた。
 こんな小さな村に行商さん以外が来るのも珍しい。
 高価そうな服や鎧を着ているし貴族様や騎士様だろうか?

「あっ、私のお姉ちゃんが居る」
 
 メローペちゃんが広場を指さす。

「あれ? 父さん! 母さんとマイア姉さんも居るよ」

「ああそうだな、何か問題が起こったようだ、急ごう」

▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽

 僕達が広場に到着すると姉さんが声を荒げていた。『やめてください、離してください』と姉さんは貴族様だと思われる僕より少し年上の小太りの男に腕を捕まれていた。
 姉さんの足元には最近姉さんが『従魔』契約した、フェンリルの赤ちゃんのエルナトがその貴族様に向かって『キャンキャン』と吠えていた。

「一体何があったんだ!?」

 気付いた母さんが慌てて駆け寄って来て説明してくれた。

 どうやらそこの貴族様は、ここ『ヒアデス領』を収めている領主様の長男でタイゲタ様というらしい。現領主様は最近、病で床の伏してしまって、その領主様の代理でこの村に来たとの事。
 理由は今年の『祝福の儀』を受け終わった子供達の中で有能な『ジョブ』や『スキル』を授かった子供を部下として雇い入れる為だと言う。勿論ここだけではなく領地内の他の町や村も回っていて、しかも毎年恒例にするとの事だった。

 しかし今まで領主様がわざわざこんな辺鄙へんぴな村までそんな事をしに来たことなど一度も無かったのに……。

 そして広場に居た村で一番綺麗なメローペちゃんのお姉さんを見かけ、借りている部屋に連れて行こうとしたが、それを見たマイア姉さんが止めに入ったという。
 しかし逆にその気の強さが気に入られたようで、今度はマイア姉さんを連れて行こうとしているのだと。

「タイゲタ様、大変失礼いたしました、どうかその娘をお許しください」

「あん? 誰だ、貴様は?」

「わたくしはその娘の父親でございます」

「ほう、父親だと? ちゃんと娘の躾くらいしておけ、折角俺に酌をさせてやると言っているのに拒むとは」

「お父さん! バラン! いやよ、誰が貴方なんかと!」

 父さんを見て安心したのか、姉さんは、領主様に捕まれた腕を強引に振りほどき、父さんの所へ駆け寄って来ようとした。しかしその際に姉さんの手が領主様の頬にかすった・・・・――次の刹那、姉さんの胸から剣が生えてきた……。

 グサッ

「なっ!?」

 僕は一瞬何が起こったか分からなかった。姉さんの胸から剣が無くなると口と胸から血を流している姉さんがドサリッと倒れた……地面に血が広がっていく。

「よくも俺の顔を! 平民の分際で!」

 後ろには血で染まった剣を持った領主が立っていた。

 これが始まりだった……。今の僕には何が起こったのか理解できなかったが、もしここに強くなった未来の僕が居たのなら『祝福の儀』には家族全員で行くべきだった、ビックボアなど狩らずに急いで帰って来るべきだった、有無を言わさず領主など殺すべきだった。そう嘆いた事だろう……。
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