追放、ざまぁ、外れスキル!それがデスゲームへの参加チケットだった。~僕が一番外れスキルをうまく使えるんだ!

猫出R

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第三章 私の外れスキルは『せんい』 ~アリエス共和国のヘレの場合

第11話 アリエス共和国その後の人々(ざまぁ回その弐)

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~~ヘレとアリアが船に乗って旅立ってから三ヶ月が経った~~

~アリエス共和国『学院対抗ゴーレム武道会』会場 プリクソス視点side

「よし! これであの女を取り逃がした件の汚名返上が出来る」

「それにしてもプリクソス様、期間が空いていて良かったですよね、おかげで髪の毛も元通りです」

 名ばかりで役立たずの『上級土魔術士』がヘラヘラとした顔で僕に言って来た。

「そもそもお前のせいだろ! 土魔法使いのくせにあんな穴から抜けだすことも出来ないなんて、結局後から来た本家の連中に助けてもらう羽目になったんだぞ!」

「そ、それは、何度も説明したじゃないですか、魔力を練ろうとすると手首に縫ってある糸に魔力が吸われて魔法が使えないって」

「五月蠅い! 言い訳は聞き飽きた!」

 思い出すとムカムカしてきたので更に残りの二人も怒鳴りつけた。

「炎魔術士のお前は所詮中級で、生身のあの女にすら全く魔法が効かなかったし、魔法剣士のお前に至っては何も考えずに突っ込んでいってスキルを使う間もなくあっさり気絶しやがって一体どこがレアなジョブなんだ!」

「……申し訳ございません、しかしあんなゴーレムが居るとは聞いていませんでしたし、ましてやヘレお――あの女自体も戦えるスキルを持って居るとは」

「わ、私もなぜだが急に怖くなって、気づいたらあんな暴挙に出ていました……」

「五月蠅い、五月蠅い! だから言い訳は聞き飽きたと言っているだろ!」

「そ、それで一回戦の相手はどの学院で?」

「露骨に話を変えやがって、まあいい、僕達第一学院の相手は毎年ビリの第四学院だ、ただ僕達の試合は二試合目だから、一試合目の第二学院と第三学院が事実上の二位決定戦になるわけだ、どちらが勝ち上って来ても優勝は僕達だと言う事さ」

「プリクソス様のスキルで作ったゴーレムにかかれば余裕ですからね」

「ふん、当たり前だ、僕の『ダブルコア』搭載の次世代型ゴーレムの活躍を観てアリエス共和国の貴族達が、いや全国民が歓喜に沸くだろう、きっと本家の当主も僕のゴーレムを欲しがるだろう」

「そういえば昔は、優勝を予想する賭けとかあったんですが、今はもう実質優勝が決まっているようなものなので賭けにならなくて、廃止になってしまったんですよね。良い小遣い稼ぎになったのに復活してほしいです。プリクソス様、では我々は応援席で観ておりますのでこれで」

 ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽

「皆さま、今年もやって参りました『学院対抗ゴーレム武道会』! では早速始めましょう、第一試合はアリエス第二学院とアリエス第三学院の戦いです」

 ワー ワー ワー ワー

 …………

「続きまして第二試合は去年も優勝したアリエス第一学院とアリエス第四学院の戦いです」

「行け! 僕のプリクソスⅡ号。 いや待て、すぐに倒しちゃだめだぞ、それじゃお前の凄さが皆に伝わらないからな、ゆっくりじっくりと料理するんだ、まずはお前の通常のゴーレムの二倍・・のパンチ力を見せてやれ」

 ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽


~ボイオティア家の屋敷 当主アタマス視点side

「あの役立たずの分家の子せがれは見つからなかったと嘘をついていたが、優秀なお前でも結局はヘレを探し出すことは出来んかったか……」

「申し訳ございません、やはり噂通りに獣人国内で何か問題が発生しているらしく近づくことすらできませんでした、なのでヘレお嬢様も入国するのは無理だと思われます、まあ捕まったと言う話なら別ですが」

「だがそのシュラタン村とかに居たのは確かなのだろ?」

「はい、プリクソス殿は獣人族に襲われて穴に埋められたと言っていましたが、手足を縛っていたのが例の魔力の糸だったので間違いないかと」

「ふむ、まさかそんなところで特注の白銀のハサミが役に立つとわな、引き続き行方を探せ、それで次はバラニーの件だな」

「はい、バラニーお嬢様の部屋を隈なく探したのですが、残りのぬいぐるみも服も見つかりませんでした……」

「見つからないだと? そんなはずはないだろう? で、バラニーは何と言っておるのだ?」

「はい、アタマス様の名前を出しても『知らない』の一点張りで……」

「くっ、儂に反抗するとは、まるで昔のヘレのようだな、まあバラニーも大人になればその内言う事を聞くようになるだろう、それにしてもどこに隠したのか……このままでは他の貴族共に嘘つき呼ばわりされて、娘の有能なスキルを見極められず、しかも逃げられてしまった無能な親と失笑されてしまうではないか」

 するとドンドンと部屋のドアを叩き一人の部下が入って来た。

「なんだ騒がしい!」

「し、失礼します、大変です! ハマル坊ちゃんが」

 ハマルとは儂の自慢の息子、次期当主になる長男の名前だ。

「ハマルがどうしたと言うのだ?」

「はい、先物取引で損失を出してしまいました」

「先物取引で損失だと? 一体何を買ったんだ?」

「はい、ゴーレムのコアです、今後高騰すると読んで、今のうちに通常の三倍の値段であるだけ買うとアキンドという名の商会と契約し買い占めたのですが……」

「ああ、近々戦争を仕掛ける予定だったからな、その話を聞いて先走ったのか。まったく。下級ゴーレム使いが自分でコアを作るより性能が良いし、それ以上のゴーレム使いからしても時間やコストも軽減できるから戦争に間に合うのであれば高値でも売れると踏んだんだろう、まあコア自体在庫が少々あっても困らんだろうし、次期当主のいい勉強になったと思えば安い物だろう」

「ただ、そのぉ……思った以上にゴーレムのコアが集まりまして……損失額が物凄い事に……」

「何!? ど、どのくらい集まったのだ? 50か? 100か?」

「……一万です」

「い、一万だと? 一万個のコアを三倍の値段で買ったのか、そんな大量のゴーレムコアを何処から?」

「聞いた話ではほとんどがジェミニ王国からとの事です、た、ただそれでも隣国を攻め落とし属国にできれば何とか損失分は回収できたと思うのですが……」

「ヘレと魔法国家キャンサーの貴族との婚約がなくなった結果、同盟の話も無くなり隣国に攻め込む事が難しくなり、ゴーレムのコア自体も不要になったと……」

「しかしアタマス様。それほど大量のコアがあるならゴーレムを大量に作って魔法国家キャンサーに頼らずとも攻め込めばよろしいのでは?」

 別の部下が話に入って来た。

「いや、それがな、儂等が同盟を組もうしたように隣国同士も最近同盟を組んだようなのだ、だからその前にヘレの結婚を急いでこちらから攻め込もうとしていたんだが、しかもエルフ族が向うに加担するという噂も聞こえてきてな」

「あのエルフ族が他の種族に加担するとは珍しいですね」

「ああ、何があったのか知らんがエルフ族が動くとなれば地理的に今度はこちらが挟まれる形になるので、この国の守備にもそれなりの兵を割かねばならなくなる、エルフ国の隣国タウラス公国にエルフ共を抑えてもらう手もあったのだが、良く分からんが牛の魔物だけ・・・・・・の『スタンピード』が起こり一つの首都が壊滅してそれどころでは無いらしい」

「『スタンピード』ですか……不運ですね、それでも一万体のゴーレムがあれば向うが同盟を組んでエルフ族が援軍に来たとしても勝てるのでは?」

「ゴーレムは全て自分で判断して最善の動きをする訳ではない。何かアクシデントなどがあった場合を想定して指示する人間が必要だ。儂や儂の身内だけでゴーレムを操作してもせいぜい500体がいいところだろ、そもそもゴーレムのコアを再使用できその分作成時間が減るからと言っても、それでもゴーレム自体を一万体創るのに一体何年かかる事やら」

「では他の貴族達にもコアを売って手伝って貰えないのでしょうか?」

「三倍で買ったコアをいくらで売るのだ? 三倍の値段で買ってくれるとでも? 売れば売るほど赤字になってしまうし、戦争をしないならわざわざ急いで高いコアを買う必要は無いだろ……それに無理して賛同する貴族だけで仕掛けてもしその戦いで負けたら国は残ったとしても、ボイオティア家は終わってしまう。こうなってしまったらこちらからはもう迂闊に動けんよ」

 どうする? 最悪倉庫に保管してある先代のオリハルコンゴーレムを売れば何とかゼロにはなるか? だがこの状態では足元を見られて叩かれる可能性が高いな。

 するとまたドンドンと部屋のドアを叩き一人の別の部下が入って来た。

「今度はなんだ!」

「失礼します、大変です、アリエス第一学院が初戦敗退です」

「何だと、馬鹿な? 一体どこの学院に負けたんだ?」

「それが第四学院に」

「第四学院だと? 落ちこぼれの集まりの第四学院だと? 一体どんな試合だったのだ?」

 部下から聞いた話はこうだった。
 最初は圧倒的パワーで相手のゴーレムを少しずつ破壊し、弄んでいたようだが、10分程経つと急に制御が効かなくなったようで暴れ出した。そして場外に出て敷地内の物を破壊しまくり、観戦に来ていた者達も死人こそ出なかったが大勢怪我人を出した。その後他の学院や会場の警備に当たっていたゴーレムを総動員してなんとか暴走ゴーレムを破壊できたとの事らしい。

「まさか暴走して場外負けとはな」

「いえ、正確には反則負けで今後三年間第一学院は出場停止になりました」

「場外だろうが反則だろうがそんなのはどちらでもいい! それにしても儂も通っていた伝統ある第一学院の連戦連勝記録が、儂が立ち上げた【ゴーレム思考回路研究会】にいる人間のせいでこんな事になるとは……」

「ア、アタマス様、それで、そのぅ、ゴーレム武道会の大会組織から今回の賠償金の支払い請求が来ておりまして」

「はぁ? 賠償金だと? なぜ儂が?」

「実はですね、プリクソス殿が【今回のゴーレムは僕しか持って居ないレアスキルで作った、僕が居なければ作れない次世代型ゴーレム、なので今回のゴーレムの活躍は全て僕の功績になる、褒美も称賛も全部僕の物だ」、と言って無理やり学院と大会組織に一筆させまして……なので今回の修繕費や治療費も当然プリクソス殿だけの責任で学院と大会組織は無関係という事になります」

「あやつは馬鹿か? それにしてもよくその様な事を学院や大会組織が承諾したな、まあいいがそれでなぜ儂が係わってくるのだ?」

「それが……その一筆させる事をアタマス様も望んでいるとプリクソス殿が」

「な!? なんだと?」

「それからアタマス様の弟君でおられる分家の当主からもこっちには資産がないので先代の例のゴーレムを売却した金で何とかしてほしいと要望が」

「な、何を言っておるのだあの馬鹿親子は! ハマルの件でこっちも大変だと言うのに、なぜ分家の尻拭いの為に貴重なオリハルコンゴーレムを売らねばならんのだ、金は無い、奴隷でも鉱山送りでも自分達で何とかしろと伝えておけ」

 一体何なんだ? 数ヶ月前まで全てがうまくいっていたのに、いつからこうなった? 何でこうなった? なぜこんなに運が悪くなった? なぜこんな不運な事ばかり起こる……はっ!? もしや?

「おい、ヘレのスキルだが本当は『幸運』だったって事は無いか?」

「え? ヘレお嬢様ですか? 私もあの時同行しましたが『幸運』ではありませんよ」

 違うのか……では何だ? 数ヶ月前と今は一体何が変わった……そうだ! もう一人居たじゃないか!

「ならば、居なくなったヘレのメイドの女……名前は忘れたが、あのメイドのスキルが『幸運』だったって事は無いか?」

「申し訳ございません、メイドのスキルまでは把握しておりません」

 するとまたドンドンと部屋のドアを叩き最初の有能な部下が戻って来た。

「ん? いつの間にか出て行っておったのか、それで、慌ててどうしたんだ?」

「ア、アタマス様……大変申し上げにくいのですが……」

「な、なんだ? どうしたんだ? もうこれ以上はやめてくれよ」

「倉庫に保管していたオリハルコンゴーレムが消えてしまいました」

「な、何ぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ」

 儂はそのまま泡を吹いて倒れてしまった。

「ア、アタマス様? アタマス様ぁ! 大変だ! 誰か! 早く、誰か医者か回復士を早く呼んでくれ!」


        『アリエス共和国』編 【完】
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