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2 第2章 ~絡み合う糸の先端~
似た者同士 類は友を呼ぶ
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「じゃあな!」
今朝も、無事(特に襲われること無く)大学に来た。
そして、そう言って振り返りもせずに教室に入っていく龍都。
僕は寂しさが残る中、自分の教室へと入った。
まだまだ見慣れない教室に、知り合いを見つけた。
ユキは先に来ていて、僕はその左隣に座った。
ちなみに、グループワークの話は昨夜、順調に進み、まずは各自で調べてそれをまとめる方針になった。
しばらくすると、彩織がやってきて、ユキの右隣に座った。
何だか鼻歌を歌い出しそうになる程の上機嫌だった。
ちなみに、大学の授業は高校の時と比べ長い……。長すぎる……。
授業を聞きながら、ノートを取り、その合間におしゃべりをする。しかし、怒られる。の繰り返しで授業は終わっていった。
4時限目で授業が終わる僕らの科に対し、龍都と凌は5時限目があるため、1時限分待っていなければいけない。
相手は謎だが、彩織も待っていなければならないそうで、その成り行きから、3人で食堂で恋バナになった。
僕はどこで食べても、無難な味のカレーライスを選んだ。
2人は、そばを選んでいた。持ってきた時に、つゆの匂いが鼻に通る。
それとは対照的に、スパイスの香りを一面に広げる、僕のカレー。何だか申し訳ないな、と身を縮めた時、僕のお腹は鳴った。
「食べよっか」
彩織の一言に、僕らは食べ始めたが、すぐに会話に火がついた。
「彩織ちゃんってさ……その、彼氏とか」
ユキが彼氏、と言った途端、彼女の表情が動揺したのが分かった。
「な、な、なに?彼氏なんていないよ?」
その動揺っぷりに、ユキでさえ確信めいた苦笑いをしていた。
「何その顔!そういう君たちはどうなのさ、え?」
まるっきりブーメランで返され、僕らは何も言えないまま、にやけていた。
「相手がいないわけじゃないでしょ、その顔は」
僕に言っているのか、ユキに言っているのか、はたまたカマをかけているだけなのか……。
すると、ユキが白状したように言った。
「凌が、好きなの。私、おかしいかな?」
僕はその言葉に驚いたが、彩織は興を示したようで、
「あ、あのかっこいい子でしょ?あれは惚れるよねぇ」
と頷きながら言った。
「で、でしょ。でも、凌は私の事どう思ってるか、分かんないの」
「え、おとめぇ♡私はアリだなぁ。それさぁ、近いうちに言ってみたら?もしかしたら、ユキちゃん素直だから、凌さん、気付いてたりして~」
難なくユキの切り出した言葉を飲み込むどころか、キュンキュンしている彩織に、僕はキョトンとなった。
「え、ユキって……」
「ぅん」
僕はここで初めて確信した。
スムーズに受け止める彩織にも驚いているが、2言くらいしか話していないのに、同性愛者だと気が付いた龍都にも驚いている。
これが類は友を呼ぶ、なのだろうか?
龍都の洞察力というか、勘は凄いな。
「で、大翔ちゃんは?」
カレーをすくうスプーンの動きがとまる。
僕は白状すべきか、悩んでいた。この流れなら言っても構わなさそうだ。
しかし、僕自身でさえこの事実を2人に打ち明けて構わないのか、さほど本気にしていないのか、どちらなのかよくわかっていなかった。
「何さ何さ、じゃあさ、どんな人か教えてよ!」
身を乗り出して聞いてくる彩織に、僕はさほどすくいにくくない、カレーをわざとすくいやすく集めながら答えた。
「カッコイイ人、ちょっと強引だけど。でも誰よりも僕と向き合ってくれる」
とても抽象的だが、2人は頷いて、それぞれの想像を張り巡らしていた。
「それってもしかして龍都さんだったりして?」
ユキがボソッと言い、僕はようやく口に含んだカレーを吹き出しそうになった。
ゴホッゴホッ
「その反応は当たりじゃな~?」
彩織は楽しそうにこちらを伺う。
僕は観念したように、とりあえずそっぽを向いた。
そして静かに頷く。
「キャー」
「あらぁ」
彩織は楽しそうにキャピキャピし始め、ユキは驚いていたが、同じ仲間だと感じたのか、優しく微笑んだ。
「いいねいいねぇ、2人とも青春しちゃってぇ~」
ユキと僕を満足そうに見ると、思い出したように蕎麦をすする。
僕は龍都のことが好きで、大事で、付き合っているんだ、と思うと改めて恥ずかしくなり、その後のカレーの味は覚えていない。
僕らの関係には先が無い、そんな簡単な問題さえ見落としてしまうほど、僕らはおめでたかった。
結婚、妊娠、育児、男女では特に隔たりのないものでも、男同士では話が変わってくる。
そんな事もわからなかった、いや、気付きたくなかった。
今が幸せならそれで良い。
それが1番の若気の至りだったのだ。
今朝も、無事(特に襲われること無く)大学に来た。
そして、そう言って振り返りもせずに教室に入っていく龍都。
僕は寂しさが残る中、自分の教室へと入った。
まだまだ見慣れない教室に、知り合いを見つけた。
ユキは先に来ていて、僕はその左隣に座った。
ちなみに、グループワークの話は昨夜、順調に進み、まずは各自で調べてそれをまとめる方針になった。
しばらくすると、彩織がやってきて、ユキの右隣に座った。
何だか鼻歌を歌い出しそうになる程の上機嫌だった。
ちなみに、大学の授業は高校の時と比べ長い……。長すぎる……。
授業を聞きながら、ノートを取り、その合間におしゃべりをする。しかし、怒られる。の繰り返しで授業は終わっていった。
4時限目で授業が終わる僕らの科に対し、龍都と凌は5時限目があるため、1時限分待っていなければいけない。
相手は謎だが、彩織も待っていなければならないそうで、その成り行きから、3人で食堂で恋バナになった。
僕はどこで食べても、無難な味のカレーライスを選んだ。
2人は、そばを選んでいた。持ってきた時に、つゆの匂いが鼻に通る。
それとは対照的に、スパイスの香りを一面に広げる、僕のカレー。何だか申し訳ないな、と身を縮めた時、僕のお腹は鳴った。
「食べよっか」
彩織の一言に、僕らは食べ始めたが、すぐに会話に火がついた。
「彩織ちゃんってさ……その、彼氏とか」
ユキが彼氏、と言った途端、彼女の表情が動揺したのが分かった。
「な、な、なに?彼氏なんていないよ?」
その動揺っぷりに、ユキでさえ確信めいた苦笑いをしていた。
「何その顔!そういう君たちはどうなのさ、え?」
まるっきりブーメランで返され、僕らは何も言えないまま、にやけていた。
「相手がいないわけじゃないでしょ、その顔は」
僕に言っているのか、ユキに言っているのか、はたまたカマをかけているだけなのか……。
すると、ユキが白状したように言った。
「凌が、好きなの。私、おかしいかな?」
僕はその言葉に驚いたが、彩織は興を示したようで、
「あ、あのかっこいい子でしょ?あれは惚れるよねぇ」
と頷きながら言った。
「で、でしょ。でも、凌は私の事どう思ってるか、分かんないの」
「え、おとめぇ♡私はアリだなぁ。それさぁ、近いうちに言ってみたら?もしかしたら、ユキちゃん素直だから、凌さん、気付いてたりして~」
難なくユキの切り出した言葉を飲み込むどころか、キュンキュンしている彩織に、僕はキョトンとなった。
「え、ユキって……」
「ぅん」
僕はここで初めて確信した。
スムーズに受け止める彩織にも驚いているが、2言くらいしか話していないのに、同性愛者だと気が付いた龍都にも驚いている。
これが類は友を呼ぶ、なのだろうか?
龍都の洞察力というか、勘は凄いな。
「で、大翔ちゃんは?」
カレーをすくうスプーンの動きがとまる。
僕は白状すべきか、悩んでいた。この流れなら言っても構わなさそうだ。
しかし、僕自身でさえこの事実を2人に打ち明けて構わないのか、さほど本気にしていないのか、どちらなのかよくわかっていなかった。
「何さ何さ、じゃあさ、どんな人か教えてよ!」
身を乗り出して聞いてくる彩織に、僕はさほどすくいにくくない、カレーをわざとすくいやすく集めながら答えた。
「カッコイイ人、ちょっと強引だけど。でも誰よりも僕と向き合ってくれる」
とても抽象的だが、2人は頷いて、それぞれの想像を張り巡らしていた。
「それってもしかして龍都さんだったりして?」
ユキがボソッと言い、僕はようやく口に含んだカレーを吹き出しそうになった。
ゴホッゴホッ
「その反応は当たりじゃな~?」
彩織は楽しそうにこちらを伺う。
僕は観念したように、とりあえずそっぽを向いた。
そして静かに頷く。
「キャー」
「あらぁ」
彩織は楽しそうにキャピキャピし始め、ユキは驚いていたが、同じ仲間だと感じたのか、優しく微笑んだ。
「いいねいいねぇ、2人とも青春しちゃってぇ~」
ユキと僕を満足そうに見ると、思い出したように蕎麦をすする。
僕は龍都のことが好きで、大事で、付き合っているんだ、と思うと改めて恥ずかしくなり、その後のカレーの味は覚えていない。
僕らの関係には先が無い、そんな簡単な問題さえ見落としてしまうほど、僕らはおめでたかった。
結婚、妊娠、育児、男女では特に隔たりのないものでも、男同士では話が変わってくる。
そんな事もわからなかった、いや、気付きたくなかった。
今が幸せならそれで良い。
それが1番の若気の至りだったのだ。
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