非正規公務員の厳しい現実

たかまちゆう

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2 公務員内格差

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 今まで私が調べていた法律は、一般企業に適用される「育児・介護休業法」だった。
 しかし、公務員に対しては別の法律がある。
 地方公務員の場合は、「地方公務員の育児休業等に関する法律」が適用されるらしい。
「この法律ではですね、常勤職員の育休は3年までと決まっているんですが、非常勤職員は、子供が1歳になってから1歳6か月までの間で、条例で定めた期間に育休が取れるということになっているんです。非常勤の方の場合、お子さんが1歳になる前に契約が切れますし、そもそも倭市には、期間を決める条例がありませんので、育休は取れないんですよ」
 1歳から1歳半って何だ。0歳から1歳どうしたコラ。
 怒りが湧いた。
 そんな馬鹿な話があるか。きっとこの担当者は、その法律をきちんと理解できていないのに違いない。
 しかし、私は公務員の法律については調べてきていない。
 論破しようにも、その材料がなかった。
 お前じゃ話にならん。もっと詳しい奴はいないのか――喉まで出かかった言葉を飲み込み、
「ちょっと調べてまた来ます」
 それだけ言って私はその場を後にした。

 ――知らなかった。
 常勤とパートでは、仕事内容以上に給与で差があるような気は薄々していたが、育休にまでこんなに差があるとは。
 常勤職員は3年も休めるのに、パートは一般企業と同じ1年の休みを取るためにさえ、これほど苦労しなければならないのか。
 公務員は、色々な点で一般企業より優遇されていると思っていたのに、それは常勤の人だけで、非常勤の扱いは一般企業以下なのだ。
 ここで働き始めた時、私にはまだ付き合っている人すらおらず、結婚、ましてや出産、子育てのことなど全く考えていなかったから、育休がないことに気付かなかった。
 せっかく子供ができて嬉しかったのに、その喜びに水を差された気分だった。
 政府は少子化を何とかしたいのではないのか。
 なぜこんな現状を放置している?
 国家公務員ではなく地方公務員とはいえ、公務員なら国の方針には真っ先に従い、子育て世代への配慮をもっとすべきだろうに。
 前例を変えたくないのが公務員か。
 そんなことだから、世間の流れから遅れているんだ。仕事しろ。

 ……頭の中で文句を並べていたが、少し時間が経って怒りが収まってくると、悲しくなってきた。
 ただでさえ最近、つわりで気分が悪い時間が増えてきて、精神的にもやや不安定になっているというのに、さらにこんな面倒な調べ物や交渉までしなくてはならないとは。
 いい職場だと思っていた。
 給料は格別良くもないが悪くはないし、何より一緒に働く同僚達のことが好きだ。
 だから出産後も、身体が回復したら戻ってきたいと思っていた。
 育休が取れれば、保育園も決まりやすいだろうし、改めて就職活動する必要もないから、安心して子育てに専念できる。
 先輩や上司は、一度退職してもまた戻ってくればいいよ、と言ってくれるが、再就職が保障されているわけではないのがつらい。
 ……いや、ただ嘆いていても仕方ない。
 とりあえず、その公務員の法律とやらを調べよう。
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