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夏至 3
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お久しぶりの更新です。
でもななかなか話が進まない。
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「さて、そろそろ用件を聞こうか」
重役2人が退出した後、義総と幸嗣は来客用のソファに移動する。和敬は2人にコーヒーを淹れて出し、退出しようとすると引き留められた。どうやら和敬にも話があるらしい。
「沙耶の通学時に使う予定のマンションなんだけど……」
幸嗣がそう言ってタブレットを取り出す。沙耶は大学に進学していたが、現在は病弱であることを理由にリモートで授業を受けていた。それでもキャンパスに行く機会は出てくる。高校の折の様に塚原が送迎すると悪目立ちするので、近くに所有しているマンションから一人で歩いて行くことに決まっていた。もちろん、心配性の義総と幸嗣は陰ながら付ける護衛の手配も進めている。
いくつか候補があった中で最も条件に合うマンションを選んだのだが、沙耶が大学へ行っている間はその部屋で待機する予定になっている琴音はあまり気乗りしない様子だった。万事控えめな彼女がはっきりと口に出して言ったわけではなかったが、気になった幸嗣が調査していたのだ。
幸嗣が取り出したタブレットに映っていたのは、マンションの防犯カメラの映像だった。その映像の中に荷物を抱えた女性の姿が映っていた。高級マンションに導入されるだけあってカメラも最新式が設置されている。映像は鮮明で、その女性の顔を拡大して見ると、見覚えのある人物だった。
「これは……」
「乃木さん?」
それも1度だけではない。2~3日に1度の割合でその姿が確認された。この映像の日付を確認すると、3月上旬。彼女が大倉家に仕える前の事になる。平日の昼間に姿を現し、数時間の滞在でマンションを後にしている事から、住んでいたのではなく定期的にこのマンションに通っていたのだろう。
「マンションのコンシェルジュにも話を聞いてきたけど、今どきの子にしては礼儀正しくて良くできたお嬢さんだと褒めていた」
「通っていた部屋はどこだ?」
義総の問いに幸嗣は別の資料を映し出す。その資料には派手な化粧をした女性の写真が添付されていた。
「乃木真梨香。琴音の母親の部屋だ」
「似てないよね」
「血は繋がっていないから当然か」
琴音は乃木家の養女だった。なかなか子供に恵まれなかったからと、親戚筋から養子縁組で引き取られたことになっている。しかし、採用する時に身辺調査をして分かっていた事だが、実際には家族の一員としての扱いはされていなかったらしい。琴音を引き取った後に実子となる妹の梨奈が生まれ、高校生の頃には家事全般を任されて家政婦の様に扱われていたらしい。
しかし、そんな養父母も夫婦仲が悪くなり、現在は別居中。中学生になった梨奈は全寮制の学校に通っていて滅多に帰宅しない。母親が家を出たとたんに父親はかねてからの愛人と6歳になる息子を呼び寄せていた。幸嗣が持ち帰った映像から判断すると、琴音は別居した真梨香からも家政婦代わりに呼び出されていた様だ。
そんな琴音を沙耶付きの使用人として大倉家へ推薦したのも、元々久子と懇意にして仕事を融通してもらっていた当主が義総の心証を良くし、あわよくば以前の様に仕事を融通してもらおうという魂胆だった。それが分かっていても、琴音以外に採用できる人員がいなかったのだ。
「乃木さんが気乗りしないのは真梨香がいるから……というのが理由でしょうか?」
「可能性は高いな」
「マンションはどうする?」
「ここが一番いいのだが……」
マンションの資料に目を通しながら義総は思案する。琴音の事情を気にせずこのまま推し進めることも出来るが、大倉家へ来て日にちは浅くても考慮してあげたいと思えるほど良く働いてくれている。一番いいのは真梨香がどこかへ行ってくれることだが、さすがにそこまで強要できない。
「一応、別のマンションももう一度精査してみよう」
「分かった」
義総の決定に幸嗣も同意し、後はまた帰宅してから話し合う事になった。いい解決方法が見つかると良いのだが……と、和敬もついそんな事を願っていた。
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頑張って今月中に何とかもう1話更新出来たら……。
でもななかなか話が進まない。
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「さて、そろそろ用件を聞こうか」
重役2人が退出した後、義総と幸嗣は来客用のソファに移動する。和敬は2人にコーヒーを淹れて出し、退出しようとすると引き留められた。どうやら和敬にも話があるらしい。
「沙耶の通学時に使う予定のマンションなんだけど……」
幸嗣がそう言ってタブレットを取り出す。沙耶は大学に進学していたが、現在は病弱であることを理由にリモートで授業を受けていた。それでもキャンパスに行く機会は出てくる。高校の折の様に塚原が送迎すると悪目立ちするので、近くに所有しているマンションから一人で歩いて行くことに決まっていた。もちろん、心配性の義総と幸嗣は陰ながら付ける護衛の手配も進めている。
いくつか候補があった中で最も条件に合うマンションを選んだのだが、沙耶が大学へ行っている間はその部屋で待機する予定になっている琴音はあまり気乗りしない様子だった。万事控えめな彼女がはっきりと口に出して言ったわけではなかったが、気になった幸嗣が調査していたのだ。
幸嗣が取り出したタブレットに映っていたのは、マンションの防犯カメラの映像だった。その映像の中に荷物を抱えた女性の姿が映っていた。高級マンションに導入されるだけあってカメラも最新式が設置されている。映像は鮮明で、その女性の顔を拡大して見ると、見覚えのある人物だった。
「これは……」
「乃木さん?」
それも1度だけではない。2~3日に1度の割合でその姿が確認された。この映像の日付を確認すると、3月上旬。彼女が大倉家に仕える前の事になる。平日の昼間に姿を現し、数時間の滞在でマンションを後にしている事から、住んでいたのではなく定期的にこのマンションに通っていたのだろう。
「マンションのコンシェルジュにも話を聞いてきたけど、今どきの子にしては礼儀正しくて良くできたお嬢さんだと褒めていた」
「通っていた部屋はどこだ?」
義総の問いに幸嗣は別の資料を映し出す。その資料には派手な化粧をした女性の写真が添付されていた。
「乃木真梨香。琴音の母親の部屋だ」
「似てないよね」
「血は繋がっていないから当然か」
琴音は乃木家の養女だった。なかなか子供に恵まれなかったからと、親戚筋から養子縁組で引き取られたことになっている。しかし、採用する時に身辺調査をして分かっていた事だが、実際には家族の一員としての扱いはされていなかったらしい。琴音を引き取った後に実子となる妹の梨奈が生まれ、高校生の頃には家事全般を任されて家政婦の様に扱われていたらしい。
しかし、そんな養父母も夫婦仲が悪くなり、現在は別居中。中学生になった梨奈は全寮制の学校に通っていて滅多に帰宅しない。母親が家を出たとたんに父親はかねてからの愛人と6歳になる息子を呼び寄せていた。幸嗣が持ち帰った映像から判断すると、琴音は別居した真梨香からも家政婦代わりに呼び出されていた様だ。
そんな琴音を沙耶付きの使用人として大倉家へ推薦したのも、元々久子と懇意にして仕事を融通してもらっていた当主が義総の心証を良くし、あわよくば以前の様に仕事を融通してもらおうという魂胆だった。それが分かっていても、琴音以外に採用できる人員がいなかったのだ。
「乃木さんが気乗りしないのは真梨香がいるから……というのが理由でしょうか?」
「可能性は高いな」
「マンションはどうする?」
「ここが一番いいのだが……」
マンションの資料に目を通しながら義総は思案する。琴音の事情を気にせずこのまま推し進めることも出来るが、大倉家へ来て日にちは浅くても考慮してあげたいと思えるほど良く働いてくれている。一番いいのは真梨香がどこかへ行ってくれることだが、さすがにそこまで強要できない。
「一応、別のマンションももう一度精査してみよう」
「分かった」
義総の決定に幸嗣も同意し、後はまた帰宅してから話し合う事になった。いい解決方法が見つかると良いのだが……と、和敬もついそんな事を願っていた。
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頑張って今月中に何とかもう1話更新出来たら……。
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