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小暑 1
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お待たせしてすみません。
久しぶりに更新です。
琴音の義妹、梨奈ちゃん登場。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「お姉ちゃん」
琴音が待ち合わせの場所に着くと、手を振りながら妹の梨奈が駆け寄ってきた。会うのは梨奈の春休みの時以来となる。
「待たせちゃった?」
「ううん。今来たところ」
なんか恋人同士みたいなやり取りだと思いながらも、妹の元気な姿に琴音は安堵する。養父母との仲は芳しくない琴音だが、妹の梨奈とは良好な関係を築いている。養父母は梨奈の誕生を喜んだものの、世話は面倒くさがって家政婦や琴音に任せていた。その為、梨奈だけでなく彼女の異母弟、諒太は琴音を姉と慕って懐いていた。
「なんかお姉ちゃん、綺麗になったね」
「え?」
「お肌つるつるだし、髪も艶があってまとまっているし」
妹からそんな事を言われると思っていなかった琴音は言葉に詰まる。自分ではそんなに変わったつもりはないけれど、大倉家で働くようになってからは身だしなみも大事と言われてお手入れにも気を遣うようになっていた。しかも使っているのは今まで使っていた安物とは違うオーガニックな高級品。違いは言うまでもない。
「今お世話になっている所は身だしなみにうるさいのよ」
「そう? なんかそれだけじゃない気もするけど」
「ほ、ほら、行きましょう。時間が限られているのでしょう?」
梨奈から向けられる視線をごまかし、琴音は妹を急かす様に移動する。琴音の言う通り、梨奈は試験休みを利用して外出許可をもらってきていた。寮に戻る時間も決まっているので、限られた時間で用事を済ませないといけない。梨奈も仕方ないなぁと思いながらも、時間が余ったら絶対聞き出そうと固く決意した。
「で、お姉ちゃん、実際のところどうなの?」
「どうって、何が?」
必要な買い物も無事に済み、寮へ帰るにはまだ時間に余裕があったので2人でコーヒーショップに入った。季節限定のドリンクを注文してホッと一息ついたところで梨奈の追及が始まった。
「良い出会いがあったんじゃないかなぁ……なんて思ったりして」
「……そんな暇なんて無いわよ。一介の使用人にも求められるレベルが高すぎて、ついていくのがやっとよ」
契約時に同意した守秘義務があるので、大倉家の詳しい内情を話すことは出来ない。それでも伝えられる範囲で、どの使用人も博識で何かしらの資格を複数持っている事を伝えると、梨奈は少なからず驚いた様子だった。
「なんか、うちと大違いだね」
梨奈は養女の琴音に進学を諦めさせて家政婦代わりにこき使っている父親の顔を思い浮かべてげんなりする。
「家政婦じゃ飽き足らずに探偵の真似事までさせるんだもの。あの人、私にも自慢げにこれでお母さんと離婚できるって言ってきたのよ」
梨奈の両親は離婚調停中だった。愛人に子供まで設けている父親の方が不利な現状なのだが、琴音に真梨香の家に通わせて浮気の証拠を集めさせたのだ。
「梨奈は寂しくないの?」
「私? だってあの2人に親らしいことされた記憶は無いもの。強いて上げればお小遣いをくれたことくらいかしら」
あっけらかんとした梨奈の答えに琴音は苦笑するしかなかった。
「無理難題を押し付けるために家から出したんだろうけど、かえって良かったかもね。お姉ちゃん、幸せそうだもん」
「そう?」
「うん、このまま逃げちゃえば?」
「それは……無理よ」
琴音を心配して梨奈はそんな無茶な提案をしてくるけれど、梨奈や幼い諒太を見捨てるみたいでそれは出来なかった。ましてや良くしてもらっている大倉家にも迷惑がかかる。琴音は梨奈の提案を弱弱しく否定した。
「じゃ、気を付けて帰ってね」
「お姉ちゃんもね」
梨奈を寮の門限に間に合うように返さなければならない。もっといろいろ話をしていたかったが、仲のいい姉妹は笑顔で手を振って駅で別れた。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
念のため、タグに「育児放棄」と「DV」追加。
久しぶりに更新です。
琴音の義妹、梨奈ちゃん登場。
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「お姉ちゃん」
琴音が待ち合わせの場所に着くと、手を振りながら妹の梨奈が駆け寄ってきた。会うのは梨奈の春休みの時以来となる。
「待たせちゃった?」
「ううん。今来たところ」
なんか恋人同士みたいなやり取りだと思いながらも、妹の元気な姿に琴音は安堵する。養父母との仲は芳しくない琴音だが、妹の梨奈とは良好な関係を築いている。養父母は梨奈の誕生を喜んだものの、世話は面倒くさがって家政婦や琴音に任せていた。その為、梨奈だけでなく彼女の異母弟、諒太は琴音を姉と慕って懐いていた。
「なんかお姉ちゃん、綺麗になったね」
「え?」
「お肌つるつるだし、髪も艶があってまとまっているし」
妹からそんな事を言われると思っていなかった琴音は言葉に詰まる。自分ではそんなに変わったつもりはないけれど、大倉家で働くようになってからは身だしなみも大事と言われてお手入れにも気を遣うようになっていた。しかも使っているのは今まで使っていた安物とは違うオーガニックな高級品。違いは言うまでもない。
「今お世話になっている所は身だしなみにうるさいのよ」
「そう? なんかそれだけじゃない気もするけど」
「ほ、ほら、行きましょう。時間が限られているのでしょう?」
梨奈から向けられる視線をごまかし、琴音は妹を急かす様に移動する。琴音の言う通り、梨奈は試験休みを利用して外出許可をもらってきていた。寮に戻る時間も決まっているので、限られた時間で用事を済ませないといけない。梨奈も仕方ないなぁと思いながらも、時間が余ったら絶対聞き出そうと固く決意した。
「で、お姉ちゃん、実際のところどうなの?」
「どうって、何が?」
必要な買い物も無事に済み、寮へ帰るにはまだ時間に余裕があったので2人でコーヒーショップに入った。季節限定のドリンクを注文してホッと一息ついたところで梨奈の追及が始まった。
「良い出会いがあったんじゃないかなぁ……なんて思ったりして」
「……そんな暇なんて無いわよ。一介の使用人にも求められるレベルが高すぎて、ついていくのがやっとよ」
契約時に同意した守秘義務があるので、大倉家の詳しい内情を話すことは出来ない。それでも伝えられる範囲で、どの使用人も博識で何かしらの資格を複数持っている事を伝えると、梨奈は少なからず驚いた様子だった。
「なんか、うちと大違いだね」
梨奈は養女の琴音に進学を諦めさせて家政婦代わりにこき使っている父親の顔を思い浮かべてげんなりする。
「家政婦じゃ飽き足らずに探偵の真似事までさせるんだもの。あの人、私にも自慢げにこれでお母さんと離婚できるって言ってきたのよ」
梨奈の両親は離婚調停中だった。愛人に子供まで設けている父親の方が不利な現状なのだが、琴音に真梨香の家に通わせて浮気の証拠を集めさせたのだ。
「梨奈は寂しくないの?」
「私? だってあの2人に親らしいことされた記憶は無いもの。強いて上げればお小遣いをくれたことくらいかしら」
あっけらかんとした梨奈の答えに琴音は苦笑するしかなかった。
「無理難題を押し付けるために家から出したんだろうけど、かえって良かったかもね。お姉ちゃん、幸せそうだもん」
「そう?」
「うん、このまま逃げちゃえば?」
「それは……無理よ」
琴音を心配して梨奈はそんな無茶な提案をしてくるけれど、梨奈や幼い諒太を見捨てるみたいでそれは出来なかった。ましてや良くしてもらっている大倉家にも迷惑がかかる。琴音は梨奈の提案を弱弱しく否定した。
「じゃ、気を付けて帰ってね」
「お姉ちゃんもね」
梨奈を寮の門限に間に合うように返さなければならない。もっといろいろ話をしていたかったが、仲のいい姉妹は笑顔で手を振って駅で別れた。
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念のため、タグに「育児放棄」と「DV」追加。
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