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執着5
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「いつもよりずいぶん食べたが、お腹は大丈夫か?」
食後のエスプレッソを口にしながら義総は苦笑して尋ねる。
食事を終えた3人はリビングに移動し、ソファで寛いでいるのだが、何故か沙耶は男2人に挟まれて座っていた。座るところは他にもあるはずなのに……。
「は、はい。でも……ちょっと苦しいです」
その苦しさを示すかのように、沙耶は食後の飲み物に選んだ紅茶に手をつけようとしていない。
甘い物が好きな沙耶の為に、料理長は豪華なデザートプレートを用意してくれていた。ガトーショコラと旬の苺をふんだんに使ったムース、それにアイスと果物が添えられ、綺麗な飴細工やチョコレートで飾り付けられていた。
見たことも無い豪華なデザートに沙耶もテンションが上がってしまい、ついつい食べきってしまったのだ。
「そう言えば、昨日のご飯も少なかったよね」
兄と同じエスプレッソを選んだ幸嗣は、半分ほど飲んだカップをテーブルに置き、さりげなく彼女の肩に手を回す。だが、彼女の体はグイッと義総の方へ引き寄せられていた。
「ま、体力付けて、朝まで私に付き合えるようになってもらわねば」
義総の言葉に沙耶は頬を染める。
「その表情たまらないな。今夜は俺のベッドに泊まりにおいでよ」
「……」
沙耶が返答に困っていると、幸嗣は彼女の頬に軽くキスする。それを見た義総はムッとした表情で更に彼女を引き寄せて自分の体に密着させる。
「誰にも邪魔されないように部屋へ行こう」
義総は沙耶の額にキスして部屋に誘う。だが、今から抱かれたのでは彼女の体がもたない。困った表情を浮かべる沙耶に義総は弟に見せつけるように唇を重ねる。
「……凄い執着心」
幸嗣は肩を竦める。
「あ……」
義総は唇を離すと、引き寄せた沙耶の体を自分の膝にのせて弟から更に遠ざける。彼女の長い髪を撫で、顎のラインに沿って指を這わせる。彼の優しい指の動きだけで沙耶は背中がゾクゾクとしてくる。
「失礼いたします」
ダークスーツに身を包んだ青柳が3人で座るソファの側に来て一礼する。
「どうした?」
義総は不機嫌そうに忠実な秘書を一瞥する。
「ハワード氏が連絡を頂きたいと仰せでございます」
「明日にしてもらえ」
義総はぶっきらぼうに答えると、膝の上にいる沙耶を抱きしめ、額に口づける。彼女は恥ずかしげに体を縮めた。
「至急と仰せでした」
「……」
義総は眉間に皺を寄せて黙り込む。
「今後の為にも連絡をとられた方が宜しいかと思われます」
頭を下げたままの青柳は、姿勢を崩さずに進言する。
「……わかった。沙耶、仕事をしてくる」
「はい」
義総はため息をつくと沙耶を膝から降ろし、もう一度額にキスをする。そして立ち上がると鋭い視線を弟に向ける。
「幸嗣、沙耶の相手を任せるが、絶対に手を出すな。分かったな?」
「はい、はい」
内心、「この隙に自分の部屋へ連れ込もう」と思っていたのがばれてしまい、幸嗣は苦笑して答えた。
「全く……」
内心に渦巻く不満は連絡を強要してきたハワード氏か、かわいい沙耶にちょっかいを出してくる弟か、義総はいかにも渋々といった様子でリビングを後にした。
「さて、2人きりになったけど、何をしようか?」
兄が出て行ってしまうと、ソファの端で縮こまって座っている沙耶のすぐ隣に座って彼女の肩を抱く。
「えっと……」
どう答えていいか分からずに沙耶が困っていると、幸嗣は彼女を促してリビングの隅にあるビリヤード台の側に連れて来る。
「ビリヤードはしたことあるかい?」
「いいえ……」
現物を見るのも初めてである。
「ダーツは?」
「無いです……」
ビリヤード台が置いてある一角の壁にはダーツの矢が刺さったままの的がかけられていた。幸嗣は矢を抜き取ると、数歩離れて的に投げる。中心とはいかなかったが、中央に近い部分に矢は刺さった。
「投げてごらん」
幸嗣が矢を渡すので、沙耶は恐る恐る投げてみる。幸嗣よりも近い位置で投げたのだが、力が足りなかったらしく、矢は的に当たって床に落ちてしまった。
「惜しい」
「当たったのに……」
「もうちょっと強く投げてみて」
幸嗣がもう一本矢を渡す。
「はい」
沙耶はさっきよりも力を入れて投げてみるが、力みすぎたらしく、矢は的を大きく外れて壁に当たる。
「あ……壁が……」
沙耶は青くなって的をかけてある壁に近寄る。
「大丈夫、大丈夫。俺も何度か刺したことあるから」
慌てる沙耶に幸嗣は笑いながら壁を指す。そこには矢が刺さった痕がいくつも残っていた。
「でも……」
「今更一つ増えたところで誰も文句は言わないよ」
既に涙目になっている沙耶を宥めるために、幸嗣は彼女を抱き寄せて背中を抱く。そして役得とばかりに彼女の首筋にチュッと音をたてて口づける。
「あ……」
先程、義総に触られた余韻がまだ残ってる沙耶は、それだけで背中がゾクゾクして立っていられなくなる。
「本当にかわいいなぁ」
幸嗣はもたれかかってきた沙耶をビリヤード台に押し倒すと、そのまま唇を重ねてくる。
「んっ……んんっ……」
「マジ、ヤバいな。このまましてしまいそう」
幸嗣に顔を覗き込まれるが、沙耶は怖くて目を合わせる事も出来ない。やがて彼は彼女の額に軽くキスをするとようやく体を離した。
「兄さんが何日も傍から離したがらなかった訳が分かるような気がする」
まだ震えが止まらない沙耶を幸嗣はビリヤード台から抱き起すと、そのまま先ほどのソファまで抱えていき、優しく降ろした。
「怖がらせてごめん。でも、本気で君が欲しくなった」
幸嗣は沙耶の手を取ると、自分の股間を触らせる。既にそこはズボンの上からでもわかるほど熱を持ち、膨らんで固くなっている。
「あ……」
それがどういった状態か、沙耶は既に身をもって知っている。慌てて手を引っ込めた。
「本当に君は可愛い」
幸嗣は沙耶を抱き寄せると額にキスをし、そのまま胸に引き寄せた状態で背中をさする。沙耶は逃れようとするが、幸嗣はがっちりと捕まえて離さない。
「あ……あの、義総様に怒られるから……」
「怒られるのは怖い?」
「怖いけど……私だけじゃなくて幸嗣様も怒られます」
「ああ、俺の心配をしてくれたの?」
沙耶が頷くと、抱きしめる腕に一層力がこもる。
「本当に可愛い。今夜は朝まで俺と過ごそうよ、沙耶。いいでしょう? 兄さん」
沙耶が慌てて顔を上げると、リビングの入口に怒りのオーラを纏った義総が立っていた。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
兄弟にセクハラされまくる沙耶。
次話、エッチシーンに突入予定。
食後のエスプレッソを口にしながら義総は苦笑して尋ねる。
食事を終えた3人はリビングに移動し、ソファで寛いでいるのだが、何故か沙耶は男2人に挟まれて座っていた。座るところは他にもあるはずなのに……。
「は、はい。でも……ちょっと苦しいです」
その苦しさを示すかのように、沙耶は食後の飲み物に選んだ紅茶に手をつけようとしていない。
甘い物が好きな沙耶の為に、料理長は豪華なデザートプレートを用意してくれていた。ガトーショコラと旬の苺をふんだんに使ったムース、それにアイスと果物が添えられ、綺麗な飴細工やチョコレートで飾り付けられていた。
見たことも無い豪華なデザートに沙耶もテンションが上がってしまい、ついつい食べきってしまったのだ。
「そう言えば、昨日のご飯も少なかったよね」
兄と同じエスプレッソを選んだ幸嗣は、半分ほど飲んだカップをテーブルに置き、さりげなく彼女の肩に手を回す。だが、彼女の体はグイッと義総の方へ引き寄せられていた。
「ま、体力付けて、朝まで私に付き合えるようになってもらわねば」
義総の言葉に沙耶は頬を染める。
「その表情たまらないな。今夜は俺のベッドに泊まりにおいでよ」
「……」
沙耶が返答に困っていると、幸嗣は彼女の頬に軽くキスする。それを見た義総はムッとした表情で更に彼女を引き寄せて自分の体に密着させる。
「誰にも邪魔されないように部屋へ行こう」
義総は沙耶の額にキスして部屋に誘う。だが、今から抱かれたのでは彼女の体がもたない。困った表情を浮かべる沙耶に義総は弟に見せつけるように唇を重ねる。
「……凄い執着心」
幸嗣は肩を竦める。
「あ……」
義総は唇を離すと、引き寄せた沙耶の体を自分の膝にのせて弟から更に遠ざける。彼女の長い髪を撫で、顎のラインに沿って指を這わせる。彼の優しい指の動きだけで沙耶は背中がゾクゾクとしてくる。
「失礼いたします」
ダークスーツに身を包んだ青柳が3人で座るソファの側に来て一礼する。
「どうした?」
義総は不機嫌そうに忠実な秘書を一瞥する。
「ハワード氏が連絡を頂きたいと仰せでございます」
「明日にしてもらえ」
義総はぶっきらぼうに答えると、膝の上にいる沙耶を抱きしめ、額に口づける。彼女は恥ずかしげに体を縮めた。
「至急と仰せでした」
「……」
義総は眉間に皺を寄せて黙り込む。
「今後の為にも連絡をとられた方が宜しいかと思われます」
頭を下げたままの青柳は、姿勢を崩さずに進言する。
「……わかった。沙耶、仕事をしてくる」
「はい」
義総はため息をつくと沙耶を膝から降ろし、もう一度額にキスをする。そして立ち上がると鋭い視線を弟に向ける。
「幸嗣、沙耶の相手を任せるが、絶対に手を出すな。分かったな?」
「はい、はい」
内心、「この隙に自分の部屋へ連れ込もう」と思っていたのがばれてしまい、幸嗣は苦笑して答えた。
「全く……」
内心に渦巻く不満は連絡を強要してきたハワード氏か、かわいい沙耶にちょっかいを出してくる弟か、義総はいかにも渋々といった様子でリビングを後にした。
「さて、2人きりになったけど、何をしようか?」
兄が出て行ってしまうと、ソファの端で縮こまって座っている沙耶のすぐ隣に座って彼女の肩を抱く。
「えっと……」
どう答えていいか分からずに沙耶が困っていると、幸嗣は彼女を促してリビングの隅にあるビリヤード台の側に連れて来る。
「ビリヤードはしたことあるかい?」
「いいえ……」
現物を見るのも初めてである。
「ダーツは?」
「無いです……」
ビリヤード台が置いてある一角の壁にはダーツの矢が刺さったままの的がかけられていた。幸嗣は矢を抜き取ると、数歩離れて的に投げる。中心とはいかなかったが、中央に近い部分に矢は刺さった。
「投げてごらん」
幸嗣が矢を渡すので、沙耶は恐る恐る投げてみる。幸嗣よりも近い位置で投げたのだが、力が足りなかったらしく、矢は的に当たって床に落ちてしまった。
「惜しい」
「当たったのに……」
「もうちょっと強く投げてみて」
幸嗣がもう一本矢を渡す。
「はい」
沙耶はさっきよりも力を入れて投げてみるが、力みすぎたらしく、矢は的を大きく外れて壁に当たる。
「あ……壁が……」
沙耶は青くなって的をかけてある壁に近寄る。
「大丈夫、大丈夫。俺も何度か刺したことあるから」
慌てる沙耶に幸嗣は笑いながら壁を指す。そこには矢が刺さった痕がいくつも残っていた。
「でも……」
「今更一つ増えたところで誰も文句は言わないよ」
既に涙目になっている沙耶を宥めるために、幸嗣は彼女を抱き寄せて背中を抱く。そして役得とばかりに彼女の首筋にチュッと音をたてて口づける。
「あ……」
先程、義総に触られた余韻がまだ残ってる沙耶は、それだけで背中がゾクゾクして立っていられなくなる。
「本当にかわいいなぁ」
幸嗣はもたれかかってきた沙耶をビリヤード台に押し倒すと、そのまま唇を重ねてくる。
「んっ……んんっ……」
「マジ、ヤバいな。このまましてしまいそう」
幸嗣に顔を覗き込まれるが、沙耶は怖くて目を合わせる事も出来ない。やがて彼は彼女の額に軽くキスをするとようやく体を離した。
「兄さんが何日も傍から離したがらなかった訳が分かるような気がする」
まだ震えが止まらない沙耶を幸嗣はビリヤード台から抱き起すと、そのまま先ほどのソファまで抱えていき、優しく降ろした。
「怖がらせてごめん。でも、本気で君が欲しくなった」
幸嗣は沙耶の手を取ると、自分の股間を触らせる。既にそこはズボンの上からでもわかるほど熱を持ち、膨らんで固くなっている。
「あ……」
それがどういった状態か、沙耶は既に身をもって知っている。慌てて手を引っ込めた。
「本当に君は可愛い」
幸嗣は沙耶を抱き寄せると額にキスをし、そのまま胸に引き寄せた状態で背中をさする。沙耶は逃れようとするが、幸嗣はがっちりと捕まえて離さない。
「あ……あの、義総様に怒られるから……」
「怒られるのは怖い?」
「怖いけど……私だけじゃなくて幸嗣様も怒られます」
「ああ、俺の心配をしてくれたの?」
沙耶が頷くと、抱きしめる腕に一層力がこもる。
「本当に可愛い。今夜は朝まで俺と過ごそうよ、沙耶。いいでしょう? 兄さん」
沙耶が慌てて顔を上げると、リビングの入口に怒りのオーラを纏った義総が立っていた。
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兄弟にセクハラされまくる沙耶。
次話、エッチシーンに突入予定。
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