ドゥームレジスター

バルッ!!

文字の大きさ
2 / 55

0002

しおりを挟む
目を開けた瞬間、大地は鮮やかな緑の森の中に立っていた。頭上には二つの太陽が輝き、足元には青く光る草が生い茂っている。

「ここが……アルヴァリエル?」

言葉を発する間もなく、大地の前に黒い本が再び現れる。空中に浮かびながら、ページが一枚ずつめくられていく。

《神野大地、貴方にはこの世界で「世界を導く者」という役割が与えられています。》

「世界を導く者?何それ……俺にそんなことできるわけないだろ!」

《それはこれから証明していただきます。まずは自身の力を目覚めさせてください。この地では生き残るための力が必要です。》

その言葉に呼応するように、大地の体が熱を帯び始めた。両手から淡い青い光が漏れ、次第に強くなっていく。

「こ、これは……!?」

《それは貴方の持つ「時を操る力」です。この力を駆使し、この世界の運命を変えてください。》

大地は自分に宿る新たな力を感じながらも、不安と興奮が入り混じった感情に襲われていた。



大地は自分の手に宿った青白い光を見つめていた。

「時を操る力…?まるでゲームのスキルみたいだな。でも、本当にこれを使いこなせるのか?」

不安を抱えながらも、一歩を踏み出した。辺りには見慣れない植物が生い茂り、風が葉を揺らしている。
だが、その静けさが逆に不気味だった。

「とりあえず、ここから出ないとな。」

大地が歩き出そうとしたその時、茂みの中から低い唸り声が聞こえた。

「……なんだ?」

警戒しながら音のする方向を見つめると、影から現れたのは獰猛そうな狼だった。全身を灰色の毛で覆われ、目はギラギラとした赤。普通の動物とは明らかに異なる雰囲気を放っている。

「おいおい、マジかよ……!」

狼は唸り声を上げると、鋭い爪を見せながら大地に向かって飛びかかってきた。

「うわっ!」

咄嗟に身をかわした大地だったが、狼の動きは予想以上に速い。何とか距離を取ろうと後退するものの、狼は執拗に追い詰めてくる。

「くそっ、どうすればいいんだ!?」

その時、黒い本が再び現れた。空中に浮かびながらページをめくり、淡々と声を響かせる。

《神野大地、貴方の力を解放しなければ、この世界で生き残ることはできません。》

「力を解放って、どうやるんだよ!?」

《心を落ち着け、自らの中に眠る時の流れを感じてください。それを操るイメージを。》

「そんなこと言われても……!」

しかし追い詰められた大地は、黒い本の言葉に従うほかなかった。目を閉じ、全身に力を込める。すると、自分の体の中を流れる奇妙な感覚が広がるのを感じた。

「これが……俺の力?」

狼が再び飛びかかろうとした瞬間、大地はその力に身を委ねた。

「止まれ……!」

瞬間、狼の動きがピタリと止まる。周囲の風も、草の揺れさえも、完全に静止していた。

「やったのか……?」

目の前にいる狼が、まるで彫刻のように微動だにしない。その異様な光景に、大地は自分の力の凄まじさを実感する。

《時間停止の初歩的な行使に成功しました。ですが、この状態は長くは続きません。素早く行動してください。》

「長くは続かない……わかった!」

大地は近くに転がっていた太い木の枝を掴むと、狼の側面に一撃を加えた。時間が動き出すと同時に、狼は怯えたように一声鳴いて森の奥へと逃げ去っていった。

「ふぅ……助かった……。」

安堵したのも束の間、黒い本が再び語りかけてくる。

《これがこの世界での戦いの一端です。貴方の力を磨き、強さを得なければ、この地で生き抜くことはできません。》

「それはわかるけど、俺一人でどうすればいいんだよ?」

その問いに答えるように、遠くから人の声が聞こえてきた。

「誰かいる……?」

大地が声のする方向に向かうと、鎧を身につけた女性が現れた。長い銀髪が風になびき、青い瞳がこちらを鋭く見据えている。

「君、何者だ?ここで何をしている?」

彼女の声には威厳があり、明らかにただ者ではない雰囲気を漂わせていた。

「えっと……俺はただの……」

言葉に詰まる大地だったが、彼女はすぐに剣を抜き放った。

「怪しい者には容赦しない。この地で何を企んでいる?」

再び窮地に立たされた大地。この世界で初めての仲間となるのか、それとも敵となるのか――。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

処理中です...