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しおりを挟む黒い森の奥へと進むにつれ、周囲の空気はますます重く、異様な気配が肌を刺すように感じられた。木々はねじ曲がり、地面には紫色に輝く魔力の痕跡が浮かび上がっている。
「ここは……普通じゃない。」
大地は息を詰まらせながら呟いた。その感覚に共鳴するように、黒い本がわずかに光を放つ。
《この場所には強い魔力の乱れがあります。この異常な現象は、外部からの影響によるものです。》
「外部の影響って、あのローブの男の仕業か……?」
フィーネが剣を握りしめながら言った。
「魔力の乱れはこの先だ。おそらく、何かしらの儀式が行われている可能性が高い。」
エリオットが頷く。
「こうしている間にも、被害が広がっているかもしれない。急ごう。」
森の中心にたどり着くと、そこには広大な円形の空間が広がっていた。地面には奇妙な紋様が描かれ、赤黒い光が脈打つように放たれている。その中央には、ローブの男が立っていた。
「またお前か……!」
大地が声を荒げると、男はゆっくりと振り返り、不敵な笑みを浮かべた。
「おや、再会だな。君がここまで来るとは思わなかった。」
「お前は何をしている!この森をこんな風にして、何が目的なんだ!」
フィーネが男に向かって叫ぶ。
男はゆっくりと腕を広げ、まるで舞台の上に立つ役者のように語り始めた。
「目的?そうだな……我々は、この世界に眠る真の力を解放するために動いている。弱き者たちが築いた偽りの秩序を破壊し、新たな世界を創り出すために。」
「ふざけるな……そんなのはただの破壊だ!」
大地が一歩前に出ると、男の目が鋭く光った。
「君は面白い存在だ。異界から来た者でありながら、この世界に執着する理由がどこにある?」
「理由なんていらない!俺はこの世界で出会った人たちを守りたいだけだ!」
「そうか……ならば、その覚悟を見せてもらおう。」
男が杖を掲げると、地面の紋様が激しく輝き、周囲にいた魔獣が一斉に現れた。
「全員、戦闘準備!」
フィーネが指示を飛ばし、隊員たちが一斉に武器を構える。
魔獣たちは狂ったように襲いかかってきた。牙や爪、そして魔力をまとった攻撃が隊員たちを次々に襲う。
「大地、後方を守れ!前線は私たちが抑える!」
フィーネが叫ぶが、大地は迷わず前へ出た。
「俺もやる!この力を使って突破口を開く!」
大地は「時の刃」を発動し、木剣が青白い光を放つ実体剣へと変化した。彼が剣を振るうたび、魔獣の動きが止まり、次々と倒れていく。
「すごい……!」
フィーネが驚きながらも大地の背中を守り、隊全体が連携を強めていく。
戦況が膠着する中、ローブの男が再び笑みを浮かべた。
「君たちの力、なかなかのものだ。しかし、これで終わりだと思うなよ。」
彼が杖を大地に向けると、空間が歪み始めた。その中から巨大な異形の魔獣が現れる。四つの腕を持ち、体中に無数の目がついているその姿に、全員が息を呑んだ。
「……あれは何だ?」
大地が声を震わせながら尋ねると、エリオットが険しい顔で答える。
「召喚獣だ。この世界の理を歪める力を持つ。」
「なんて力だ……!」
魔獣が咆哮を上げ、周囲の木々が一瞬で吹き飛んだ。その圧倒的な力に、隊員たちの士気が揺らぐ。
「大地、あれを止めるのはお前の力しかない!」
フィーネが叫ぶ。
「俺にできるのか……?」
黒い本が静かに光り、声が響いた。
《神野大地、貴方の力はまだ完全ではありません。しかし、この場で新たな覚醒を果たすことが可能です。覚悟を決めてください。》
「新たな覚醒……?」
《貴方が持つ力は「時を止める」だけではない。「時を操る」ことで、未来さえも変えることができるのです。》
「未来を変える……。」
大地は剣を握りしめ、心の中で叫んだ。
「俺がやるしかない……!」
大地の剣がさらに強い輝きを放ち、周囲の時間が完全に停止した。その中で、大地は新たな力の感覚を覚える。
「これは……俺の力……!」
時間を操る新たな力を手にした大地は、仲間たちと共に異形の召喚獣に立ち向かう。運命を変える戦いが、今まさに始まった――。
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