夜空の天ちゃむ

牙夢乃時雨

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森の病院

ホロンの秘密

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 ホロンに夕食に誘われた私は、夕食があると思われるリビングへ向かう。そこに向かうためには、廊下を通らねばならず、赤いカーペットが敷かれている。

「ぐるるるる」

「お腹が空いた。何か食わせろ。ホロン。」

「お母さん!お母さん......」

 廊下を通っていると、道の側面についているドアほぼすべてから、声が聞こえる。不気味だ。

「ホロンさん、これは......」

 ホロンはこちらを見てジェスチャーをした。

「シー。」

 私は、ホロンの目がさっき見たやさしそうな目とは違い、殺気を感じ、黙って付いていくことにした。ホロンはここで何をしているのだろうか、快麻を助けたことからして、病院の医師?それとも看護師なのだろうか。

 そんなことを思っていると、リビングに着いた。リビングは豪華な様式であり、壁は木造、赤色のカーペットに、その縁は黄色、座り心地のよさそうな椅子に立派な机、その机にはローストビーフにコーンスープ、パンにバターなどの豪華な夕食が並んでいる。

「ふー。天ちゃむ、そこの席に座って。」

 私はホロンの指示通り椅子に座った。やっぱり座り心地はいい。クッションは沈むが背もたれもふわふわで、この椅子から抜け出せるか不安だ。

「ボー、そこのボタン押して。」

「ワカリマシタ。」

 ポチッ、ボーがスイッチを押した。スイッチを押すとホロンはニヤリとし、こちらを見つめた。

 その三秒後だった。ひじ掛けにおいた両手が金属の紐のようなもので固定された。腰と足も椅子に固定された。

「ホロンさん、これは何ですか!」

「ん?その椅子は特注品で、座って固定されたら、一生離れることはできないのよ!」

 ホロンは椅子の説明を始めた。

「その椅子、固定だけだと思う?実はね、電気を流すこともできるのよ。拷問器具らしいけど、死人が出るらしいから多分使ったことはないけど。」

 私がきいたのは、椅子の説明ではなく、なぜ固定したのか、だ。論点をずらされた。もしや、私を疑っているのか、それとも今までいい人の振りをして、実は私たちに何かをするためなのだろうか。

「ちがう、なんで私をここに固定したのってことをきいてるの!」

 ホロンはため息をつき、言った。

「食べる為に決まっているでしょうが。」

 逆ギレをかまされて解せない気持ちだったが、そんなにきっぱりと本性を晒した潔さに免じて怒りを抑えた。BOSSの件もあり、多少のことには驚かなくなっていたので、冷静に言った。

「そうなんですね、それならなんで快麻を助けたんですか?」

 妙に落ち着いている私を見て、驚いた様子だが、相手も冷静に話してくれた。

「私、食べ物が腐ってたり、病んでたり、悪いものを食べたくないの。だから、精神的にいいものだったり、体に傷のあるものは治してか食べるのよ。」

 この人、感覚が狂っている。かろうじて医師のようなことをしているが、その理由が殺すためという矛盾。

 この言葉を聞いて作戦を思いついた。
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