14 / 25
森の病院
ホロンの秘密
しおりを挟む
ホロンに夕食に誘われた私は、夕食があると思われるリビングへ向かう。そこに向かうためには、廊下を通らねばならず、赤いカーペットが敷かれている。
「ぐるるるる」
「お腹が空いた。何か食わせろ。ホロン。」
「お母さん!お母さん......」
廊下を通っていると、道の側面についているドアほぼすべてから、声が聞こえる。不気味だ。
「ホロンさん、これは......」
ホロンはこちらを見てジェスチャーをした。
「シー。」
私は、ホロンの目がさっき見たやさしそうな目とは違い、殺気を感じ、黙って付いていくことにした。ホロンはここで何をしているのだろうか、快麻を助けたことからして、病院の医師?それとも看護師なのだろうか。
そんなことを思っていると、リビングに着いた。リビングは豪華な様式であり、壁は木造、赤色のカーペットに、その縁は黄色、座り心地のよさそうな椅子に立派な机、その机にはローストビーフにコーンスープ、パンにバターなどの豪華な夕食が並んでいる。
「ふー。天ちゃむ、そこの席に座って。」
私はホロンの指示通り椅子に座った。やっぱり座り心地はいい。クッションは沈むが背もたれもふわふわで、この椅子から抜け出せるか不安だ。
「ボー、そこのボタン押して。」
「ワカリマシタ。」
ポチッ、ボーがスイッチを押した。スイッチを押すとホロンはニヤリとし、こちらを見つめた。
その三秒後だった。ひじ掛けにおいた両手が金属の紐のようなもので固定された。腰と足も椅子に固定された。
「ホロンさん、これは何ですか!」
「ん?その椅子は特注品で、座って固定されたら、一生離れることはできないのよ!」
ホロンは椅子の説明を始めた。
「その椅子、固定だけだと思う?実はね、電気を流すこともできるのよ。拷問器具らしいけど、死人が出るらしいから多分使ったことはないけど。」
私がきいたのは、椅子の説明ではなく、なぜ固定したのか、だ。論点をずらされた。もしや、私を疑っているのか、それとも今までいい人の振りをして、実は私たちに何かをするためなのだろうか。
「ちがう、なんで私をここに固定したのってことをきいてるの!」
ホロンはため息をつき、言った。
「食べる為に決まっているでしょうが。」
逆ギレをかまされて解せない気持ちだったが、そんなにきっぱりと本性を晒した潔さに免じて怒りを抑えた。BOSSの件もあり、多少のことには驚かなくなっていたので、冷静に言った。
「そうなんですね、それならなんで快麻を助けたんですか?」
妙に落ち着いている私を見て、驚いた様子だが、相手も冷静に話してくれた。
「私、食べ物が腐ってたり、病んでたり、悪いものを食べたくないの。だから、精神的にいいものだったり、体に傷のあるものは治してか食べるのよ。」
この人、感覚が狂っている。かろうじて医師のようなことをしているが、その理由が殺すためという矛盾。
この言葉を聞いて作戦を思いついた。
「ぐるるるる」
「お腹が空いた。何か食わせろ。ホロン。」
「お母さん!お母さん......」
廊下を通っていると、道の側面についているドアほぼすべてから、声が聞こえる。不気味だ。
「ホロンさん、これは......」
ホロンはこちらを見てジェスチャーをした。
「シー。」
私は、ホロンの目がさっき見たやさしそうな目とは違い、殺気を感じ、黙って付いていくことにした。ホロンはここで何をしているのだろうか、快麻を助けたことからして、病院の医師?それとも看護師なのだろうか。
そんなことを思っていると、リビングに着いた。リビングは豪華な様式であり、壁は木造、赤色のカーペットに、その縁は黄色、座り心地のよさそうな椅子に立派な机、その机にはローストビーフにコーンスープ、パンにバターなどの豪華な夕食が並んでいる。
「ふー。天ちゃむ、そこの席に座って。」
私はホロンの指示通り椅子に座った。やっぱり座り心地はいい。クッションは沈むが背もたれもふわふわで、この椅子から抜け出せるか不安だ。
「ボー、そこのボタン押して。」
「ワカリマシタ。」
ポチッ、ボーがスイッチを押した。スイッチを押すとホロンはニヤリとし、こちらを見つめた。
その三秒後だった。ひじ掛けにおいた両手が金属の紐のようなもので固定された。腰と足も椅子に固定された。
「ホロンさん、これは何ですか!」
「ん?その椅子は特注品で、座って固定されたら、一生離れることはできないのよ!」
ホロンは椅子の説明を始めた。
「その椅子、固定だけだと思う?実はね、電気を流すこともできるのよ。拷問器具らしいけど、死人が出るらしいから多分使ったことはないけど。」
私がきいたのは、椅子の説明ではなく、なぜ固定したのか、だ。論点をずらされた。もしや、私を疑っているのか、それとも今までいい人の振りをして、実は私たちに何かをするためなのだろうか。
「ちがう、なんで私をここに固定したのってことをきいてるの!」
ホロンはため息をつき、言った。
「食べる為に決まっているでしょうが。」
逆ギレをかまされて解せない気持ちだったが、そんなにきっぱりと本性を晒した潔さに免じて怒りを抑えた。BOSSの件もあり、多少のことには驚かなくなっていたので、冷静に言った。
「そうなんですね、それならなんで快麻を助けたんですか?」
妙に落ち着いている私を見て、驚いた様子だが、相手も冷静に話してくれた。
「私、食べ物が腐ってたり、病んでたり、悪いものを食べたくないの。だから、精神的にいいものだったり、体に傷のあるものは治してか食べるのよ。」
この人、感覚が狂っている。かろうじて医師のようなことをしているが、その理由が殺すためという矛盾。
この言葉を聞いて作戦を思いついた。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
冷遇妃マリアベルの監視報告書
Mag_Mel
ファンタジー
シルフィード王国に敗戦国ソラリから献上されたのは、"太陽の姫"と讃えられた妹ではなく、悪女と噂される姉、マリアベル。
第一王子の四番目の妃として迎えられた彼女は、王宮の片隅に追いやられ、嘲笑と陰湿な仕打ちに晒され続けていた。
そんな折、「王家の影」は第三王子セドリックよりマリアベルの監視業務を命じられる。年若い影が記す報告書には、ただ静かに耐え続け、死を待つかのように振舞うひとりの女の姿があった。
王位継承争いと策謀が渦巻く王宮で、冷遇妃の運命は思わぬ方向へと狂い始める――。
(小説家になろう様にも投稿しています)
〈完結〉八年間、音沙汰のなかった貴方はどちら様ですか?
詩海猫(8/29書籍発売)
恋愛
私の家は子爵家だった。
高位貴族ではなかったけれど、ちゃんと裕福な貴族としての暮らしは約束されていた。
泣き虫だった私に「リーアを守りたいんだ」と婚約してくれた侯爵家の彼は、私に黙って戦争に言ってしまい、いなくなった。
私も泣き虫の子爵令嬢をやめた。
八年後帰国した彼は、もういない私を探してるらしい。
*文字数的に「短編か?」という量になりましたが10万文字以下なので短編です。この後各自のアフターストーリーとか書けたら書きます。そしたら10万文字超えちゃうかもしれないけど短編です。こんなにかかると思わず、「転生王子〜」が大幅に滞ってしまいましたが、次はあちらに集中予定(あくまで予定)です、あちらもよろしくお願いします*
愚者による愚行と愚策の結果……《完結》
アーエル
ファンタジー
その愚者は無知だった。
それが転落の始まり……ではなかった。
本当の愚者は誰だったのか。
誰を相手にしていたのか。
後悔は……してもし足りない。
全13話
☆他社でも公開します
あなたが「消えてくれたらいいのに」と言ったから
ちくわぶ(まるどらむぎ)
恋愛
「消えてくれたらいいのに」
結婚式を終えたばかりの新郎の呟きに妻となった王女は……
短いお話です。
新郎→のち王女に視点を変えての数話予定。
4/16 一話目訂正しました。『一人娘』→『第一王女』
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる